第五十八話:機械仕掛けの天使と壊れかけた悪魔
※すみません 今回は結構長いです。 およそ1万5千字ありますので時間に余裕がある時に読むのをお勧めします。はい。
既に独房区間の鍵付き扉は開錠されて開け放たれており、十字路まで戻ると床にはブルメアの物と思わしき出口へと向かう足跡が残されていた。
「ブルメアは無事に脱出したようだな」
ならば、私は他の部屋を探し、ネクリア様のために何らかの資料を持ち帰るべきだろう。
十字路の教化室へ向かう方角とは反対側の通路へと向かう。簡易的な鍵付きの木造扉で仕切られていたが、ダインソラウスで破壊して奥へと踏み込む。
構造は教化室へ向かう道と同じかと思われたが、こちらは生活するための空間に改装されているらしく、廊下にある個室も独房と比較すると清潔だ。軽く個室の中を一つずつ確認すると、乾燥食糧や資材などを保管するための物置もある。
ベッド、作業机、聖典などが収納されている簡易的な本棚の置かれている個室の中へと踏み入る。ごく最近にもベッドが使用された痕跡があることから、休憩室だろうか。
「これは、日誌、いや報告書か?」
何故か、机の上にタイトルが見えるようにわざとらしく置かれていた。地下に隠し部屋を用意し、扉に鍵までかける程に隠ぺいを徹底していた司祭にしては明らかに杜撰で不自然すぎるのだが。
「黒死病感染実験報告書。被検体……コボルト……なんだ……これは」
―――――――――――――――
原生住民の土人は黒死病に対し強い耐性を持っているようであり、通常我々が感染する黒死病を投与しても発症には至らない。これでは土人共に神の奇跡を与えて骨抜きにすることが出来ない。
よって、土人にも感染する黒死病を作り出すために、ネズミやコウモリなどの中間宿主に一旦黒死病を媒介させ、それらの糞を混入させた物を土人の餌としながら飼育する。あるいは、糖蜜を土人の全身に塗りたくり、それを黒死病を保菌したネズミやブタなどの動物に食害させるといった拷問を課すことで、土人から抵抗力を奪い黒死病を感染させる実験を行う事にした。
結果、142体目の土人から黒死病の発症が確認され、143体目の土人への伝染も確認できた。これを"市長"へと報告し、協議したところ、黒死病を保菌させた土人を鉱山都市から追放してあえて土人の集落へと逃すという方法をとる事にした。
結果、土人共の生活圏に黒死病を蔓延させることに成功した。この実験結果を参考にして、エルフの勢力圏にも黒死病を蔓延させる事が出来れば、いずれ亜人共は神の御加護と教会の奇跡の前に屈することになるでしょう。つきましては――
――――――――――――――
「……下らないな」
だが、イリス教勢力の司祭と帝国貴族の市長が秘密裏に繋がっていた証拠資料くらいにはなるか。同様の実験記録を回収できれば、ここで回収したゾンビパウダーの件も含めてゲートルド市長との交渉材料に使えるだろう。
オウガの一件でオルヌルに罪を着せるのは証拠不十分で無理筋でも、市長と司祭との繋がりからイリス教による陰謀説に持っていくことは出来るかもしれない。
そう思って、個室の本棚や机の隠し棚を確認して回ったのだが……他にロクな資料が見つからなかったので個室を後にした。
最奥の部屋へと向かうと、そこは書斎になっていた。
広さは教化室と同様に広く、壁一面には眩暈がしてきそうになるほどの大量の書籍が収納された本棚が立ち並んでいることから、小さな図書館と言っても過言でもない。正直、この中から私達に必要な資料を探し出すのは丸一日かけても難しいだろうな。
実際、目の前の棚から一つ本を手に取って中身を調べると、小難しいことが書いてあるだけのただの宗教本だった。斜め読みで飛ばしてもそれなりに時間を浪費してしまうだけだった。よって、手当たり次第に本を手に取り、タイトルと目次だけを読んでは本棚に戻していく方向に切り替えていく。
「神と信仰を持たざる暗き者達、神学、優れた性と劣等種族、魔法学、魔薬調合学、亜人史、人体解剖学、奴隷心理と人心掌握、異端を罰する百八の拷問……これもハズレか」
正直に言えば、このような本棚など焼き払ってさっさと探索を切り上げたくもなるのだが、先ほどの実験資料を見つけてしまった以上、調べずに帰るわけにもいかない。木を隠すなら森の中と考えるなら、やはりここに重要資料が隠されている可能性が高いのだから。
報告書の類となれば"手書き"で丁寧に装丁されていない本に目星をつけては探し回ってはいるのだが、結果はあまり芳しくはない。
だが、気になる点は見つかった。
「……最近"誰か"がこの部屋で本を読んでいたか?」
清潔といっても、この部屋の中には沢山"埃"が積もっている。特に、誰にも読まれていないような本には大量の埃が積もっているのだが、所々には"埃が払われた跡"がある本が散見された。
