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一日二種ガチャで無双!?  作者: 英雄王
一章 大罪
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拾壱 卵

今日も日課のガチャをしていたらファーラが、自室に来たと思ったら週末に王の謁見が決まったと。

「これは君本来の名前で綴られている。勿論偽名で名乗ることも許されているさ。」

「デビルハンターですか?」

「そうだよ。本当に父として喜ばしい事だ!けれど慢心はしてはいけないよ。」

「はい。勿論です。日々鍛練を怠らずにコツコツと強くなっていきます!」

「うんうん。良い返事だ。それで…その手にあるものは今日の武器かな?」

「うん。武器…なのかな。これは。」

その手に有ったものはドラゴンフルーツのように何枚もの硬い外殻に包まれた卵だった。

「これは『ヒュドラの卵』だって…。」

「ヒュドラ…だって…!?あの伝説の竜か!?」

「かもしれない。というかこれが『武器』って…。」

「武器…か。武器なのであれば君が制御できるかもしれない…が…。ううむ…。」


産まれさせない方が良いのかもしれないが魔物の卵は暖めることなく自然と時間経過で産まれる。

アイテムBOXの力で止めることはできるが俺が死んだら中身はどうなるのか分からない。

その前に割ってしまっても良いのかもしれないが最強に近いとされる龍だ。

それも伝説に語られるような龍。

この世界のヒュドラは頭が100、その口からそれぞれ違う毒を吐くと言う。

一体だけの出現例だが数多の国を滅ぼし死都とした。

そしてその土地は未だ生き物が立ち入ることが出来ぬ死地として残されている。

その死地の名称は『ヒュドラの死都』。

死都はその姿を保ちながらそこに有り続けている。


そんな龍をこの世に産まれさせても良いものか。

アモンに命じてアルティアには危険な目には合わせたくないからと言って今日は来ないように話してある。

それも今は1つの龍種の卵を抱えている。

こんな爆弾を共に置いておくなんて…

「モンスターマスターって知っているかな?」

「モンスターマスターって魔物を使役することができるスキルだったけ?」

「そう。そのスキルを得ることが出来たなら魔物と会話して共存することができるはずだ。」

「普通ならそのスキルを持っていなきゃならないけど…俺ならば…。」

「うん。得ることが出きるかもしれないね。」

「分かった。時間を停止してアイテムBOXに封印しておくよ。」

「それで良い。命は大事にね。」

「うん。」


ファーラは俺の頭を撫でて自室を出ていった。

その優しさに微笑みながらスキルの確認をする。

今日のスキルはロックオン。

遠距離で攻撃する時に役に立つスキルナンバーワン。

簡単に言うと命中率が格段に上がると考えればいいスキルだ。

近距離ならわざと変な方向に打たなければ命中する。

これも育てて必中にまで持っていくことが出来る。

必中になるとスキルが必中に進化する。

スキルも使って育てていくと進化するからな。


時間もない事だし簡単に食事を済ませて教室に行くと…

「…なんだこれは?」

なにかのいじめかよ…と思ってしまったが教卓の上に何かの卵がふわふわの毛布に包まれてそこに置いてあった。

「はーい!」

「…ハーミルド=アルカディ。」

「朝登校したら最初からそこにありましたー!昨日最後に出た奴もその時には何も無かったって言ってましたー!」

「そうか。」

食料の卵よりは大きめでピンクの卵。

間違いなく魔物の卵か何かだろう。

父にこれが何の卵か確認してもらうことにしよう。

「全員揃っているな?ガタナから連絡事項は何かあるか?」

「今日は無いな。」

「そうか。じゃあ一限目はしっかりやってこい。」

はい!!

