ハッピーバースデーは波乱の幕開け?
「お兄ちゃん……お誕生日おめでとう……。」
さて、誕生日当日……。
現在時刻は0:00分ジャスト。
そう言って眠たそうにお祝いしてくれた日奈美は、日付が変わる前からずっと俺の膝の上に座って今か今かとそのタイミングを待っていてくれた。
なんだこの可愛い生物は。
間違いなく世界一、いや宇宙一可愛い。
さて、それを言われた俺はどうしたのかって言うと……。
「お、おん、ありがとう……。」
「お兄ちゃん……?なんかあんまり嬉しそうじゃない....?」
「そ、そんな事無いぞ!?
めちゃくちゃ嬉しいし今が人生の絶頂だと言っても過言じゃない!」
「そ、それは流石に大袈裟だと思うけど……。」
「よし、とりあえずひーちゃん。
カウントダウンも終わったし、部屋に戻って寝ようか。」
「えー……もうちょっとぉ……」
クソぅ!!なんだこの可愛い生物は!!
お互い夕ご飯を済ませ、風呂も済ませ、あとはそれぞれ好きなタイミングで寝るだけ、と言うタイミングで急に部屋に来た日奈美。
俺はと言うとそれまで椅子に座って物思いにふけっていた。
ついこないだまでなら36歳になるはずだった俺が17歳。
カッコよく言えばSEVENTEEN!
高校生主人公で選ばれがち。
先輩も後輩もいる、まさに絶頂期!
もう前回の人生ではSEVENTYしか味わえないと思っていた俺氏。
そうなると絶頂期どころか衰退期だよな、、
そんな訳で年甲斐もなく……?ハイテンションだった訳だが、そんな俺の元にやって来た日奈美。
来て早々何をするのかと思ったら、唐突に俺の膝の上に座り、高らかにこう宣言したのだ。
「カウントダウンしよう!」
そう言ってこの可愛い生物、日奈美はなんと来てから今までダラダラと会話しながら(主に日奈美が)たまにうつらうつらしながら入って来てから今この時までずっと俺の膝の上で今か今かと待機していたのである。
当然そんな状況で健全な男子高校生たる俺がマトモな精神状態で居られるはずも無く……。
あぁ!抱き締めたい!頭撫でたい!
そんな煩悩と理性との戦いだった。
本当誕生日に何やってんだろう……。
そんな訳でさっきからずっと鳴ってる電話やメールの通知音や、窓から感じる誰かの視線も気付かなかった、気にする余裕は無かったんだと言い訳させてほしい。
さてここで読者のみんなに問題だ。
今言ったの、どれが志麻でしょうか!
え?そんなの窓からの視線に決まってんだろって?
そう思ったなら志麻検定は不合格だ。
答えは全部である。
この娘、結構早い段階から張り付いていて、最初の内はバンバンと恨めしげに窓を叩いていたと思えば、その時が近づくに連れて今度は連メ、鬼電の嵐。
スマホ2個持ちでそれを同時にやってのける辺り流石志麻である。
勿論志麻以外からもちらほらメールは来てた。
「私も誘われたけぇ今日行く。
あと一応おめでとう。」
と美江。
一応かぁ……。
「おめー。
今日は楽しみにしといてねー。(意味深)」
意味深を付けるな瑞穂……。
「悠ちゃんおめ!プレゼントは俺だぁ!なんってw」
秋名たん、そう言うのは美少女か美少年になってから言ってくださいww!
「悠さんおめでとう!今日が悠さんにとって素敵な一日になりますように。」
流石智君、誕生日メッセージまでイケメンである。
ほら秋名たんこう言うとこやぞ……。
「悠兄おめでとう!秋名たんと智兄からのメッセージ見た!?ちょっと興奮した!?KWSK!」
かと思ってたら黒幕がいたwww
「悠にぃおめでとう!最近会えてないから今日は楽しみ〜。」
こちらはまりちゃんから。
うんうん癒される。
「悠太君、おめでとう!今日は私も楽しみ。
悠太君に精一杯楽しんでもらえるようにがんばるから期待してて!」
そう言えば今回はハルたん会長主催らしいな。
ハルたん会長にも今度改めてお礼しなきゃな。
「悠太!おめでとう!ケーキ凄いの用意したから!楽しみにしててね!」
うん、絵美だから犬用ケーキとかだろうなぁ……。
「最善は尽くしたで、、あとおめでとう……。」
文面から疲れを感じるんだが、、蘭ちゃん何があった……?
「おめでと。
あげたやつちゃんと使ってる?」
宏美か、うん……ノーコメントで。
そして!そして!
「悠さぁんおめでとうございますぅ!
17歳ですね!悠さんにとってのその1年が健やかで素敵な物でありますように。
でもでもぉ、たまには遊びに来てくださいねぇ?」
はい!毎日行きますっ!千鶴さんの為なら自分からわざと怪我をしていくまである。
「なーに馬鹿な事言ってんですか……。」
「え?リオさん!?いつの間に!?」
あ、そう言えばまだひーちゃんには言ってなかったっけ……。
「何言ってんだよ、千鶴さんからの愛のこもったメッセージだぞ!愛をもって返さないと失礼だろうが。」
「相変わらずですねぇ……。
あ、日奈美さんにはまだお話してませんでしたね。
実は……「えぇ!?全然知らなかった!!」」
まぁ……そりゃそうだよなぁ……。
「では改めて。
悠太さん、お誕生日おめでとうございます。」
「あ、おうサンキュー。
あと今回の発案もお前らしいじゃないか。
それもサンキューな。」
「いえいえ、こないだのお礼もしたかったですから。」
「そ、そうか。
それでもサンキュー。」
「それより……。」
「ん?」
「いい加減志麻さんに気付いてあげたらどうですか……?」
「時には現実から目を逸らしたくなるタイミングもあるんだよ……。」
「気持ちは分からなくもないですが……。」
と、言う訳で。
「ねぇ悠太?最初から気付いてたよね?よね?」
「チョットナニイッテルカワカラナイデス……。」
「棒読みじゃん!
妹ちゃんも気付いてたでしょ!」
「うん。」
「あっさり認めた!?」
「誕生日プレゼントは先越されちゃったけど。
1番におめでとうって言う権利だけは誰にも渡さないから。」
「ひ、ひーちゃん。」
真剣な表情でまっすぐ志麻を見据える日奈美。
「ふ、ふーん。
あなたもライバルって訳ね。」
」
「一緒にいる時間なら負けないし。」
ひ、火花が見える!
と、波乱の幕開けとなった誕生日……。
俺は無事に誕生日を乗り切れるのか……!
後半に続……くのか……?




