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第三十六話:吸血鬼の掟

 吸血鬼とエルフのゾンビが対峙している一方で、不可視の天使は枯れた大樹の太枝に腰かけては、どこかけだるげに頬杖をつきながら戦いの成り行きをじっと見守っていた。


 天使は思う。吸血鬼と"彼"の実力差は歴然だった。身体能力においては羽虫一匹と巨象程には格の違いがある。されど、先に相手に傷をつけたのは彼の方であった。


 実に不可解だ。いや、自身も同じ穴の(ムジナ)であったのだと、天使は苦笑していた。


 "彼"は明らかに弱い。しかし、羽虫一匹を潰すのにわざわざ弓や鋭利な剣を持ち出すなんてことはしないように、手のひらで優しく包んで潰そうとしてしまうのだから。されど羽虫は潰されまいと精一杯に抵抗する。


 掌から逃れては、隙を見ては肌を刺し、そしてまたしつこく掌から逃れようとする。そこが面白おかしくあって、ついつい遊びたくなってしまうのだと。


 だからこそ、天使はどちらかと言うと吸血鬼の女、ミラカの方に同情的であった。


「や~、でもああなったゾンヲリ君はしぶといからねぇ。クスクス」


 などと、誰にも聞こえない一人言を呟いた。


 彼は凶気と殺意を孕んだ漆黒の眼光で女吸血鬼を見据え、二つの銀の短刀を構えている。女吸血鬼の呼吸や瞬き、微細な所作を見逃さない。


 一方で女吸血鬼は今だに彼を侮っている。本来ならば瞬く時間があれば10度はバラバラに引き裂けるはずなのに、"彼を生け捕り"にするなどという目的のために自身と同じ愚を犯してしまっている。


 完全に壊してしまわないようにと、手心まで加えてしまっている。ああ、あれではダメだ。彼の相手をするならば、"最初の一回目"で必ず殺しきってしまわなければいけないのにと、天使は内心ほくそ笑んでしまう。


「ミラカを殺す? 馬鹿を言え、お前になんかできるわけないだろ」


 その言葉を皮切りにして先に動いたのは女吸血鬼の方だった。瞬間移動、ともとれる程の爆発的な猛速で彼に肉薄し、片手で掴みかかろうとする。


 何とも直線的で、工夫も無く、真っすぐな突進だ。ただ、単純に出鱈目(でたらめ)に早い。恐らく、今の彼には感じ取れすらしていないであろう領域の暴力。


 ソレに対し、彼の動きは実に鈍間で、されど迷いを無く、体軸を僅かにずらし、短刀をゆっくりと女吸血鬼の指先の位置へとなめらかに動かしていく。


 そして、女吸血鬼の指先を短刀で弾いたのだ。


 単なる直線的な攻撃に対し、寸分違いすらも許されぬ刹那的な機会に、最も弱い部位に対し、最も強い力を的確な角度で攻撃を加えることで、攻撃を弾く。


 そんな馬鹿げた芸当を平然とやりきる見切りと技術を、天使は観客気分の大げさな拍手で称えていた。


「温い」

「いッ!」


 銀の刃で払われたことで女吸血鬼の指先が切り落とされる。ということはなかった。精々小さな切り傷が付く程度。すぐに癒えるような全くとるに足らない傷。


 しかし、まさか釘が指先に突き刺さるような鈍い痛みを感じる羽目になるなどと、女吸血鬼は微塵も思ってはいなかったがために、一度飛び退こうとする。


 彼はその意識に生じた隙を見逃すこともなく、踏み込みと同時に追撃の双刃で切り込みにかかったのだ。


「むっ、とろいくせにっ。妙に"やりにくい"な。それに、お前、さっきまで手加減していたな? よくもふざけた真似を」


 距離を取った女吸血鬼ミラカは再び彼を睨みつける。


「手加減、だと? 俺は常に本気だ。何時までもふざけているのはむしろ"お前の方"だろう」


 彼は暗器として忍ばせたコバルトナイフを二本投擲し、同時に肉薄する。


 投刃を回避するのか、弾くのか、掴みどるのか、そもそも避ける必要すらもない。女吸血鬼にとってはどの選択肢を選ぼうがどうとでもなる程度のとるに足らない攻撃だ。もはや吸血鬼の反射神経や動体視力からすれば"止まって見える"と言っても過言ではないのだから。


