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琥珀色の心  作者: 柴垣菫草
第一章 予兆
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予兆<20>

 九尾は、天空の剣先をかわしながら逃げたが、崖で囲まれた行き止まりにはまってしまった。冷静な九尾をここまで追い込んだのは、やはり天空の強さだ。崖には五芒星(ごぼうせい)が埋め込まれている。この壁を飛び越えることは難しい。追い込まれた九尾は振り向くと、妖気を集め高めた。


 強烈な妖気だ。崖に囲まれた谷は、見る見るうちに密林のように木々で覆い尽くされた。天空剣も、上空からでは木々に阻まれて九尾まで届かない。天空は地上に降り、九尾の妖気で造られた密林を眺めた。


「くそお、もう少しだったのに。しかし、九尾のキツネはすごい妖力を持っているな。この木を少しづつ切り崩すしかないか」 

天空は剣を振るった。天空剣が木々をなぎ倒して行く。剣は目にも留まらぬ速さで動いている。九尾は、妖気を更に強くした。


 天空剣が、突然『がつっ!』と何かに阻まれた。見ると一抱えもある太い木の根が地下から伸びてきているではないか。天空の剣は、その根を半分まで切った所で根に(はさ)み込まれている。『なんだ、これは!』天空は剣を引いたが抜けない。するとあちこちの大地から木の根が伸びて来る。そして、天空の剣を絡めてしまった。


『うわぁ』天空は剣を伸ばすし、自分は剣の柄を持ったまま密林から出た。地下から伸びる木の根に絡まれて、ますます天空剣は身動きができない。『うっ、おれはこの剣を離すわけにはいかん』 しかし、地下から出てくる根で、天空はどんどん後退りするしかない。剣を伸ばしながらじりじりと後ろに下がった。


 天空は、剣の自由を奪われ、呪術が使えない。右から飛んできた太い根で天空はぶん殴られた。地中から出てくるたくさんの根に容赦なく突かれ、殴られ、叩かれた。それでも、天空は剣を離すわけにはゆかない。


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