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琥珀色の心  作者: 柴垣菫草
第十章 雲外鏡
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雲外鏡<18>

 座敷童(ざしきわらし)は、不安顔で屋根裏に隠れ雲外鏡(うんがいきょう)を見張っている。そこに晴茂、琥珀が戻った。

「おおぉぉ、脅かすなよ。何だか、今夜は、鏡が大人しいんだ」

「そうか。それはよかった」

晴茂は照魔鏡(しょうまきょう)を取り出した。


「おおっと、雲外鏡がもうひとつあったのか?こっちへ近づけないでくれよ」

「そんなにびくびくしないで、座敷童。これで雲外鏡の呪いを解くの」


「おまえたち二人は、ここにいてくれ。雲外鏡の呪いを解く」


 琥珀と座敷童は頷いた。晴茂は、玄関のホールに立ち、呪文を唱え始めた。雲外鏡が光り出した。それに呼応するように、晴茂の持つ照魔鏡も光り出した。


そして、その光が頂点に達した時、晴茂は照魔鏡を雲外鏡の前にかざした。ふたつの鏡がお互いを写し、光が一体化した。


 その光の中から黒い物体が何個も転がり出ては消えて行く。雲外鏡に吸い込まれたあらゆる物が転がり出て消滅しているのだ。しばらくそんな光景が続いた。


黒い物体はもう出て来なくなった。そして、鏡を結んでいた光も徐々に弱くなり、やがて消えた。


雲外鏡の呪いが解かれた瞬間だ。晴茂の持っている照魔鏡も、壁に埋め込まれた雲外鏡も、その魔力が失われ、普通の鏡になった。


 晴茂は、琥珀と座敷童を呼んだ。

「これで普通の鏡になった。解決だ」

「はい、晴茂様」


「そうか、もう何事も起らないか。よかった。でも、あの五芒星(ごぼうせい)に閉じ込めた蔵王丸と遠藤親左衛門(ちかざえもん)っていう武士はどうなるの?」


「犬も遠藤さんも、既に寿命が尽きている。だから、雲外鏡の呪いが解けた瞬間に土に戻っている」

「そうか、そうか」


「さて、座敷童、僕たちは帰るが、この家の人達に怪奇現象はなくなったので、戻るように伝えてくれるかい。そして、座敷童もこの家に棲んだ方がいいのではないか。新しい家でも、その内に慣れるさ」


「おお、そうだな。何とか家の人に伝えるよ。九尾(きゅうび)の狐にも伝えるよ、陰陽師に世話になったって。琥珀も元気でな」


「じゃあ、座敷童、この家の人を幸せにしてやってよ」

晴茂と琥珀は、家を出た。


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