これはつまるところ、"最近"になってその埃まみれの本を手に取り、読んだ後に埃を払って元に戻したと推測できるだろう。
そして、本を読んでる者にとって"つまらない本"の置かれている区画は埃が積もっているし、本を読んでる者にとって"面白い"本の置かれている区画は埃が全体的に少なくなる。という傾向から調べるべく本棚に目星を付けていくと、一枚の"純白の羽"が地面に落ちているのを発見した。
まるでここを調べろと導いているように。
「……」
誘い込まれている……。一見罠ではないように見えるが、直感的にはそう感じた。それでも、純白の羽はネクリア様に見せれば手がかりくらいにはなるのだから、回収をしない理由もない。
ここに敵が居なければな。
「そろそろ出てこい。そこで見ているんだろう?」
ダインソラウスと暗器を抜いて構え、背後に向き直る。だが、視線の主は何も語らない。
「……しらばくれるか、ならば」
視線を感じる先へ目掛け、最小限の動作で暗器の投げナイフを投擲する。
「うわわわわっ! 急に危ないじゃないかっ! もう!」
すると、気配を感じた位置とは全く違う場所に白い羽の落とし主が現れたのだ。
おかしい、気配察知を狂わされる幻術の類を食らっているのか? いや、私が幻術にはめられているならば今の投擲で天使が"焦る"ことは無い。
私が暗器を投擲する直前までは、確かに"そこに居た"からこその反応。と見るべきだろう。そして、いきなり"別の場所"に現れたかのような違和感がある。
無論、目にも留まらぬ音速すらも超えた速度で移動する魔獣の類などいないわけでもない。だが、仮にそれだけの速度で高速移動したと考えるならば、明らかに"勢い"がなさすぎる。地にしっかりと足も付けていないあの姿勢では停止制動も困難だろう。背中の羽で飛ぶにせよ、魔術的に飛翔するにせよ、やはり加速と減速の際にはどこかに"反動"が現れる。
なのに、それが"一切"ない。
つまり、点から点への瞬間移動……転移を行っていると考えるのが最も可能性として高い……か。あるいは、私が一定時間何らかの魔術的作用で時の流れを感じる事が出来なくなる……即ち石化や完全凍結に近い"停止"状態に陥っていたという可能性もありえる。
……私の知りえる常識では到底計り知れないが、それすらも行えてしまうのが"奇跡"、か。
「や~……全く、ここはボクがだ~れだって言いながら後ろからキミの肩を叩いて、キミが振り向いた所をボクがキミのほっぺを指先でプニって押して雰囲気を和ませる場面になるはずだったけどね? それにボクはこれでも見目麗しくてか弱いな女の子なんだよ? そんな可憐なボクに対して、そんな太くておっきくて物騒な剣を向けながらナイフを投げてくるだなんてさ~、君も結構ヒドい人だよね~」
いずれにせよ、目の前にいる女は一見とぼけてはいるが、極めて危険だ。
巧妙に隠そうとはしているが、纏っている魔力の質と気配から推察しても最低でもハイウィザード級の魔術師や上級悪魔以上の脅威であるのは間違いない。下手をすれば、魔族国の貴族悪魔相当かそれすらも超えうる。
恐らく、無詠唱は当然だが、誘因起動詠唱や遅延詠唱を利用した罠、多重詠唱や短縮強化詠唱による面制圧程度ならば容易くこなし、これらを複合で利用してくる可能性もある。
そして、先ほど見せた"転移"か"停止"。こちらの攻撃は防がれ、対魔術師に対する定石である近づく事にしても容易ではなく、仮に近づけたとしてもいとも容易く距離もとられてしまう、か。
あの投擲を防がれるならば、無策でダインソラウスで切りかかったとしても万が一にも当たりはしまい。
「なるほど。これが、天使、か」
勝ち目が全く見えない、絶望的だ。直感と本能の両方が警鐘を鳴らし続けている。だから戦いは絶対に避けろ。すぐにでも全力で逃走するか平伏して慈悲に縋れと。
「そんな怖い顔で睨まないで欲しいな~、ほらほら、笑顔笑顔~」
天使と思わしき女は指先で両方の頬を押して口角をあげるようなあざとい仕草をして見せるが、死んだ魚のような目をしていてまるで笑顔には見えない。
一応対話の意思はあるようだが、主導権は向こう側にあるだろう。明らかに私を見下しているのも見てとれる。
「……」
右手には引き抜いた聖銀の短刀を、左手にはダインソラウスを、一方は上段からの攻撃に対するパリングと投擲の為に、もう一方は下段からの攻撃、あるいは即座にダインソラウスを盾代わりにするための十字防御の構えをとりながら、天使を見据える。
「や~……それがキミの見せる笑顔なのかい? まるで飢えて牙をむく獣のようだね」
……喉が渇き肌がひりつく。血が沸き背筋が凍てつき身体が震える。この場に私を止める者は誰も居ない。守らなくてはならない者もいない。
