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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

手の長さで掴む

作者: まいんと

大好きだった、今も大好きな二人。二人とも他人がバイなのは別にいいし、気持ち悪いとかそういうのもない。でも、自分はないかなと言っていた彼女達。



夏も終わりに近づいた頃、高校で入っていた部活の同窓会があった。そのとき彼女達は実は私たちはつきあっているんだという報告をした。それに引く人もいればよかったね、と祝福する人もいる。私はどちらになることもできずにただその光景を眺めていた。


ぼーっと周りの空気感に体を預けていると、ふいに肩を叩かれた。びっくりして振り向けば付き合ったという報告をした二人のうちの一人だった。


「…久しぶりだね、おどろいた?」

「うん、ちょっとだけ。でも、よかったねおめでとう。」

心にも無いことを言いながら、少しだけ微笑む。今自分はうまく笑えているだろうか。


そういえばアイツさー、と付き合うまでの経過や告白の言葉などを話されたが、さっきと同じようになんとなく聞き流して相槌をうっていた。急に、あっと言って話をやめたのでどうしたのかだろうかと思って相手を見れば、その目線の先には彼女の彼女がちょいちょいっと手招きをしていた。


「ごめん、行ってくる。用があるなら向こうから来ればいいのにねー」

はぁっとため息をつきながら言う彼女はそれでもすごく幸せそうだった。はいはいーっと返してまたぼーっと空気に身を任せていた。久しぶりに会う友達も居れば今でも頻繁に会う友達もいる。


暫くはやってくる友達と代わる代わる話していたが学校のその場所は他の部活が使うらしく、それぞれで二次会に行くことになった。私はその中でも仲の良い人から、中学からそのまま上がってきた部員と一緒にカラオケへ向かおうと誘われたので、のった。学校を出るとセクション練習を頻繁に行った女の子が隣へ来て、話しながら歩いた。


「それにしてもあんたの中身は変わんないねー見た目は凄い可愛くなったのに……」

「まぁ嬉しい、貴方に誉められて恐悦至極だわ」

「あぁぁ……可愛いのに…可愛いのにっ…」

数年前と少しも変わらない無駄口をたたいていると、今でもよく会っている友達が後ろから抱きついてきた。


「1ヶ月ぶりー!!」

「ぅおっ!びっくりした………んー1ヶ月ぶり。」

「ずるい!うちも抱き付く!」

「え、いや、困る。」

「なんでさぁぁあ!」

変わらない。変わらないのに、変わらないのを望んでいたけれど少し変わって欲しかった。


本当に自分の好きな人が私だけを見てくれる。この、私が抱いている物は恋愛感情じゃない。だけど独占したかった、されたかった。自分が望んでいる人には絶対に手が届かない。無理をしてもまだ遠い。


本当は大好きだから別れてくれと叫びたい。近くにある人では満足出来ない。自分に告白してくれた人だっているのに、どうしてダメなんだろう。手を伸ばした距離の中でしか、自分は何かを手に入られないのに。


周りからは解らないようにそっと指を絡めて、幸せそうに話しながら歩く二人を見ながら苦みや辛さの種が強い味をもって潰れていくのを感じた。

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