プロローグ
「そうか……今日で14才になったか……。それで――あの女は――我がローファン王国を束ねる資質を持っていたのか!?『水の精霊』の祝福は受けられるのか!? 」
身にまとった宝石達ががジャラジャラと音を立てる。頭から足元まで身につけた多種多様な宝石は、国中から集めさせた物だ。まさに権力の証である。
苛立ちと共に語気が強まる。恰幅の良い身体は忙しなく揺れ、蓄えられた口ひげを掻きむしる。
気の弱そうな初老の大臣は思わず怯んでしまい、言葉に詰まってしまった。
「どうした!さっさと答えろ!」
さらに語気は強さを増す。彼の名は『ドルド・ローファン』という。この国、つまりローファン王国の王である。
「は、はっ!……やはり第一王女には……『賢者』としての資質は全くございませんでした……。万が一、聖地『ベネティス』に到着したとしても『水の精霊』の加護は受けられないでしょう。第一王女の能力では『女王』になることは不可能です……」
「やはりそうか……」
ドルド王は目を閉じ天井を見上げた。全身の力が抜け、王座にもたれ掛かる。
「『精霊の儀』は予定通りに行え。特にあの女は――伝説の賢者の末裔として恥だ、欠陥品だ。能力がないクズには早々に死んでもらう……。時間がもったいない。その分、第二、第三王女への教育に時間をかけろ。今回の『精霊の儀』は早々に終わらせるのだ、いいな」
「仰せつかりました……。それで、第二王女にはどのようにお伝えしたらよろしいでしょうか……」
「……お前に任せる」
その言葉を聞くと、大臣は深々と頭を下げた。
『精霊の儀』――それは、ローファン国の最高権力者である『女王』になるための巡礼の旅。14才になる年に行われる、ローファンの血を持つ女性は必ず通る試練の道。
そう――『女王』になる権利は――『一人』にしか与えられない。
初ファンタジーです。よろしくお願いします。楽しんでいただけるよう書いていきたいです。
更新は、先に連載している作品を優先していくので、ちょっと遅めの予定です。




