告白イベント!?
「て、手紙!?悠太さんに!?」
まず最初に反応を示したのはリオだ。
「そ、そうみたいだね……。
い、一応お兄ちゃんの机の中に…は、入ってたみたいだし…。」
次に日奈美。
「いや、待て。
そもそも問題はそこだ。
机を間違えたと言う可能性もある!」
「こんな汚い机見間違えますか……?」
顔を顰めて俺の机を睨むリオ。
事実だけどもっ……!確かに机に入ってるのはゴミかもだけど俺までそんなゴミを見るような目で見なくてもいいじゃない……。
おいコラ秋名、無言で肩に手を乗せて頷くな。
お前の方が汚いだろ……!
「うーん……もし悠さんの事好きな人が書いた手紙なら入れる机を間違えるなんてないと思うけど…。」
次に智成が口を挟む。
「……いや…そもそもその前提がおかしい。
俺の事が好きだから、だと…?
そんな奴がそもそもいる筈がないだろう。」
「うわぁ…自分で言っちゃいましたよ、この人。」
呆れるリオはこの際ほっとく。
「私は悠にぃの事大好きだよ〜?」
なんて言いながら抱きついてくる茉里愛。
「うん、知ってる。」
ただし、兄的な意味でだろ?知ってる、余裕で知ってる。
「うへへ…知ってたんだ〜…。
そっか〜これはもう実質…。」
「無いから!」
茉里愛は何をブツブツ言ってるんだろうか…。
日奈美も茉里愛を引き離しながら何をそんな食い気味に否定してんだ…?
「それにしてもその手紙誰からなんだろうな。
まずはそこからだろ。」
秋名が口を挟む。
「まぁなぁ。」
「差し出し人とか書いてないのか?」
「いや、無いな。」
表にも裏にもそれらしきものは書かれていない。
「差し出し人不明のラブレターか。
羨ましいぞ悠ちゃん!
俺も欲しい!」
「いやいや……そう言うのじゃないって絶対。」
悔しそうにハンカチ噛むな気持ち悪いw
「じゃあなんだって言うんですか?」
呆れながらリオが聞いてくる。
「そう、あれは俺が小学生の頃!」
「あ、またなんか始まった…。」
今と同じように、手紙を貰った時の事。
内容はこうだ。
【放課後、校舎裏の大木前で待ってます。
Sより】
俺は浮かれた。
もう超浮かれた。
あの時はそう、俺の人生の絶頂期と言っても良い!
「人生の絶頂期早いなぁ…。」
リオに話の腰を折られたが続けよう。
浮かれた俺は喜び勇んで大木前に行き、差し出し人が誰かを考えながら待った。
一通りクラスメイトの女子の名前を思い浮かべた後は、もし万が一にも告白されたらどうしようかを考えた。
それはもう本当に色々。
え?内容?ノーコメントでおなしゃす。
ただあの時はマセていたんだとだけ明記しておこう。
その後はもし実際に付き合うってなったらどうしようかを考え始めて...そこで、俺はやっと気付いたのだ。
いつまで待っても、その相手が現れない事に。
結局辺りが暗くなるまで待っても誰も現れず、次の日学校に行ったらニヤニヤしながら待ってる俺の動画が拡散されてた。
「うわぁ…。 」
リオ絶句。
「何それ…許せない…!」
日奈美が怒りを露わにする。
「辛かったね、悠にぃ。」
頭をなでなでしてくれる茉里愛。
「あ!ちょっと!それは私がやるの!」
日奈美がその手を払おうとするも茉里愛は止まらない!
「悠ちゃん、なんか、ドンマイ…。」
不憫そうな表情の秋名。
「ははは、トラウマの引き出しに定評がある俺だぞ?これくらいどうって事ない。」
「自信持って言う事じゃないですからね!?」
リオにツっこまれた。
「兎に角、だ。
一つ一つ可能性を潰していく必要があるな。
まず桜色の便箋、そしハート型のシール。
うん、あざとい。
こんなの自分が可愛らしい女子であるとアピールしているようにしか見えない。
つまりこれは女子を装った男子からの物の可能性が…「無いですよ!?どんな捻くれた捉え方したらそんな発想になるんですか!?」お、おん。」
名推理だと思ったんだけどなぁ...。
「迷推理の間違いですよ!」
「そもそもこれが男子からの物なら手紙はその、臭い筈だ!」
「どう言う理屈!?」
「こんな手の込んだ悪戯をする奴だ。
きっとトイレで手を洗わない悪ガキに違いない!」
「偏見がすごい!?」
仮にそうじゃないにしろ時期的に手汗とかべっとり付いてそうで普通に臭そうである。
そして俺は手紙の匂いを嗅いでみる。
「え!?ちょ!?何やってんですか!?」
「くっ…普通にいい匂いだ。」
「キモ…。」
「馬鹿お前、これは必要な調査だ。」
「だって絵面がキモイですもん…。」
あんまりキモイキモイ言わないでくれませんかねぇwそろそろメンタルに来そうなんですがw
でもこれは間違いない。
ほのかにフローラルな匂いがする。
「これは女子かも…いや、まだだ!
男子が偽装の為にそんないかにも女子が使ってるようなハンドクリームを使ってその匂いが書いてる最中に付いたと言う可能性も捨てきれない...!」
「本当何言ってんだろこの人…。」
もうツッコむ気力さえないと言いたげなリオ。
「悠兄さー。
もう四の五の言わずに開けて中見たら良いじゃん。」
「あ、はい。」
結局保健室から帰ってきた美紀にまとめられた。
ちなみに入れる机を間違えた説も蛍光灯に透かしてたら浮かび上がった三澄悠太様の文字から却下となった。
「よ、よし!、じゃ、じゃあ開けるからな?開けるからな!?」
「う、うん!」
息を飲む日奈美。
「ほ、本当に開けるからな!」
「あぁ、もう焦れったい!」
「あぁ!?お前何を!?」
リオが俺から手紙をひったくり、開封する。
そして中に入っていた手紙に視線を落とす。
「えーっと、放課後、屋上で待ってます。
Sより、ですか。」
「はい罠!それ間違いなく罠だから!」
「うーん…確かに同じSって名前ですけど…。
イニシャルだけで言うならSなんていくらでもいる訳だから偶然被った可能性も捨てきれないですよ?」
「いーや、罠だね!俺の直感がそう言ってる。」
「でも悠さん。
仮に同じ相手だとしてさ、同じ名前で書いたら相手が来ない可能性の方が高くなるって考えて名前を変えてくるもんじゃないかな?」
智成が考えながら言う。
「智成さんの方がよっぽど名探偵じゃないですか...。」
俺もそう思うw俺に名探偵とか向いてなかったわw
「じゃあさ、私達も見張れば良いじゃん。
お兄ちゃんを騙して隠し撮りするような奴がいたら私が…ふふふ。」
ひーちゃん?目が怖いよ?