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彼女にフラれた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう  作者: 遊。


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そして彼女は恋を知る

※瑞穂目線


これまであたしは、誰かを好きになると言うのを正しく認識せずに生きてきた。


それはお父さんとの一件があったからと言うのもあるし、そんな父親が急に居なくなった不安からもあり、色んな人と付き合っては別れてを繰り返して来たからと言うのもある。


誰かと繋がりを持っていなければ寂しい。


それに繋がりを持てば相手だって喜んでくれる。


勿論あたしだって好みのタイプくらいいる。


生理的に無理な相手とそう言う事をする位なら死んだ方がマシだ。


でも顔が好みのタイプだからとりあえず付き合ってみたら、とんでもないクズだった事もあるし、優しくて一緒に居ると楽しいからと付き合ってみたら、付き合った途端に物凄いソクバッキーになったり、豹変して暴力を振ってくる奴までいた。


そもそもただ興味が沸いて付き合ってみただけなのだ。


ただ楽しいからだけじゃ、いずれ飽きてしまう。


だから別れた人も居た。


そんな事を繰り返している内に、元から分からなかった誰かを好きになると言う気持ちが余計に分からなくなったし、もう分からないなら分からないままでいいとさえ思うようになった。


そんなの知らなくたって、今が楽しければそれで良い。


あたしはそんな風に生きてきた。


でも悠太は違った。


そんな風に生きてきた自分が、初めて見つけた他の人と全然違う人。


最初は、彼だってあたしの中ではただ背が高くて顔が好みって言う特徴だけの存在でしかなかった。


知り合った時のはSNSで、その時たまたま特定の相手も居なかったし、話していて意気投合したし、この人なら良いかなぐらいの気持ちだった。


実際に会ってすぐに付き合うのかな、そのまま昼間っからホテルかなとか思ってたら、まだよく知らないし、付き合うかどうかは今日一日遊んでみてから決めるで良いかなんて言う。


大体の男はあたしの顔を見たらすぐにホテルとかに連れ込もうとするのに。


遊ぶと言うのもそう言う事なのかと思ったら普通に遊ぶ感じだった。


ゲームセンターに行ったりアニメのグッズショップなんかに行ったりもした。


普通にご飯を一緒に食べたり、普通に趣味の話で盛り上がったり、思う存分遊びまくったり。


色んな人と付き合ってきたのに、こんなの初めての事だった。


夜、ライトアップされた噴水前で付き合いたいと言われ、付き合う事になって。


今回は泊まりがけの予定だったし、この後そのままホテルに行くのかなと思っていた。


その為にここまで我慢してきたんだろう……と思っていた。


なのに……!なんでカラオケ!?


いや、確かに個室だけど!


しかも普通に歌い始めるし!


結局その場でしたのはキスだけ。


あたしの弱点を知られてやたら責められたりして下半身が大変な事になったりする場面はあったりしたが、結局それ以上の事を彼はしてこなかったのだ。


このヘタレ野郎は。


ここまで何もされないと、まるであたしに全く魅力が無いみたいじゃないか!


そんな彼との交際は、あっさり始まってあっさり終わった。


深く付き合うと言う事をしてこなかったあたしは、当然将来の事なんて考えてなかった。


付き合いなんてあくまで遊びだし、それ以上でも以下でもないからだ。


だから、彼女だからと家族に紹介するとかは無しと言っておいたのだがこの男普通に親バレして話してしまったのである。


確かに他と違う彼に興味があって付き合ったのは事実だ。


でもだからってそんな親に紹介するような関係性を今後自分が築いていける自信があたしにはなかった。


好きと言う気持ちも分からない、ただ特徴だけを見て遊び相手を探しているだけのあたしが。


約束を破った悠太をフッて、その後も沢山の相手と付き合っては別れてを繰り返した。


でも、結局誰と付き合っても、体を重ねてみても、ちっともあたしの心は満たされなかった。


そして今。


また彼と出会った。


もう会う事もないと思っていたのに。


なんなら色んな人と付き合う中で彼の事は顔も声だって忘れたはずだった。


なのに、再会してみると意外と彼の事はすぐに分かった。


コイツは忘れてたみたいだけど……。


全くあたしみたいな可愛い女子の顔を忘れるなんて本当にどうかしてる。


まぁシスコンだし仕方ないかぁ……。


仕方ないのかな……?


それからまた友達として関わるようになって、やっぱり今までとは違う、楽しいと言う気持ちが強く前に出てくるようになった。


たまにムカつく時もあったけど。


ハルたんの事とかハルたんの事とか。


逆に辱めてやったからそれはまぁ許してやる事にする。


まだムカつくけど。


とは言え、そんな時間も含めて毎日が楽しい。


こんな風に思うのなんていつ以来だろう。


父親に怯えながらも、体を重ねる時には優しくしてくれる父を愛憎していた日々でもない。


繰り返し過ぎて作業のようになった男遊びとも違う。


こんな風に心から笑える時が来るなんて。


それを、彼が教えてくれた。


こんな時間がずっと続けば良いのにと思う。


ずっと一人になるのが怖くて、その為に誰かと体を重ねる事ばかりを考えていた。


でも彼はそんなの抜きに一人じゃない、俺が居ると言ってくれた。


その言葉に、あたしの心臓は高鳴った。


誰にも渡したくないなと思ってしまった。


やっと掴めたこの時間を、ずっと続けたいと思ってしまった。


そんな彼が誕生日会の帰りにお前俺の事好きなのかと聞いてきた。


馬鹿なのかと思った……。


そんなのもし仮に……仮にもしそうだとしてだからはいそうですなんて言える訳ないじゃん!


そう思っていた。


でも悠太と大人のデートをする事になり、思いのほか楽しみにしている自分に気付いて……。


結局大人のデートって言ってんのに相変わらずヘタレな悠太にムカついて結局告白してしまった。


まさかフラれるとは思わなかったけど。


と言うか初めてフラれたし。


本当、この男は他と違う。


だからいつも今までと違う日常を見せてくれる。


ムカつくから絶対諦めてやらない。


どうにもライバルは多いし、ストーカーまで居るし、あとシスコンだし……。


でも最後は絶対あたしを選ばせてやるんだ。


覚悟してなよ?悠太。


自分の部屋の敷き布団に寝転がり、あたしはこの場に居る筈のないヘタレ野郎に向けて呟くのだった。









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