 ただ、そんな明らかな格下から攻撃を食らってやるのは何となく"腹が立った"。大げさに避けてやるのも"みっともない"。むしろスマートかつ意地悪な意趣返しをしてやりたくなるのが性分なのだと。


 そんな女吸血鬼の心理を、彼は読み切っていた。


「ふん、芸が無――」


 安易にコバルトナイフを掴みどってやろうと女吸血鬼ミラカが手を伸ばした瞬間、不意に彼は加速する。気づけば投げナイフとほぼ同時に肉薄しているのだから、ミラカは思わず面を食らった。


 それまでに彼が一度も見せて来なかった常識外れの爆発的な加速から繰り出される二対の斬撃と、常識と予測の範疇から外れない速度で放たれた投刃が、"全く同じタイミング"でミラカに攻撃加えてきたのだから。


「いつまで俺をなめているつもりだ」


「むっ、このっ」


 投げナイフを掴むのは止めだ。と、ミラカは切りかかってくる彼に対して対処を集中する。軽く腕を掴みどって今度こそ力でねじ伏せて言う事を効かせてやればいいのだと。


 ミラカは切りかかってくる彼の喉元へ腕を伸ばした、その時だった。


「や~、全く恐ろしい話だよねぇ。自分では最適な行動を"しているつもり"になってしまうんだよねぇ、アレ。ゾンヲリ君に最初っから"誘導"されてしまっているとは知らずにさ。なんてね」


 ミラカの指先は再び短刀によって弾かれたのだ。


「いっ」


 切りかかってくるモーション自体はフェイントであった。そして、女吸血鬼からのカウンターを誘い、カウンターに対するカウンターパリングを彼は決めてみせる。


――しまっ、狙われて


 女吸血鬼の上体は完全に崩され、がら空きの心臓は短刀で穿たれ――


「うあああっ!!」


 女吸血鬼ミラカは寸での所で咄嗟に蹴りを繰り出し、彼を吹き飛ばしたのだ。


「あっ、やばっ、つい力を入れ過ぎた。殺しちゃったかも……」


 手加減も何もあったものではない、自己防衛本能と吸血鬼の身体能力から繰り出される蹴りだ。その威力は人体を容易く破砕するに足る。


 彼は吹き飛ばされるがままに巨木へと激突し、肉や骨が潰れてひしゃげるような鈍い音が鳴り響く。ああ、あれでは人体の大半はミンチ同然、間違いなく即死だ。


 相手が彼でなければ、だが。


「な……なんだよ、お前は……、なんでそれで……動けるんだ……」


 骨が砕けてあらぬ方向に曲がる腕、くの字に折れ曲がった片足、全身の穴という穴から潰れた臓腑から溢れる血が吹き出し、衣類は既に血に染まりきっている。


 だが、彼は動いている。そして、殺意の眼光は今だ失われていない。


 女吸血鬼にはそれが不可解この上無かった。こんなエルフ、見たことがないのだから。


「どうした、まだ俺は死んでいないぞ?」


 よろよろと武器を構え直すと、彼は再びミラカを睨みつける。


「もうよせ……、それ以上は本当に死んじゃうぞ。お前がそれ以上頑張ったってミラカにはもう勝てないのは分かりきってるだろ」


 一方で女吸血鬼の方は心配そうに彼に声をかけている。最初から殺すつもりがなかったのに殺しかけてしまったのだから。


「ああ、勝てはしないだろう」


「だったら――」


「ならば、ここからは"悪あがき"をやらせてもらう」


 血反吐を吐き、ゴキゴキと痛々しい音を立てながら、彼は自ら折れている骨を逆方向に折り返した。そして、二対の短刀を構えては、再び女吸血鬼の元へと肉薄する。


 最初と全く同じ勢いと殺意を込めて。


「オオオオオオオオッ!!!」


 天に轟く鬨の声(ウォークライ)をあげながら、十字二十重に双刃で切りかかる。


「うっ、くっ」


 見かけは明らかに満身創痍であるのに、痛みを全く感じていないがごとく攻撃のキレは衰えていない。むしろ、さらに"増している"のだ。そして、生易しい反撃を繰り出そうものなら、彼は冷静に弾き返してくる。


