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奴隷市場に、私を婚約破棄した王太子が売っていたので買ってきました。[全年齢版]  作者: 曙はるか
第一章

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第十四話 奴隷の思い - 奉仕 -

 眠りにつこうとしている寝台の上の彼女の前に跪き、私は彼女に奉仕させて欲しいと述べた。

 彼女は相変わらずの冷淡な声で言った。


「いらない」


 私がなおも、言葉を重ねて、若い女主人にこの身で仕えたいことを伝えても、彼女は頑としてそれを受け入れることはなかった。

 そのことに私はショックを受ける。

 自分の価値は、自分が考えるほど高いものではない。

 それを突き付けられていた。

 思わず、弱々しくこう零すほどに。


「私は、いらないんですか」


「……いらない」


「私は貴女の奴隷です」


「そうよ」


「貴女のためにポーションを作るだけの奴隷なんですか」


「……どちらかというと愛玩物(ペット)かな。貴方、見目はいいから」


 その言葉に、私は絶句した。


「……なら、ならどうして。私を愛玩物というのなら、余計、私を……」


 私を可愛がってください。

 そう言いたかった。


 でも、彼女には何故か迷いがあった。


「そんなに、単純なものじゃないの。大体、貴方は……」


 ため息混じりだった。


「寝るわよ」




 彼女を抱きたかった。


 今よりも更に深く深く、彼女に触れたかった。彼女の柔らかな肌に触れて口づけ、その肌の匂いを嗅ぎ、そして彼女もまた私に触れて欲しかった。

 彼女の声を聞いて、彼女に抱きしめられたい。


 彼女と寝たい。


 奴隷の身で過ぎたる願いだとはわかっている。

 だけど、私はどうしても彼女が欲しかった。

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