第十四話 奴隷の思い - 奉仕 -
眠りにつこうとしている寝台の上の彼女の前に跪き、私は彼女に奉仕させて欲しいと述べた。
彼女は相変わらずの冷淡な声で言った。
「いらない」
私がなおも、言葉を重ねて、若い女主人にこの身で仕えたいことを伝えても、彼女は頑としてそれを受け入れることはなかった。
そのことに私はショックを受ける。
自分の価値は、自分が考えるほど高いものではない。
それを突き付けられていた。
思わず、弱々しくこう零すほどに。
「私は、いらないんですか」
「……いらない」
「私は貴女の奴隷です」
「そうよ」
「貴女のためにポーションを作るだけの奴隷なんですか」
「……どちらかというと愛玩物かな。貴方、見目はいいから」
その言葉に、私は絶句した。
「……なら、ならどうして。私を愛玩物というのなら、余計、私を……」
私を可愛がってください。
そう言いたかった。
でも、彼女には何故か迷いがあった。
「そんなに、単純なものじゃないの。大体、貴方は……」
ため息混じりだった。
「寝るわよ」
彼女を抱きたかった。
今よりも更に深く深く、彼女に触れたかった。彼女の柔らかな肌に触れて口づけ、その肌の匂いを嗅ぎ、そして彼女もまた私に触れて欲しかった。
彼女の声を聞いて、彼女に抱きしめられたい。
彼女と寝たい。
奴隷の身で過ぎたる願いだとはわかっている。
だけど、私はどうしても彼女が欲しかった。