「あははははっ、やっぱりすごいねぇ。どうしてアレでああ動けるんだい? 骨も折れて神経や靭帯だって既にズタズタになっているだろうにね?」


 天使は愉快そうに笑っていた。


「うっ、くそっ」


 ミラカは先ほど"やりすぎてしまった"のもあってまともに反撃できずにいた。"掴んでさえしまえば"という焦りに任せて掴もうとすれば先ほど受けた"カウンターパリング"が脳裏を掠める。


――なんだ、これ。どうなってる? 何でミラカがやられてるんだ? 何をすればいいんだ? 分からない。 分からないぞ


 女吸血鬼は動体視力と反射神経のみで避けて来た。だが、避ける際にもクセというものは生じる。ならば簡単な話である。避け方のクセに対応してしまえばいいだけなのだ。


 それがやれてしまうのが"彼"なのだから。


「言ったはずだ。いつまで俺を"舐めている"つもりだ、とな」


 思考の迷いが動きと判断を鈍らせたのか、ミラカの頬を斬撃が掠めていく。


「いっ」


 本来、戦いが成立しようが無い程に実力差が開いているにも関わらず、何故、彼が女吸血鬼とああも善戦出来てしまっているのか。


 理由は単純だ。女吸血鬼は彼を"生け捕りにしよう"などと考えて"手加減"しているからだ。


 生け捕りにするというのは殺害するのよりも遥かに困難だ。それが、己の生命維持すら省みない、それどころか今に"死ぬつもり"で切りかかって来る相手ともなれば猶更である。


 彼は殺し合いを望み、ミラカは生け捕りを望む。この根本的な部分での食い違いがある限り、彼は善戦し続けてしまうのだ。


 無論、それだけでは生物としての隔絶とした力量差までは埋まらない。彼の動体視力では音を超える速度で動ける女吸血鬼を捉えきることは出来ないし、彼の身体能力では女吸血鬼の圧倒的な膂力には到底対抗できない。


 にも拘わらず、彼が女吸血鬼の動きに対応出来ている理由。


「お前、どうしてミラカの動きが追えている。見えているのか?」


 一度大きく距離をとり、吸血鬼は疑問の答えを求めた。


「いいや、見えてはいない。見てから動いた所で対応できまい」


「ならどうして」


「全て"勘"で読み切ってしまえばいい」


「勘だと? そんな馬鹿なことがあるか」


「馬鹿げていようが、それが出来なければ敗北するだけだというのなら。俺はそれを愚直に成すのみ、勝利のためにな」


 相手が選択するであろう攻撃行動を事前に予測し、その行動への対応策を事前に置いておくという見切りの極致。彼はそれを勘と称しているが実態は違う。


 彼は敵の行動を"誘導"する。


 もしかすれば、女吸血鬼に彼の"生け捕り"をちらつかせていること自体が、既に彼の術中ハマっているのではないのかと天使は思案する。選択肢を選んでいるつもりになって、その実"選ばされている"のだと。


 そうでなければ、たった一度でも外せば敗北するという大博打を、彼はこの戦闘で既に何十何百と押し通し続けていられるわけがないのだから。


 しかし、天使は彼の勘の良さの恐ろしさを身をもって知っている。だからこそ苦笑してしまう。


「や~…ゾンヲリ君ってば一回か二回見ただけでボクの転移を完全に読み切って予め大剣置いてきちゃうくらいだもんねぇ……。それってもはや"未来予知"の領域だから、アレをやられると本当に参っちゃうんだよねぇ」


