お虎さんの苦労 2
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居間から出て、慌ててあの子を寝かせている部屋に向かう。案の定二人の方が早く着いており
「だから!あの子は、私の後輩にするの!」
「いや、あの子を拾ってきたのうち!やから!うちの後輩にするん!」
「私の!」
「う、ち、の!」
この部屋で喧嘩を始めていた。二人が喧嘩をしているに怖がってミノムシみたいに布団にくるまっているあの子がいた。やっぱりあの子起きてた。ここに二人がいると邪魔だから出て行ってもらおう。
「こら!二人ともやめなさい!この子布団の中に入っちゃったじゃない。ケンカするなら他所に行ってやりなさい!」
そう言って私はキキちゃんとユキちゃんを部屋から出て襖を閉めた。
「ごめんね。あの二人がうるさくして、キキちゃんから話は聞いていると思うけど、貴女はキゾク、つまりオニになったの。
キキちゃんやユキちゃんが後輩にしたいって言っていたから、多分、貴女もコンヤクハキね。」
キキちゃんたちには拾ってくるなら、拾ってきたもの自身に自身が鬼であることを最初に教えてあげてねって言っていたはずなんだけど、布団に包まったままあの子は聞いてきた。
「えっと、私が鬼になったってどうゆうことですか。
それにキゾクやコンヤクハキってなんですか。」
ああ、キキちゃん、教えてなかったか。
「キキちゃんからそこのところ教えてもらっていなかったの?」
念のためもう一度確認する。
「……はい」
「キキちゃん、初めてこの子見たとき、なんで教えなかったの」
思わずため息が出る。
「キキちゃんに教えてもらえなかったのね。えーと、
貴女は一回死んでいるのよ。
それで鬼、鬼に属するって意味の鬼属になっちゃったのそれで、……」
あなたは今厄破鬼になったの。
そう続けて言おうとしたらあの子は
ワーッと大声で泣き始めた。しまったと思ったけどもう遅かった。この子は自分が死んでしまったことを認めていなかったんだ。
そう思っている間もこの子はグズグズと泣いている。このまま話を続けても聞いてくれなさそうだから、持ってきたお昼ご飯を置いてしばらく放っておくことにした。
「ごめんなさい、いきなり死んでしまいましたって言われても困るよね。ここがどこだかもわかっていないようだし、また落ち着いたら話すから。
ここにお昼ご飯置いておくから、お腹空いたら食べてね。」
私は襖を開けて出て行った。自分が死んだと自覚してないから、あの子色々と苦労するだろうな。




