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彼女にフラれた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう  作者: 遊。


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お化け屋敷と恋模様

「ひゃっ!お、思ってたより暗いじゃん!


しかも明かり……これ?」


入って早々にそう言いながらビクビクと肩を震わせる瑞穂。


この遊園地のお化け屋敷、【ZombieHouse】は


その名の通り廃墟ベースの施設にゾンビが潜んでいて脅かしてくると言う感じの人気スポットだ。


中は昼間でも結構薄暗く、そんな中での唯一の明かりは入口で渡される小さなペンライトだけだ。


「本当に大丈夫か?」


「だ、大丈夫だから!」


「バァッ!!」


「うひゃぁぁっ!?」


急に出てきたゾンビに大絶叫の瑞穂。


「おいおい本当に大丈「平気だって言ってるじゃん!」お、おん。」


なーんか必死だよなぁ……。


「ウォォォ!!」


「ギャー!?」


遂には腰を抜かしてその場に座り込んでしまう瑞穂。


あ、今チラッと見えた……いや見てない。


「……やっぱ怖いんじゃないか。」


「逆になんでそんな平気そうなの!?」


「いや俺お化け屋敷とか全然平気な方だからさ。


むしろジェットコースターの方が苦手だ。」


「だ、大体こんなの面白がって入る方がどうかしてるんだよ!」


「ルーレット回す時は隠れた定番とか言って乗り気じゃなかったか?」


「それは……だって……まさかあたしが当たるなんて思わなかったし……他の人が怖がってるのを見るのは普通に楽しそうだし……。」


「本当いい性格だよお前は……。」


「ふふん、そうだろうそうだろう。」


「皮肉で言ってんだっての……。」


「バァァァッ!!」


「ひょわぁ!?」


ったく調子に乗るから……。


「それにしてもお前お化け屋敷苦手だったんだな。」


「べ、別に苦手じゃないし……。」


こいつも大概プライド高いよなぁ……。


「なんか理由とかあんのか?


別に他の奴らには言わないからさ、言えよ。」


「はぁ……隠しても無駄か……。


あたしお化け屋敷がと言うかそもそも暗い所がそんなに得意じゃなくてね。」


「ほーん?」


「あたしの初めての相手、お父さんだって話したじゃん?」


「あ、あぁ……言ってたな……。」


「今でこそ清楚系ビッチだなんだって言われてるけどさ、それまではあたしだって普通の中学生だったんだよ。


暗い部屋の中で襲われて、抵抗したら殴られて、されるがままになってる内に初めてを奪われてめちゃくちゃ痛くて。


あぁ、あたしもしかしたら今日死ぬのかもしれない、なんて思った。」


聞けば聞くほど酷い話、だよな……。


その時瑞穂が受けた痛みも恐怖も俺には想像するくらいしか出来ないし、したところで分かるものでもない。


だからこそ胸が痛むが、そんな痛みなんて比べ物にもならないだろう。


「だから真っ暗な場所にいるとどうにも落ち着かなくて……。


寝る時も真っ暗だと寝れないし……。」


「なるほど……。


で、だから合宿の時も風呂に?」


「あの時は部屋に小さい明かり着いてたし……。


玄関もそんなに暗くなかったし……。


何より一応一人じゃなかったから……。」


あぁ、そうか……。


こいつが清楚系ビッチだなんて言われたのにはそう言う背景があったのかもしれない。


求められ、それに応えれば喜んでくれるから。


彼女はそう思って沢山の人に求められ、求めてきた。


それはけして褒められた物じゃないのかもしれない。


でも結局そう言う行動の根底には、もしかしたら1人になりたくないと言う心理があるのかもしれない。


「んっ。」


そう言って俺は手を差し伸べる。


「え?あぁ、ありがとう。」


「その、なんて言うかさ、今も一人じゃないだろ。


俺が居るから。」


きっと、瑞穂が感じた恐怖は、俺がどれだけ考えたって分かるものじゃない。


今でこそ護身術を覚えたようだが、その時は抵抗する力も無い普通の中学生だった訳で。


真っ暗な中、抵抗すれば殴られ、誰も助けてくれない。


どれだけ怖かっただろう、心細かっただろう。


そりゃ、死ぬかと思ったなんて思うのも当たり前の話だ。


……その時もし近くに俺が居たら、なんて傲慢だろうか。


居たところでどうにか出来たかなんて分かりもしないのに。


でも、今は違う。


コイツの傍にいて、こうして手を差し伸べる事が出来るのだから。


「え……。」


そうして手を差し伸べた訳だが、瑞穂はそう一言漏らして、しばし沈黙する。


あれぇ……?なんかミスった...?


「な、なんか言えよ。


俺が滑ったみたいじゃないか!」


柄にも無い事をしてしまった事による羞恥心が今になってやってくる!


「え、あぁ……ごめん。」


そう短く返す瑞穂の表情は薄暗くてよく見えない。


「……まぁ滑ったっちゃ滑ったかな。」


「やっぱり!?」


「ある意味滑り込みセーフって感じだけど……。」


「いや、絶対アウトなやつっ!」


「あはは、悠太って本当面白いよね。」


楽しいな、と瑞穂は思った。


こんな時間がずっと続けば良い、誰にも渡したくなんかないなと。


暗い場所は相変わらず好きじゃないし、今も怖いけど、今だけは良かったと思えてしまう。


きっと赤くなってしまってる顔にも気付かれないだろう。


なんでかな?もう裸だって見られた相手なのに、そんな表情を見られるのが凄く恥ずかしい。


あたしがこんな事感じる時が来るなんてなぁ……。


「ほら、行くよ。


こんなとこさっさと終わらせよ。」


そう言ってあたしは背を向けて歩き出す。


「あ、おい待てよ。」


怖いし早く終わってほしい。


でももっと一緒にいたい。


「そんなに先々行ったら!」


少なくとも赤くなった顔が落ち着くくらいまでは……。


「バァァァァッ!」


「ギャー!?」


やっぱりとっとと出たいっ!










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