 彼のあの鋭い凶眼で睨まれていると、思考、動き、持ちうる手札が全て筒抜けになってしまっているような感覚を味わう。同じ手は二度と通用しない、何をやっても上手をいかれ、鎧や衣服を剥かれ手足が一つずつ丁寧に千切り取られていき、最後は喉元に刃を突きつけられる。


「だから、ゾンヲリ君を相手にする時は時間を与えちゃいけないんだよね。クスクス」


「それと一つ、お前とこうして打ちあって確信したことがある。確かにお前は強力な吸血鬼ではあるが、戦士としては二流だ。"飛竜狩り"や"黒騎士"程には恐ろしくはない。間抜けな天使やオウガと比べればマシだがな」


 彼はそれまでにとっていたパリングによる反撃を重視した構えを解くと、ゆっくりと、女吸血鬼の元へ詰め寄り始める。


「……間抜けってボクのことかい? 酷いなぁ」


「なっ……、ミラカが、二流だと? お前にミラカの何が分かる! ふざけやっ――」


 自身のコンプレックスを刺激され感情を露わにした瞬間、頬を投げナイフが掠めていく。一瞬の"気の緩み"が、ミラカの回避動作を遅らせてしまったのだ。


「うッ! ぐぅぅぅ……」


 女吸血鬼は奥歯を強く噛み締める。"挑発"に乗ってしまうという自身の迂闊さでこんな単純な攻撃を掠めてしまったのだから。


――クソ、ミラカを馬鹿にして! 馬鹿にして! 腹が立つ! 屈辱だ。これじゃあ全然"吸血鬼らしくない"



「ただの気まぐれとはいえ、魅惑の君より血を与えられ血族となったのだ。小娘如きとはいえ、相応に物事と吸血鬼として"力"を身につけてもらおう」


「我ら吸血鬼の絶対なる掟は三つ、常に美しく優雅であれ、絶対者として力と畏怖を示せ、誰にも屈せぬ誇りを保て、それの出来ぬ者は血族に要らぬ」


「何故この程度の事もできぬ? 所詮は吸血鬼にもなりきれぬ半端者か」


「努力だと? そんな醜い所業を行う者などもはや吸血鬼とは呼べぬ。下等種よ」


 ――何が絶対者として力と畏怖を示せだ、何が誰にも屈せぬ誇りだ。どいつもこいつも魅惑の君にへこへこしてばかりじゃないか。 弱いミラカをいたぶる時だけ偉そうにして、クソ、クソ



――ああ、違う。そうか、アイツは……ミラカを見ても屈していない、誇りを保っている。よわっちいのにそれでもミラカに対し力を示し続けている。美しくは……ないけど、アイツの方が、ミラカよりも遥かに"吸血鬼らしい"んだ。


 女吸血鬼は一度大きく深呼吸し、再び彼を見据えた。


「……っ」


 ――女吸血鬼の目から慢心が消えた。アレはもう、俺を侮ってはいない。か。


 彼は、女吸血鬼の変化を感じ取ったのか、静かに防御の構えをとり始める。


「~すぅ……ふぅ……よし分かった。ちょっと一瞬ミラカの頭に血が昇りかけたけど。ミラカは優しいからもう一回だけ聞いてやる。なんでお前そこまで必死に抵抗するんだ? ミラカの下僕になるのがそんなに嫌なのか?」


「俺の目的を果たすにはお前の死体(からだ)が必要だ」


「なっ……何を急に言い出すんだ!? ミラカの身体が欲しいって!?」


 女吸血鬼が自身の身体を抱きかかえるようにして赤面している様子を見て、天使は呆れ混じりに苦笑する。


「や~……ゾンヲリ君、キミはもう少し言葉を選びなよ。彼女はキミの事情なんて何も知らないのだしさ。なんてね」


 そんな天使のぼやきは誰にも聞こえない。


「そ、そうか……そういうことなら、じゃあお前にだったら、うん、特別にミラカの……初めての"使徒"にしてやってもいい……ぞ?」


「使徒、だと?」


「吸血鬼に吸血された者はレッサーか廃棄物にしかなれないけど、ミラカの血を分け与えればお前はミラカと同じに成れる。もちろん、ミラカと同じだからお前も下僕を作れるようになるし、気に入った雌の一人か二人なら愛玩奴隷や餌にして飼うくらいならミラカは許してやってもいい……出来ればやめて欲しいけど……」


