始まり
いつもと、同じ朝。パンの焼ける匂い家、族の話し声、テレビの音。椅子に腰掛けテレビを見る。ニュースではここ数年増加してきた、神による殺人の内容だった。かつては、信仰の対象だった神も一部を除きその殆どが信仰されなくなりいつの頃からか神による殺人が行われるようになった。そんな神の災いもどこか他人事のように僕は考えていた。自分には関係ないと。朝見たニュース以外はいつもと同じように時間が過ぎ帰宅をしていた。
地下鉄に乗り数分すると、車輌が止まり電気が消える。停電?すぐさま何かしらの放送があるだろうと思ったがなにもなくしだいにざわめきが生まれる。携帯をみても電波はなくどうするか考えていると電気が付き、間も無く数人の首が飛ぶ。温かい鮮血が車内に僕の顔に飛び散る。何が?数秒に満たない間に悲鳴が上がりまた首が飛ぶ、そこで今朝のニュースを思い出す。これが神災?この数秒後には僕の首も飛んでいるそんな絶望的未来を考えていると誰かに手を引かれる。女の子?その女の子に手を引かれ二つ隣の客車へと移動する。
「あれは?」
震える声で僕は聞く。
「ヌシ、ニュウスを見ておらんのか?」
慌てる僕とは正反対に少女は淡々と喋る。
「まずは自己紹介じゃ、ワシはミカドヅチ神じゃ、次いでに質問に答えてやろう、先程のあれも神……と云っても信仰を失い理性をなくした云わば獣じゃな。でじゃがヌシワシと契約せぬか?」
一度に多量の情報が入り込み一つ、一つ反芻しながら理解する。
「つまり君も神、さっきのあれも神で……契約?」
「うむ、契約じゃワシと契約さすればこの窮地を乗りきれるぞ!」
断られると言った考えがないからだろう、自信たっぷりに腕を組み僕に提案する。例えそれが理不尽な契約だろうと今の僕に断ると言った選択肢はなく。一息つき
「契約する」
当然と云わんばかりに満面の笑みで頷き
「ではいくぞ」
そこからの記憶はなく目が覚めるとベッドにいた。
夢か……