その声が響き俺はその卵を持って退出した。

今日は2年の授業が入っている。

俺の受け持つ剣術はメイン授業なのだが半分は自主練状態になっている。

ちゃんとみてくれる先生がいるが担当が俺だからな。

本当にこんな兼業していていいのか不安になってくるが前任もそうだったらしいからな。

仕方がない。

職員室に戻り俺のデスクにピンクの卵を置き闘技場αに向かう。


闘技場α。

2年生の生徒がちらほらいた。

出席簿を受け取り全員いるようだ。

今日も昨日と同じように全員一斉にかかってきてもらった。

やはり一斉に来てもらうとわかりやすいな。

1年は経験がないが稀に見る粒ぞろいの生徒達で中々強かったが、2年は経験が多少はありちゃんと連携して攻撃してくる。

うんうん。

多対一で一が強者ならば連携は必須だからな。

まぁ全てを反撃なしで1回に1人1言位しかタイミング的にアドバイスを送ることは出来なかったがしっかり俺のアドバイスを理解して不足の部分を補おうと努力している。

ふ、これで2年だ。

1年のあいつらをこれ以上に仕立てて見たくなったな。

前任者にも会ってみたいものだ。

今日の授業は1体1の模擬戦だ。

木剣を持たせて時間制で相手を変えての模擬戦。

俺は彼らの様子を見て姿勢や木剣の剣筋を正していく。

余っている1人と常に相手をしながらだ。

剣を扱うスキル持ちの人達はスキル補正があって中々の上達力があって教えていくことを直ぐに吸収していくのを見て教える立場としたは楽しい。

…今、俺がここにいることは奇跡だが、ここに来て良かったと思う。


授業が終わり職員室の卵を回収して部屋に戻る。

あとで鑑定スキルで卵の招待は何なのか調べてもらう事にして、ふと見覚えのないものが机に乗っているのに気がついた。

机には見たことの無い一冊の本があった。

部屋を出た時には無かったはずの本。

本の題名は『何でもない日の世界の隅の物語』。

作者は綴られていない。

幸い時間なら沢山あるから本を読んでみることにする。

さて、どんな物語なのか。

小さい頃から密かに本を読むことが好きだった俺は少し楽しみになっていた。






『何でもない日の世界の隅の物語』


とある何でもない日。

世界のどこかにある世界の隅。

その場所は妖精達の楽園がありました。

妖精女王を中心に自然豊かな楽園で楽しくおかしく遊ぶ妖精達のダンスは見ていて楽しく、豊かで心躍る賑やかで華々しいダンスでした。

その踊りはこの世界が生まれた時に誕生した神々の1柱であるとされる神様に捧げるダンスです。

そのダンスに妖精女王は大変重要で一番華やかな立場でありました。

妖精女王は伝統的に受け継がれたドレスに身を包み、沢山の妖精の中心で踊るのです。


ですが、そのダンスの直前。

とあるおっちょこちょいな妖精がそのドレスを運ぶ途中、木の枝に引っ掛けてドレスが破れてしまったのです!

周りの妖精たちは顔を青ざめ小さな悲鳴をあげました。

おっちょこちょいな妖精は破れてしまったドレスの状態を見て真っ白になりガクガクと震えて固まってしまいました。

この日のダンスは年に一度の神様の聖誕祭。

伝統的に受け継がれてきたドレスの直し方など、今の妖精達は分かりません。

どうしよう、どうしよう?

このままだと神様に捧げるダンスが出来ません。

この騒ぎに駆けつけた妖精女王も青ざめ悲鳴をあげます。

ですが直ぐに気を取り直し、指示を出しました。

「破れてしまったものは仕方ありません。聖誕祭まであとほんの少ししか時間はありません。裁縫が得意な妖精は破れたところを縫い直しをしましょう。他の妖精達はこのドレスに似合う綺麗なお花を採取をお願いします!」