この感覚を味わえるのは……今だけだ。今だけは、俺を縛る枷がない。己の全てを尽くして、目の前にいる強大な敵との死闘に果てる機会があるのだ。
「……ふざけた前置きはいい。さっさと始めないのか?」
「や~……キミは何でそんなに好戦的なんだい?」
……天使から指摘を受けたことで多少冷静さを取り戻せた。蝋燭に混ぜられている"神の肉"の香のせいか気が昂っていたのかもしれない。
「既に私という存在が見られてしまっている以上。この場で口を封じる以外に活路はないだろう」
「その方法だけは色々な意味でお勧めしないよ~?」
「……」
私が目の前にいる天使の口封じることが出来る可能性は限りなくゼロに近い。逃げられてしまえば追う術がないし、単純に勝つことも困難だろう。
だが、ここでこの天使を逃せば、天使の"増援"を招くという最悪の結果になる。一体だけでこれなのだ、2体以上現れたらどうにもならなくなる。
「う~ん、このままじゃキミが納得してくれなさそうだね。だから、キミの為に"神に誓って"宣言してあげるよ。"ボクはキミとお話しにきたんだ"。それと、ここでボクが"見た"ことは全部"見なかった"事にしてキミ以外の誰にも言わないよ。だから安心して欲しいな。あ、ボクが神に誓う事の意味の重大さはキミなら分かってるよね?」
恐らく、禁足事項に触れると司祭やシスターが奇跡を使えなくなったような"罰"が下るというのは天使も例外ではないということか。ならば、つけ入る隙があるのだとすればここだ。
「……神に誓って宣言した以上、天使であっても嘘は絶対につけないということか?」
「そうだよ~? 誓いを破るとボクに罰が下る規則があるからね。」
だが、この天使がその致命的な弱点を認識していないわけがない。
「……ここで"聞いたり話した"事は誰かに言っても嘘にはならないのだろう? ただの詭弁でしかないな」
「や~……キミってばするどいね……。もしかしてボクと似た者同士だったりするかい? なんてね。でも宣言をした以上ボクの言葉を信じてくれると嬉しいな」
後者は詭弁だったとしても、"話をしにきた"という言葉だけは確かに真実なのだろう。そこだけは信用してもいい。尤も、話をしにきた"だけ"とも限らないのだが。ここでゴネてもどうにもならない。
「分かった、信用しよう」
「それじゃあまずは自己紹介をっと言いたい所なんだけど、ボクは規則上自分から本当の名前を名乗ることは許されないんだよね。だからキミがボクの名前を好きに呼んでくれていいよ」
自分から名を名乗ってはならないというのは妙な規則だ。名を名乗る事に大きな意味があるのか? いや、そう言えば以前ネクリア様が言っていたな。
名前がどれだけ重要か分かってるのか? と。
「では、どう呼ばれたい?」
まずは、会話と観察から相手の引き出しと"底"を探るべきだろう。少なくとも、転移か停止の実体が何なのかを知らないまま挑めば確実に負ける。
「そうだね~、なるべく可愛い名前がいいね」
「それは困ったな。私は貴女について知らない事が多すぎる。名前を呼ぶにしても見当違いになってしまうだろうな」
「お、ボクの事に興味があるのかい? いいよいいよ~何が聞きたい? 何でも、は答えてはあげられないけどね」
「では、貴女の立場、あるいは階級はどういう位置にある?」
「今のボクの階級は便宜上は大天使。個体識別番号はAA-WH3型46号。そうだね~第三世代型の有翼人型天使の中では46番目に作られた天使って意味さ。あ、アークエンジェルって分かるかい?」
大追放が行われる前までの大天使と呼ばれる存在の総数は1000体程、そのうち666体が悪魔として堕ち、イリスの元へと残った個体数は334体だ。
ならば、個体識別番号とやらが"46号"という非常に若い点については十分に留意しておくべきだろう。ネクリア様が錬金薬を開発する過程において試験品には番号を付けることがあるが、識別番号が若い程"実験的"な側面が強くなり、後継になるほど機能が洗練されてくる。
単純に考えれば番号が多い程強くなると考えられるが、機能が次第に洗練されてくるに従って"余分で余計なモノ"を削ぎ落していき、"費用対効果"や"量産性"を高めるといった方向へと変化することもある。その際、安価な素材で代用したり、目的を果たせるレベルまでならば品質の低下をある程度"妥協"するというのもあり得るのだ。
よって、後継の番号だからといって必ずしも上位互換となるわけでもない。
「知らないな。精々私が知っている事はと言えば、天使位階にして第八位、地上での活動を許された天使の中では最も位の高い階級。また、最上位の熾天使でさえも地上で活動する際にはアークエンジェルとなることから、実質天使が本来の位階を偽りながら地上で活動するための"方便"として使われる位階であるという予測を立てられる程度だ」
