私は夢だと思いたい。3
私の足は
縦横と細い筋の隙間が数え切れないくらいあり、そこからキラキラした白い綿のようなものがそこから見え隠れしていて、まるで糸が抜けたボロ布に綿を詰めた様なものになっていた。
ボロボロしてちょっと引っ張ればちぎれそう。そう思えた。
なにこれ、気持ち悪い。いくら夢とはいえ、こんな夢を見る私が気持ち悪い。
そう思っているとユキさんはその足をそっと撫でて、ふむ、とうなる。
「これはお虎さんが私にたのむわ。
あの人細かいことは苦手だから。ちょっと、痛いけど我慢してね。」
と言って手に持っている針をその隙間に刺そうとした。
「いや、その糸と針で縫うのですか。
明らかに人の身体を縫うようなものじゃないですね⁈どう見ても、お裁縫道具の糸と針ですね。夢だとはいえ、そういうの使われるのはちょっと、」
ユキさんは私の方をちらっと見た後
「まあ、いいから素直に縫われなさい。」
と言って、針をその隙間の一つに刺した。
「いたっ」
チクリと感覚がなかった足にその刺されたとこから痛みが広がる。
「ごめん、ちょっとじっとして。」
痛がる私を無視してとその隙間を縫っていく。
針が刺さり、糸が通る度に足がチクリチクリ痛むことと認めざるを得なかった。
『いい加減、受け入れなさいよ。
ここが夢じゃなくて、
現実だってことを。』
部屋に入ってきたユキさんが言っていたことは本当だった。
これは夢じゃない、現実だ。
私は夢だと思いたい。終