この言葉に妖精達は一斉に動き出しました。


裁縫が得意な妖精達は綺麗なドレス二合う色の糸を選び綺麗に破れたところを縫う作業を始めました。

他の妖精たちはドレスに合う綺麗なお花を特定し探すため、情報集めから始めました。

お話好きな妖精はこの世の果てにはそれはそれは美しいお花が存在しているらしいわと言いました。

信心深い妖精は神様に願えば奇跡を起こしてくれるよと言いました。

探索好きな妖精は薬園の果てにある高い崖の上に綺麗なお花があったよと言いました。


沢山のお話から勇敢な妖精が楽園の果てにあるお花を探しに向かうと言いました。

妖精達は喜んで旅の支度をしました。

勇敢な妖精は妖精達の支援を受けて花を手にする旅を始めました。

探索好きな妖精の情報を得て太陽の方角に向かって山を超え、谷を超えてついにその花の居場所にたどり着きました。

朝日が昇る丘の上。

その上に花咲く桃色の花。

しかし、近づいてみると遠くからは花に見えたそれは、固く、重い丸いもの。

その花の正体は、卵だったのです。

勇敢な妖精は思い出しました。

お話好きなおじいちゃん妖精のお話を。


『この楽園の果てにはの、楽園を守る美しい守護竜が居るのじゃよ。

可憐で綺麗な竜がの。

その竜の大切な物を奪ってはならぬ。

奪ってしまってしまえばこの楽園は地獄になると言われておる。』


このお話の竜の大切な物。

それはこの卵なのではないか。

だがもう聖誕祭まで帰るだけの時間しかない。

卵に触れるとペラリと花のよう見えていた鱗のような外殻が剥がれたのを見てこれを数枚持って帰れば何とかなるのでは?

そう考えた勇敢な妖精は4枚剥がして妖精女王の元にかけ戻りました。


無事に戻った勇敢な妖精は妖精女王に外殻を花のように縛り上げて献上し、妖精女王のドレスは綺麗に飾られ、聖誕祭は無事開催出来ました。

その夜、地震が起きました。

目をざした妖精達は空に飛び上がり、何が起きたのかと周囲を見渡したら勇敢な妖精が卵を見つけた方向から紫色の霧が見えました。

そしてその中に複数の光がこちらを睨みつけていました。


妖精達は悟りました。

楽園の終わりが来てしまったのだと。

勇敢な妖精は悟りました。

自分のせいなのだと。

妖精女王は悟りました。

妖精は滅びてしまうのだと。


その夜。

妖精が住む楽園は。

1夜のうちに滅びました。

これはとある何でもない日の世界の隅にある妖精達の楽園の終わりの物語。

人間さんは知らない、知らなくていい物語。

守護竜の怒りに触れてしまった哀れな妖精達の物語。







「可哀想な物語だな。守護竜はなんで戻ってこなかったんだろうな?何か守っていたのか?冒険の内容が無いのも気がかりだな。」

まぁ子供向けの小説って感じだよな。

なんでここにあるんだ?

コンコン

「相談があるって聞いたんだけど何があったんだい?」

そう言いながら入ってきたファーラ。

「あ、そうだった!これ観てくれ。」

教室にあった卵を渡してみせる。

「ふむ?これは…ふふ、君の周りには面白いことばかり起きるね。」

その言葉にひょっこり出てきたアモン。

「おいそれ…ホントヤベー奴だな!なんでサテュロスの卵持ってんだよwヒャハーー!」

「サテュロス?」

「…確かに、サテュロスの卵だね。確か良く酒を飲んで騒ぐ妖精だね。人間の体に山羊の角や脚、尻尾を持つ妖精だね。」

「妖精か。ならヒュドラの卵よりは安全か。」

「比較するものが違うと思うよ。確かに安全だね。妖精の卵の孵化方法は誰も知らないのだけれど。」

「そうか…温めて近くにお酒でも置いておくか?」

「確かに、現状それが最善策かもね。」

「悪魔に竜に、妖精かよ…次は天使とか言うなよ?ゼッテー辞めろよな!」

「そんな簡単に天使が来るわけないだろ?」

「お前なら来そうで怖いんだっての!」

ガー!!と威嚇しながら周囲を飛び回るアモンに呆れながら今日の授業の話をして1日がすぎた。


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