天使の位階に関してもネクリア様から既にある程度は聞いてある。元熾天使、現魔王リリエルが地上で活動する際には大天使となっていたことから、この階級を名乗る天使の実力や権威というのは、つまるところ"ピンキリ"、何の参考にもならない指標でしかない。
「や~……ボクが言おうとしたことを先に全部言わないで欲しいなぁ……。キミってば結構イジワルな性格してるね?」
「よく言われるよ」
魔族国の貴族悪魔であるベリアル達も、悪魔へと堕ちる前までは戦闘という目的に特化した大天使だったと言われている。そして、遠目で見た彼らの容姿は皆似通っていたがこの大天使はそうではない。
ベリアルの筋骨隆々さとは程遠く、むしろ精巧な人形のようにあまりにも整いすぎていた。女性的で美麗な容姿。飛翔や滑空する機能を持たない見せかけだけの純白の翼、戦闘では邪魔になるだけな黄金色の長髪、ヒラヒラしたスカート付きで目立つ白い配色の装束。そして……豊満だった。
天使という偶像そのものを具現化させたような存在だ。
「ん、んん? 急に目反らしてどうかしたのかい? まさか……キミもなのかい? や~仕方ないね~。ボクってば可愛いからね~。いやいや~罪作りで困っちゃうな~。クスクス」
などと抑揚のない声調で照れたフリをしながら、天使はわざとらしく谷間を強調させるように身を抱く仕草をしてみせる。それは、天使というよりもはや淫魔に近いとすら思えてならない。例えるなら、まるでネクリア様が二人になったかのような感覚を……やめよう。これ以上は頭の痛みが強くなる。
……相手の身体的特徴や動きのクセから何かヒントを探ろうとする際に、ついつい視線が吸い寄せられてしまったと気付いてすぐに目は反らしたが、それで逆に気取られた形になってしまった。
これは私の悪いクセだ。私が天使を見ているように、天使も私の一挙手一投足を観察しているのだから。
「はぁ……お互い、ふざけるのは止めにしておこうか」
「や~、ごめんごめん。ボクもまだまだ勉強不足だったよ。ここは気付かないフリをしてあげるのが乙女として正解だったかな? まぁ、ボクとしては本懐を果たせて嬉しいからもっと見てくれても構わないよ? 別に見られたって減るものものでもないからね。 ほら、なんならこうやって衣服もめくって見せてあげようか? クスクス」
「……」
調子にのって留めるボタンを外し着ている衣服をめくりあげようとする天使に対し、無言のまま投げナイフを投擲する。
「うわっ、なんで急にナイフなんか投げるんだい! 驚いたじゃないか」
しかし、ナイフは当たらない。天使はその場から一瞬消え、すぐ隣に再出現することで投げナイフを躱してみせたのだ。
消える前の一瞬と再度現れた時の"姿勢は変わらない"。衣服をめくりあげようとしているままだった。ならばやはり、これは瞬間移動、空間"転移"と見るべきだな。
そして、転移した方角の位置は二回とも同じ。これをわざと私に見せているのか、あるいは……。いずれにせよ、有益な情報だ。もしも後者であればブルメアがこの場に居てくれたなら3連速射で"転移"そのものを狩るという算段も生まれる。
……あくまで居ればの話だ。この場にないものをねだっても仕方がない。私に使える遠隔攻撃手段は連射の効かない投げナイフ投擲のみ、予備も残り少ない。これ以上の無駄打ちは出来ない。
だが、万が一も無かった勝算が万が一までは見えてきたぞ。万が一と"ゼロ"では天と地の差があるのだから。
「愚弄も過ぎると言葉より先に刃が出る事があるぞ」
無論、さっきの投げナイフは天使の油断に乗じて殺すつもりで本気で投げた。常人ならば反応すらも出来ないはずのものだ。だが、天使には"見えていた"。油断した上でも躱せる余裕があった。
そして、本来ならば咎められるべき今の不意打ちでさえも全く気にも留めていない。それだけの絶望的な力量差が私と天使の間にはある……というわけか。
「いやいや、ごめんって。別にキミを馬鹿にする意図は全くなかったんだ。ただ、ちょっと前に出会った人間を参考にしたからね、こうしたらキミも喜んでくれるんじゃないかって思っただけなんだよ」
「それは、司祭のことか?」
「うん、そうだよ~。彼ってばえっちでね~、出会ってすぐにボクと子作りしたいっなんてエッチな事言い出すものだから流石のボクもちょっと困っちゃってさ~」
「だから私が司祭を殺すのを黙って見捨てたと?」
「見捨てただなんて人聞きが悪いな~。ボクは見守ってただけさ」
「ならば何故黙って見守っていた? 司祭はお前達の仲間だろう?」
