弌 一日二種ガチャ!?
ディール=ランフィース。
それが俺の名前。
転生者である。
ランフィース家の長男だ。
ランフィース家はランス国に伝わる四柱貴族。
四柱貴族。
剣聖のランフィース。
賢者のゴルフィード。
聖女のフリューハル。
軍神のメルロッサ。
ランス国の建国に携わった貴族である。
国王は聖君のガラハド。
この世界は女神セフィーナを信仰する人族。
邪神カタパルトを信仰する魔族。
鬼神フォルナンを信仰する獣族。
そして神々の使徒である天使や悪魔等。
多くの種族がこの世界に根付いている。
そして魔物もこの世界には存在する。
人族は女神セフィーナからスキルを承る。
神託の儀式。
スキルは大抵は一つだが偶に二つや三つの人がいる。
十歳。
その歳になるとどんな子供も協会に行き女神からスキルを承る。
それがやっと俺の番になってきたって訳だ。
俺は一言で言うと天才だ。
文学は一度で覚え剣術も魔法もすぐに覚えた。
俺の家系のスキルは代々「剣聖」。
だから俺も剣聖に憧れて剣を振ってきた。
そろそろ俺の家族の話をしようか。
父 ガレルス=ランフィース。
一言で言うと頭が固い頑固親父。
こうと言ったら曲げない。
王に従順であり挫折したことがない人間ってこうなんだろうなと思ってしまう。
母 カレン=ランフィース。
一言で言うとどこか抜けてる天然さん。
ちゃんと握っていないとどこかに飛んでいきそうな雰囲気のある人だ。
そして花が似合う。
よく俺はきれいな花を積んでは母にあげていた。
俺の一番の味方だ。
弟…双子の弟だが… ランドルフ=ランフィース。
一言で言うと意地っ張りで威張りや。
父ガレルスを盾に平民にギャンギャン命令などしている。
欲に目が眩む奴だ。
正直控えめに言って嫌いだ。
こんな家族だ。
そして俺たちの神託の儀式。
神父からスキルの名前を聞く。
そして告げられたスキルの名前は…
「ディール様のスキルは…『一日二種ガチャ』…?」
「一日二種ガチャ…?」
困惑しかしない。
神託の儀式を受けたらステータス画面を開けるはず…
とりあえず横に避けて確認。
……確かに一日二種ガチャ。
見ると武器とスキルのガチャがあるらしい。
おお!!
と、どよめきが上がったので目を上げると弟のランドルフがガッツポーズをしてドヤ顔をしていた。
「ハハハ!!『剣聖』だ!!」
ああ、お前が当たったのか。
そして時間が過ぎ、父ガレルスから俺のスキルを発動してみろと言われたので引いてみた。
出てきたのは…
カラン…
『ひのきの棒』と『マッピング』。
「そんなスキルだと…?ディール。今すぐ家を出ていきなさい。ランフィースと名乗ることも許さん!!」
「……え?」
「どこへなりとも行くがいい!!」
俺は父に捨てられた。
持ち物は千ギル(お金)と今着ている物とひのきの棒。
母は泣きながら父に押さえつけられながら俺に手を伸ばし、弟はニヤニヤと笑いながらさっさと出ていけと手振りで示し、父は母を押さえつけながらゴミを見るような目で俺を見てきた。
ああ…そうか。
さようなら。
皆さん。
母上。
どうかお元気で。