 女吸血鬼ミラカはモジモジしながら指先と指先をツンツンしていた。


「言いたいことは理解した、それで、使徒になる代償として俺に何を求めるつもりだ?」


「ん、勿論ミラカに絶対服従だ。ミラカが危ない時はミラカを守って、ミラカが退屈な時はミラカを楽しませる! そうやってお前はこれからミラカの為だけに生きてもらう。欲しかったら……たまにはミラカの血を分けてやってもいいし、でもやっぱりえっなのは流石に困るから……足くらいだったら……舐めさせてやってもいいぞ?」


「そんなことをして何になる。吸血鬼なら、吸血鬼らしく有無を言わさず支配すればいいだろう?」


「お前を無理矢理支配して人格を歪めてしまったらすごく弱くなる……それこそ、ちょっと前に作った下僕と大差ないくらいに。だから、お前には心からミラカに服従してほしいんだ。言っておくけどな、使徒を作るのはミラカにとっても結構勇気がいることなんだからな、血を分けるとミラカも弱くなっちゃうから」


「そうか、だったら諦めてくれ」


「ふん、ここまでミラカに言わせておいて、逃がすと思ってるのか?」


「なんだと?」


 女吸血鬼ミラカは大地を蹴ると、再び爆発的な速度で彼に肉薄する。そして、短刀に切り刻まれるのを承知で、身を守りながら身体で突進を仕掛けたのだ。


「ぐっ」


 指先を真横から狙えたからこそ弾けた。しかし、なりふり構わないタックルともなれば、パリングで弾くことも体勢を崩すことも叶わない。


 そして、彼を両手で抱きしめるように地面に押し倒して――


「ミラカの目を見ろ」


 目と目を合わせた時、ミラカの瞳孔が怪しく光った。


「ぐお……"魔眼凝視(ゲイズ)"だと。こ、ん、なもので……」


 彼は最後の力を振り絞り、手に持った短刀をミラカの後頭部に突き刺そうとする。しかし、ミラカは攻撃を防御しなかった。後頭部を突き刺されるのもお構いなしに彼を両手で拘束し昏睡の魔眼で見つめ続ける。


 そして、彼は力なく崩れ落ちる。結局、女吸血鬼ミラカが彼を格下と侮るのを止めてしまえば、この結果に帰結するのは必然だった。


「~~~~~~ッ。いったぁぁ! いったぁああああい! うう、まさか本気で銀の短刀でミラカの頭をくし刺しにしてくるだなんてどうかしてる。 グラーキスでも八つ当たりするときは流石に顔や頭や心臓は狙わないんだぞ……。うう、痕になったらどうしよ……」


「……」


「よっと、お前にはミラカをキズモノにしてくれた責任をとってもらうからな」


 ミラカは彼を片手で担ぎ上げると、夜霧に包まれた森の奥地へと消えていった。その様子を眺めていた天使は姿を現すと、ため息交じりに首を左右に振ってみせる。


「やれやれ……仕方がないとはいえ、ボクの出番が必要になりそうかな? まぁ、彼に恩を売って好感度をあげるのにはいい機会かもしれないね」


 天使はそう言い残すと、その場に一枚の白い羽を残して消えていった。

ゾンヲリさんが負けるのは割とよくあることでもある。ゾンヲリさんは一戦目はよく遊ぶからな……(ウメ〇ラ


いつもゾンヲリさんの傍にいてどんな時でも透明で実況もできるヨムちゃんは便利で都合のいい女である(なお……独り言がお労しいというのは置いておこう

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