「司祭が仲間……というのも少々誤解があるね。何千匹も家畜を飼ってる羊飼いで例えるとね。危険な狼の巣に寝ぼけながら踏み込んだ家畜一匹に対し、キミは仲間意識を持つことがあるのかい?勝手に狼を怒らせた愚かな羊がどうなるのかを眺めている方が面白そうじゃないかい?」
「……なるほど?」
実に上位者らしい感性だ。その方が都合がいい。これなら殺しやすく、殺す際にも後腐れがない。
「や~……。どうしてかな~……。なんかまたキミからの好感度が下がる音が聞こえた気がするな~……」
「時に聞くが、貴女はキョウカの刑獄というものを知っているか?」
「ああ、知ってるよ。アレは人間を強靭な魂に鍛え上げながら、神の供物に適した従順な魂に調教するには実に効率的で合理的な施設だからね。ボク達天使の間でもかなり有名だよ。今はまだ全人間の1割にも満たないくらいの規模だけど、いずれは9割くらいまではアレで人間を調教してしまおうって意見もでてくるくらいさ。ボクも一回視察したことはあるけどね~」
なるほど。アレには天使も絡んでいる、と。
「ってああっ! まったまった! 違うんだ! 誤解のないように言っておくけど、ボク個人としてはアレは随分と趣味が悪いと思ってるからね。確かに人間は実に自分勝手で矮小で身の程を知らずで無知愚昧で愚鈍な生き物だけどさ、ボクはそんな人間が一生懸命無様にもがいてる姿が愛おしくて大好きなんだ。なのに、意思も感情もない人形にしてしまったらつまらないじゃないか」
「……そうか、よくわかったよ」
この天使や、その他の天使には容赦は一切必要ない。ということがな。
「や~……あはは……。ここはもしかして、虚しい努力を懸命にし続ける哀れで浅はかな人間に手を差し伸べてあげたいな~って思った。と言った方が正解だったかな? いや、その、ボクとしては悪気はないんだよ」
幼子がムシケラを指で潰したり、籠の中に閉じ込めては野垂れ死ぬまで餌も与えずに眺めたり、バケツ一杯の水を巣穴の中に流し込んで無邪気に遊ぶようなものだ。悪気などないのだろう。
そう、ただ、遊んでいるだけだ。ムシケラの鳴き声の意味など一々考えないように。
「そうだな、どれも事実なんだろう。"お前"達にとってはな。だから気にする必要は何もない」
「うん、そう言ってもらえるとボクも嬉しいな。ただ、一言だけ言い訳を言わせてもらうとね。ほら、実はボクってば何百年も生きてるけどさ、人間とこうして直接顔を合わせてゆっくりとお話するのは今が初めてなんだ。それまではキミ達にとってはかなり独特な感性の持ち主の方々とばかりかなり狭い範囲でかなりなが~~~くお付き合いしてきてるからさ、ボク自身も考え方が多少は歪んでるかもって自覚だってちょっとだけあるんだ。でもその辺はキミ達人間に合わせて追々修正していくつもりだから、あまり怒らないで欲しいな。あ、ほら、そんなことよりボクをどう呼ぶか考えてくれたかい? 聞きたいな~」
こんな奴の名前を真面目に考えろだと? 馬鹿馬鹿しい。
「46号は長いな、ヨムでいいか?」
「や~……46号だからヨムって……また随分と安直な呼び方だよね。でも嫌いじゃないな~。うん、むしろ好きだね! 親近感が湧いちゃうよ」
相変わらず声には抑揚がなく、表情は最初から一切変化がない。どこか気だるげで、無気力そうにしているままだ。この天使が一体どこまで本気で言ってるのかがまるで読めない。
「じゃあ、今度はボクからキミについて色々と尋ねてもいいかい? まずはお名前から聞きたいな~。ほら、自己紹介と挨拶は大事だって人間も良く言うしねぇ? ゾンヲリ君」
「ゾンビ戦士のゾンビウォーリアーだ。間違えるな」
「あれ? ゾンヲリ君じゃなかったのかい?」
「そう呼ぶ者もいる」
「ああそうか、ゾンビウォーリアーだと長いし、親しさを込めてゾンヲリ君って呼ばれてるんだね。それで、ゾンビ戦士だからゾンビウォーリアーって……キミもまた随分と安直に雑な名前を付けられたんだね~……ちょっと同情するよ。でも、そう考えるとキミがヨムって呼んでくれるのは親しさを込めてかい? 嬉しいな~ってあれ~……? ここはボクがキミの名前をを聞く前に言い当てる事でキミが驚く場面になるはずだったんだけどな……」
「あ~なんという事だ。名前を知られているだなんて。一体どうして!? とでも狼狽えながら驚いてやれば良かったのか? それとも家畜のように平伏してみせればよかったか? 悪いな、天使様の望むような反応を返せる程気が利かなくてな。悪気はないんだ。許してくれ」
この天使はいつまで下らないやり取りを続けるつもりなのか。いい加減うんざりしてきたぞ。
「や~……。うん、ごめんよ。ボクが悪かったよ。同じことを言われると、こう、ムっとするものがあるんだね。おかげでほんの少しだけど、ムッとするって感情を思い出せたよ。というか、キミ、もしかしてボクのことを馬鹿にしてるかい?」
