玖 龍神神殿の現状
二匹のご冥福を祈っていたらいつの間にか日付を超えていたようでガチャが引けるようになっていた。
引くと『天狗の扇』と『アイテムBOX』。
天狗の扇は大きな葉っぱそのままの見た目試しに少し振るととてつもない威力の風が出た。
な、なかなか扱いに困る武器だな…
スキルはレアで使い勝手のある有名なスキル、アイテムBOX!
その容量は個人差があると聞くが殆どが魔力に左右されるとか。
で、超回復・魔のスキルがある俺には計測不能な容量だった。
その計測はアモンが担当してくれた。
魔力を薄く広げてどのくらい入るのか測ってくれたんだけどあまりにも端にたどり着かないので諦め計測不能となった。
それに時間停止もできるのだとか。
丁度嵩張る卵と天狗の扇をしまった。
卵は時間停止オフにしといた。
あ中に入れたものがリストとして確認できるのか!
これは初耳だな!
便利機能は隠してたのか!
帰り道はマッピングでミナストル海岸にまっ直線で帰れる。
だからあの二匹がいた神殿に行ってみようと思う。
相手は悪魔のアモンも震える龍を追い出した存在だ。
だから相手にならない相手だったらすぐに逃げ帰る予定だ。
緊急性が有ればやるしかないが今は無さそうなのでもっと強い武器やスキルを入手してから挑みたい。
それに早めに帰らないと学園の授業に影響が出てしまう。
まぁ教師陣の3割が冒険者等と兼任しているため突発的な授業変更にも対応しているが。
それにアルティアが…待ってるし。
アモンに力を借りてエヴァルダンに聞いた方角に向かって歩みを進めると遠くに壮大な神殿が見えてきた。
龍の体躯で住むために一つ一つが大きく、何故か海底にまで光が届き、幻想的だ。
鱗を模したのだろうか、その壁は一枚一枚が光を虹色に反射し、光を隅々にまで届かせていた。
だがその周囲に黒い何かが泳いでいた。
「ありゃ悪魔だな。それもレヴィアタンの生み出した悪魔だ。」
「レヴィアタン?」
「ああ。まぁ神のレヴィアタンもいるからそこんところ注意な。」
「神?と悪魔?」
「おうよ。ほら、人間は7つの罪とやらがあるだろ?それが反映された神とそのオリジナルの悪魔だ。神のほうが能力とかが強いが悪魔のほうが長生きで、狡猾で残忍だ。総合的な強さ的にはまぁまぁ同じくらいだな。ま、7つの罪で言えば力の神と技の悪魔って覚えとけ。」
「力の神と技の悪魔…。」
マッピングで場所は抑えた。
「強くなってここにこよう。」
「おう。それが賢い選択だぜ。さ、帰るぜー!」
ミナストル海岸に付くとモンスターたちはあらかた居なくなっていた。
そしてレナが泣きながら抱きついてきた。
「ヒック…ディーさーーん!どこにいってたんでずかー!?昨日から姿が見えなくて…心配してたんですよぉ!」
「そうだよ。最低でもサポーターのレナに報告してから行動しようね。」
「ファ…ギルドマスター。」
ファーラが来ていた。
「さて、話を聞かせてもらえるかな?」
「はい。」
海の中で起こったことを話した。
「フーム…海龍に神殿に、悪魔、か。それも7つの罪の…。近くの街にはミナストル海岸に近づかないように警告して、何改変があった場合に兵を置いてもらうように王に進言しておこう。何もなければ将来、ディーに神殿攻略を頼む。いいかな?」
「分かった。」
「それにしても龍の神殿か…龍はもうこの世に居ないかもしれないからね、その経験をしっかり活かして頑張るんだよ。」
「おう。」
話が一段落して帰るか、となった時。
「お待ちくださいませんか?」
後ろから声が聞こえて振り返るとまだモンスターが残っていた後の中にポツンと、海竜がいた。
「私は海龍様夫婦にお世話になっていた海竜です。お二方を看取ってくださったのですよね?ありがとうございます。私は魔力に気圧され応戦することなく逃げてしまったのです。最期に話したいことも話せなかった。海の者を代表してお礼を申し上げます。まだ問題は収まっていないのでしょうがまた穏やかな暮らしに戻れるので。そのお礼として…私をテイム等してくれませんか?貴方様のお力にならせてほしいのです!」
「テイムはスキルだからねぇ…。」
「分かった。テイムは使えないが契約がある。」
「契約でできるのかい?」
「契約はテイムとか契約することに関するスキルの上位互換みたいなスキルだからな。」
「え?契約?あれ?マッピングじゃないんですかね?それと…その悪魔さんは…?」
「「あ…。」」
レナがいることを忘れてた…
「秘密にしてくれないか?」
「わ、わかりました!」
ギルドマスターに直に言われて萎縮しちゃった…
まぁ海竜は契約して契約魔になった。
名前はエルナ。
海竜なので陸地にはいけないのだがアモンのお陰で空を飛べるし透明化させることもできるようになった。
そして秘密を軽くだが知ってしまったレナとパーティを組むことになった。
秘密を知る人は極力少ない方がいい。
どこから情報が出るか分からないからな。
だから他の人と一緒にならないようにパーティを組んだ。
そして誰にも話さない、と契約を結んだ。
パーティは二人から組むことができ協力して依頼をこなす。
人数が多くなるとクランとして登録する事をおすすめされる。
そして四人以上のパーティだと名前をつけることが義務となる。
管理するとき等に重要だしな。
まぁ今はつけないかな。
「よろしく頼む。レナ、エルナ。」
「頑張ります!」
「宜しくお願いします!」
そうして首都に戻る。
学園は明日からの授業日程を確認。
その準備をしていると…
バダン!
扉が勢いよく開きアルティアが勢いよく入ってきた。
「ディ!」
「流石に声を抑えてくれ。」
すぐさま口に手を当てて静かにするように頼む。
「それと一応教師の寮だ。最低でもノックぐらいはしとけよ?…落ち着いたか?」
「ええ。中々帰って来なかったものですから…またどこかへ行ってしまったのかと…。」
「…ごめん。冒険者となれば数日帰ってこれないときもあるから…今回は事態に対しては早く帰ってこれたほうだよ、だから許してくれないかな?アルティア?」
「むぅ…それならば許しましょう。けれど私を余り心配させないでくださいませ?」
「分かってるよ。アモンをこっそり送るようにする。さ、明日も早いからゆっくり休みなよ?」
「わかりましたわ。おやすみなさい、ディール。」
「ああ。おやすみ、アルティア。」
アルティアは今度は静かに名残惜しそうに部屋から出ていった。
うーん…出来るだけ早めに依頼を負わさせるようにしよう。
心配してくれる人がいるからね。