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東方開拓都市イスカの民話集

収穫の祈り

作者: 笹本廉太郎

暑い夏が終わり、田畑に実った稲や麦を刈り取る季節がやって来る。

大人から子供まで、農家全員で刈り取るそれはこの季節の風物詩といえるだろう。

ところで、この季節どこの農村でもやっている行事を知っているだろうか。


この辺りの農家ではとれた作物の一部を乾燥させて翌年までとっておく。

それを村長と選ばれた若者がこの季節に回り、受け取り野焼きするのだ。


イスカをはじめとする開拓村の人々の祖父や親は皆、土地を切り開き村を作ってきた開拓者たちである。

彼らは必ず翌年が不作だったときのために乾燥させた保存食を作り、数年分保管していたのだという。

また、彼らは来年の豊作を祈りながら僅な捧げ物として野焼きをして神に祈り、翌年に備えていた。


時を経るごとに、作物の生産技術は上がり、毎年安定した農工ができるようになった。

保存食に頼らなければいけないほど不作のことも滅多になくなり、気がつけば保存食をなるべく作っておく、というような家も減っていった。

それでも、かれらは毎年の恵みをもたらす神のために行事用として保存食を作り、その年の捧げ物として炎と共に天へと送るのだという。


今年も山の向こうから一筋の煙が上る。

今でも代わらず行われる収穫への感謝と希望の祭り。

ああ、今年もきっとイスカの胃は満たされる。

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