「ようやく気付いたのか? 呪いもすれば呪われもすることにな」
「何となく、キミのことが少しだけ分かった気がするよ」
「そうか。これでようやく無駄話も終わりか?」
再び剣を持つ手に力を込める。
「まぁまぁ、落ち着きなよゾンヲリ君。キミがそうやってボクに剣を向ける事に何の意味があるんだい?」
「敵を一人減らせる。それ以外の理由が必要か?」
「う~ん……キミのいう敵というのはボクや天使の事を言っているのかい? それは何故だい?」
「お前達は"悪魔"を滅ぼしたいのだろう?」
「それは誤解さ。 確かにそういう天使が居ないとは言えないけれど、少なくともボクは悪魔を目の敵にはしてないよ。だって悪魔はね、人間達の魂を鍛えるために与えた試練なのさ」
「そうして、"試練"によって鍛えた人間達の魂を収穫し糧としながら、神への服従の信仰を植え付ける事で家畜化しているのだろう?」
「うん、否定しないよ」
「信仰を得るには目立つ神話が必要だ。倒されるべく邪悪な悪魔を討ち滅ぼす正義の神話がな。ならば悪魔とは、お前達の踏み台となる為だけに生まれた存在ではないのか? だからお前達天使は今日まで悪魔を生かし続けてきたのだ」
「うん、否定はしないよ。でもね、ゾンヲリ君、キミは悪魔なんかじゃないだろう? キミをそんな死肉に閉じ込めては顎でこき使ってる奴の方が、ボクよりよっほど邪悪だとは思わないかい?」
「何が言いたい」
「ボクはね、キミを悪魔の魔の手から救ってあげたいんだよ」
「……っ!」
思わずネクリア様の名を出しそうになった。動揺するな。私の状態を見て、ある程度の知識がある者なら容易く辿り着ける程度の解答だ。
だが、天使の言ってる言葉が全てが間違いでもないだけに、棘のように胸に突き刺さってくる。
「キミはずっと辛い苦しみ耐え続けているだろう? 魂の状態を見れば分かるよ。キミはもう、壊れかけてる。このままじゃ近いうちに本当にキミが壊れてしまうんだ。 ボクはね、それが残念でならないのさ」
私が壊れかけている。というのは自分が一番理解している。だが、やはり見る者が見れば外からでも分かるのだろうな。
最近のネクリア様は私を見ては浮かない表情を浮かべる事が多くなっているのだから。そして、無理に明るく振舞おうとしていることも。
お互い、気付かないフリをしては誤魔化しあっている。
「それがどうかしたのか? そんな事は承知の上で私は此処に立っている」
「ボクならキミのその死の苦しみから解放してあげられるよ」
「……神の供物となることを解放と呼ぶわけか」
「違うよ。ゾンヲリ君になら"特別"に苦痛のない強靭な肉体を用意してあげられるかもしれないんだ。勿論、生前の生活にだって戻れるし、生きてた頃よりきっとずっとずっと強くなれるよ?」
まるで夢のような都合のいい言葉を天使は語っている。すぐにでも飛びつきたくなるような誘惑だ。
「なるほど……それで、その方法とやらは何なんだ?」
「天使になってみないかい? キミならなれる資格は十分にあるよ。天使になるとすごいよ~悠久の若さ、強靭な肉体、膨大な魔力、永遠に戦い続けられる体力、そして今なら出血大サービスで美人で可愛いお嫁さんもついてくると言ったら?」
「それは、魅力的な提案だな。ついでに聞くが、可愛いお嫁さんというのは?」
「ボクっていうのはどうだい?」
天使になる価値が一気に下がったな。むしろ呪いだろう。これは。
「あ、勿論、キミが望むならだけど、ボクに出来る事は何でもしてあげてもいいよ? エッチな事だってね。 自分で言うのもなんだけど、悪い話じゃないと思うんだよね~」
そう言いながら、ヨムは無表情のままクネクネとセクシーポーズを取り出す。その姿は珍妙さを通り越して人を馬鹿にしているとしか思えない。
「そんなものはお断りだ。俺を愚弄するのも大概にしておけよ」
こと後に及んで色仕掛けをしているつもりか? どこまでが本気でどこまでが馬鹿にしているのかが全く分からない。表情から感情が一切読めない相手との会話がここまで厄介だとは思わなかった。
「えぇ……。ボクって実はそんなに魅力ないのかい? おかしいなぁ……」
「そうは言っていない」
「じゃあ、やっぱり、ボクが大嫌いだからとかそういう理由だったり?」
「好かれていない自覚はあったんだな。だがそんな物は関係ない。お前は天使になるメリットばかりを熱く語るが、代償と危険性については何も語らなかったな?」
「や~……だって聞かれなかったし、言ったらキミが天使になってくれないと思ったからね……」
聞かれなかったから言わなかった。契約書の端に記された小さな文字を読んでいなかった。騙す人間の使う常套句だ。
「そんな奴の言葉を信用できるとでも? 無論、聞かずとも代償については検討くらいはつく。お前達の"神の支配"を受け入れなくてはならないということくらいはな」
「じゃあ、これは言っていない事なんだけど……、実はキミならもしかしたら天使へ転生する際に行われる魂の"加工"にも耐えて自我を残せるかもっていう淡い期待もしているんだよね。キミは既に似たような"経験"をしてもなお自我を保ててるようだから」
「加工だと?」
「今は人間を天使に転生させる際には、不必要な記憶とか自我とか感情みたいなものを全部削ぎ落として"漂白"する工程があるんだけど……。ほら、そういうのって天使として働く上で全部邪魔にしかならないから……。でも、これも完全じゃなくてね~。エゴが強い魂になってくると残滓みたいなものが不純物として残ったりするのさ。だから事前に神への服従を誓う信仰を植え付けたり、キョウカの刑獄で調教してエゴを事前に取り除いてしまおうなんて発想が生まれてくるんだけどね」
抑揚のない声、変わらない無表情、不要なモノとして削ぎ落された結果だ。それが、目の前の天使、ヨムの姿だというわけか。
「それで俺が自我を残せた所で何になる?」
「ほら、ボクが天使となったキミとお喋りしてあげられるよ? 百年でも千年でも万年でも、気が遠くなるくらいの長い時間をずっとず~~~~~っとね」
数百年という歳月を浪費し続けた者の精神など、俺には分からない。ヒトから見たムシケラは生き急いでいるように見えるが、ムシケラから見たヒトとは何なのかは分かりはしない。
「お前は、それを本気で言っているのか?」
「本気も本気さ~神に誓ってもいいよ~」
「ワケが分からないな。何故俺に執着する」
「何故なんだろうね? ただ、一人で下界を眺めてずっとぼ~~~っとしてるのはひどく退屈なんだ。天使達はボクから話しかけても無駄な会話は何一つしてくれないし。こう、胸の辺りがぎゅーっと締め付けられて息が詰まるんだよね。だからボクはゾンヲリ君とこうやってお話していると楽しいって感じるし、キミなら天使になってもボクとお話してくれそうだからね」
ようやく、俺はヨムという天使が何を考えているのかが少しだけ分かった。
ヨムは天獄の中で悠久の孤独を生きることに"寂しさ"を感じているのだ。そして、ヨムは寂しさを誤魔化すために俺と共に天獄での苦痛を共有したいと言っている。俺が"漂白"に耐えられる可能性があってしまったばかりに。
……つまり、ヨムもまた神の摂理の犠牲者なのだろうな。半端にヒトとしての精神を残してしまったが故に苦痛を感じ続けることになっている。
「それは半年どころか半月もすれば嫌気がさしてきそうな程の苦行だな。尤も、そんな事もどうでもいい。お前は、俺という人間をまるで理解していない」
天使となれば神のルールに縛られ、神の命ずるがままに動かなくてはならなくなる。そこには自由はない。肉体は生き続けてたとしても自我と意思は完全に殺される。あるいは、神にとって都合のいい自我に塗り替えられてしまう。
それを生きていると呼んでいいのかどうかは疑問だ。
「だったら拒んだ本当の理由くらいは聞いてもいいかい?」
「天使になってしまったら"気にくわない奴ら"をバラバラに切り刻めなくなる。俺は俺の意思で死に方を選ぶ。お前達の神の指図をうけるつもりはない。それ以上の理由が必要か?」
結局のところ、戦う理由などこんなものだ。そして、この程度の理由すらも無くしてしまえば、俺は俺でいられなくなる。それは、既に死に終えているも同然だ。
戦いに生き、戦いを信じ、戦いに果てる。それ以外の死に方は俺には出来ない。
「や~……そのバラバラに刻みたい気にくわない奴ってさ、神の事を言ってるのかい?」
「勿論そうだと言ったら?」
「ふふ……あはっ! あはははははははっ!」
天使は無表情のまま抑揚のない声で高笑いを始めた。
「何がおかしい?」
「あ~お腹痛い。いや、ごめんよ。でもあまりにもおかしくってさ。ゾンヲリ君、キミ如きが神を屠れると本気で思っているのかい? ボク如きにすら恐れを抱いてるキミが?」
ヨムは"ボク如きにすら"と自分をも見下しながら、"キミ如き"と私を見下す。そう思わせる程の絶望的な差があるのだろう。神と天使、天使と人の間にはな。ならば、その言葉は絶望と無力感から生まれたものだ。
ヨムという天使の底が見えてきた。
「ゾンヲリ君、今からでもいいからその狂言を撤回する気はないかい? 天界を敵にしてしまったら本当に冗談じゃすまないよ」
「ならどうすればよかったのだ? どの道、お前達は9割以上の人間をキョウカの刑獄に押し込んで隷属化するつもりなのだろう? 何もせずともいずれは押しかけて来ると言うのなら、降りかかる火の粉は払わねばならない」
「それでも、もう数百年はかかる話だよ。少なくとも今のキミ達の世代では殆どが関係のない話だと思うけどね」
関係のある者もいる。ネクリア様やブルメア。長命種族の者達にとって数百年など大した年月ではない。そして、現にシスターアンジェはあの場所に囚われ、肉体と精神に対する苛烈な凌辱を受け続けていた。
「俺は信じる者に剣を貸すだけ。剣は切る相手を選ばないように、全ては振るう者の意思に委ねられる。剣を持つ者が神を屠れと言うのなら、俺はそれを愚直に成すだけだ」
既に契約は交わされている。それを己の都合で翻すのは戦士の恥だ。
「……悲しいなぁ。ボクは純粋にキミの為を想って言ってるのに……。ああ、そうか。これが悲しいって感情なんだね……。キミと話してると色々な事を学べるよ」
「それは、お役に立てて何よりだ」
「多分無駄だと思うけど一応もう一回聞くよ? ゾンヲリ君、キミがやろうとしてる事は無意味だよ。何にもならない。ただ苦しいだけの生き方だ。キミが挑もうとする神は本当に無慈悲だよ? キミがどれだけ頑張って前に進んでも最後はまるでムシケラのように潰されてしまうんだ。そしてキミは罰されるよ、正義もないし名誉もないし幸福もない。キミが守ろうとしてるものだって全部蹂躙されて壊される。それでも悪魔として神に刃を向けるつもりかい?」
「もとより承知している。お前達が愛や正義を騙り善として俺の前に立ちはだかると言うのなら、俺は悪魔で構わない。悪を以って悪を成し、悪を尽く滅ぼしてやる。この剣でな」
俺が振るうのは憎悪の剣。愛は要らない。正義も要らない。幸福も要らない。名誉も要らない。痛みと苦痛の果てに救いも要らない。ただ敵を滅ぼす事だけを目的とした破滅の剣。
俺はそれを振るう事でしか、満たされない。
「キミが挑もうとする神はね、太古からこの地を支配している魔神でさえも下しているんだよ? その神と今のキミの差を生き物で例えると、小さなアリ一匹と巨象くらいの力量の違いがあるんだよ? それでもかい?」
「人と神との間にある差が単純な力量だけだというのなら、そんなものは全く問題にはならない。一匹の小さな毒アリが油断しきって寝ている巨象を殺すこともあるのだからな。それに、巨象にトドメを刺すのはアリよりも小さく目に見えないような生き物達だ」
「や~……それは不勉強だったな~……。分かったよ。別にキミとはやるつもりはなかったけど、そこまで言うならお望み通り、ボクがキミを"試みて"あげるよ」
突如、ヨムから凍てつくような魔力の波動が発せられる。大気は震え、空間には歪みが生じ、大気中に滞留している魔素が奔流となってヨムを中心に竜巻のように流れ込んでいく。その、迸る激流だけで、思わず膝が折れそうになる。
これが……、戦闘形態に入った天使の力だというのか。
「それと言っておくけど、ボクは神の下僕の天使の中でもす~~~~~っごく"よわよわ"だよ? そんなボク如きすらも超えられないようじゃ神を屠るだなんてただの夢物語でしかないからね」
だが、臆することはない。俺は、これよりも恐ろしい相手を知っている。だから、俺の動きは鈍りはしない。
「お前は、案外面倒見がよくて優しい奴なんだな。ヨム」
その気になればヨムはこの地下室を丸ごと一瞬で消せるのだろう。なのに、高威力かつ広範囲の魔法を使用すれば自爆しかねない地下室という閉鎖空間の中で、俺という戦士と対峙するという愚を犯している。
地上ならば転移を使って距離をとれば遠距離から容赦なく一方的に攻撃を仕掛け続ける事だって出来るというのに、それもやらない。
これを強者の余裕と言ってしまえばそれまでだが、その傲慢さと"驕り"、遠慮なく突かせてもらう。
「今さら気付いてくれたのかい? 無礼すぎるキミの言葉を辛抱強く黙って聞いてくれる天使なんて他にいないよ? じゃあ、わる~い悪魔をちょっと懲らしめてあげようか」
あとがきや設定資料を読んでヨムちゃんの設定を覚えておられる方はこういいたくなるかもしれない。
46号? 406号ちゃんだっただろ! いい加減にしろ!
はい、色々な理由を加味して仕様を変更しました。どうかご理解とご協力(ry
一つだけ……一つだけ言い訳を言わせてください。
名前の可愛さを重視して86号ちゃんにしようという案もあったのです。 ただ、大天使が1000体存在する中で、製造ナンバーが406もあってしまうと、量産型ベリアル(少なくとも3桁いる)の製造ナンバーとか大天使の設定で矛盾を抱えてしまうという問題を抱えてしまったのでこうなったのです。
魔王リリエルの製造ナンバーが1になるので……。 え、覚えてないからどうでもいい? はい……すみません……。
最近どうやって一話を3000文字以内にまとめていたのかが分からなくなりつつある……困った。次回ヨムちゃんVSゾンヲリさん開幕。