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酒は身を滅ぼすっておばあちゃんが言ってた。

本格的に文章を書いたのはこれが初めてです。そのため読みにくい文章だと思われるかもしれません。誠に申し訳ありません。

内容としてはよくある異世界知識チートです。

当面のテーマは食文化今後どのように脱線するかはわかりませんが満足するまではこのテーマで行こうと思います。

重くならない感じで行きたいのでギャグ多め決して文章力がないのをごまかすためとは言えない…。

稚拙で遅筆ではありますが当面の課題は文書力を高めること。

ご意見ご感想などいただけたら至極幸いです。

よろしくおねがいします。


ゲロ吐いてトイレから出るとそこは知らない人ん家でした。




「う~…。気持ち悪い…。」

林良介の目覚めは最低だった。

昨晩の飲み会をするというので招かれた友人宅に行くと否応なしに料理係に任命されてしまった。

仕方なく諦めて酒を飲みながら何品か料理を作っていたのだがそこから記憶がない。

「何で料理に使った酒全部飲んだんだろ…。正直調子乗った…。うえっ…吐きそう。。」


ずりずりと布団から這い出しトイレに入ると力なく戸を閉めた。


【現在一部音声に乱れが発生しております。】


「ふぅ…。んぁっ?何でこんなとこに醤油が…。酔っぱらって家に帰ったときここに置いたままだったのか?そういや帰ってきてソッコートイレいった気がするようなしないような…しょうがない…冷蔵庫入れ………え?」

自分は確かにトイレに入る直前まで自宅に居たはずだ。

それが、どうしたことだろう。目の前には金髪の西洋人…?年の頃は16~7位の顔立ちの整った女の子が目の前に立っていた。

相変わらず目を大きく見開いたままその場に立ち尽くしピクリとも動かず立っている。

(これはどういう事だ…。この状況は絶対のおかしい。いや、おかしいのはわかってるんだがどうしてこうなったのか全く理解できん……お、落ち着け、まずは素数を数えるんだ。素数、素数、あれ?素数ってなんだっけ!?どうしようどうしよう!)

思考が空転し考えがまとまらない、二人は目を大きく見開き、見つめ合ったまま固まっている。

とにかく何か言った方がいい先にしゃべり始めることで多少なりともこちらのペースに持っていけるはずだ。

そんなことを考えていると驚きの表情を変えないまま少女が口をわずかに開く。

「すぅ……」

「すぅ…?」

「おかあぁぁぁぁぁぁさぁぁぁぁん!!!

うちのトイレに知らないがいるぅぅ!早く来てっ!!!おかぁさあぁん!泥棒よ!!誰かー!」


大絶叫。これは不味い完全に先手を打たれた。このままでは不審者確定。最悪即お縄で牢獄行きか。


「ちょっ、ちょっと待て!シーッシーッ!静かに!俺は怪しいもんじゃないって!待って!とにかく落ち着いて大丈夫!なにもしない!俺は何もしない!落ち着いてここは冷静に話し合おう!」


さっきから口から突いて出る言葉が不審者感満載。

なんとかこの場の事態を収集したい。これはまずいぞ。。。

考えてみたら不法侵入だし。あれ?でもここは俺の家?いや、ここどこ?周りを見てみれば俺は家から一歩も出た覚え無いのにここは俺の家じゃない。。

しかし、状況的に見てこの娘の言ってることに真っ向から反論できないのが痛い。



混乱しつつも少女の警報じみた絶叫を止めようと右往左往していると新たにもう一人女性がやってきた。



「んー?どうしたの?エリスちゃん。今までママ、庭に居たんだから知らない人が来たらわからないわけ……いやぁぁぁぁああ!」


「ちょっ……ごめんなさい。勝手に家に入った(?)のは謝ります!でもこれには訳があって!とにかく俺の話を聞いてください!」


やばいどうしよ。。この娘一人でも手一杯なのにさらにもう一人追加ですか!?

もうだめだよ。ごめんなさい。父さん母さん息子は無実の罪をかぶって犯罪者になりそうです。。



「いやぁぁぁぁああ!誰かぁ!!キャー!誰か助けてー!誰…………?……いいわよ。わかったわ、最近暮らしが単調で退屈だったところだし、あなたの話を聞きましょう。」

「助けてー!人拐いよー!強姦魔ー!誰か助け………っ?………そうね。まずは話を聞いてからあなたをどうするか決めるわ。」


「いや。だから、話を聞いてくださいって!それからでも遅くは……え?

聞いてくれるんですか…?あれ?でも…お、おう…。」


なんだこの母娘…。なんで止まったの…?怖い・・・二重人格か。。


「何、嫌なの?話を聞いて欲しいの?欲しくないの?聞かなくていいなら今から役人を呼ぶわよ!」


「いやいやいや!聞いてほしいです!お願いします!ただ、何でそんな急に反応が変わったのか正直意味わかんないなと。。」


すごい剣幕で言い寄り威嚇してくるエリスに対し、俺の疑問にはエリスの母親が答えてくれた。



「ん~。そうねぇ。話を聞いて見ようと思ったのは、毎日暇すぎたのと強いて言えばあなたが弱そうだからかしらねー。

突然現れた時はちょっと驚いたけど、元々力はありそうに見えなかったし、ちょっと魔力を探ってみてもあなたからは魔力の魔の字もないって感じだったからかしらねー。珍しいのよー。あなたみたいに本当に何もない人。」


「そ、そうですか。まぁ、要するにどうせ俺ごときでは何もできないから、そんなに慌てる必要はないと…。」

情けなくて涙が出てくる…。

第一の理由に暇って。。俺の相手は暇つぶしがてらで十分なんですか…。



ふぅ。。しかし、魔力…だと…?なにそれこわい。

んー。二人の顔的にイギリスとかヨーロッパ系の国とかじゃないの…?でも言葉は普通に通じてる。

それに、エリスちゃんだっけ?意味わかんないコスプレみたいな格好してるしな…ママさんに至っては髪の毛ピンクだし…現実ならありえんぞ。

異世界…?いやそんな馬鹿な。俺は信じない…。でも、そもそもゲロ吐いてたらトイレからワケわかんないとこに出た時点でもう常識を逸脱している。。


………………………おい待て。仮に異世界だった場合ゲロ吐いてたら突然飛ばされたってカッコ悪すぎるだろ…。俺も鏡に触れたら突然吸い込まれた世界でツンデレピンクに出会いたかったわ!!

ミスタ・コルベール!やり直しを要求します!ゲロを吐いていたら突然異世界に召喚されたなんて聞いたことがありません!



あー脱線した。しかし、魔法ねぇ…。あれか?ファイアーボルとかドラグスレイブとかのあれ?現実味無いなぁ…。

あ…でもさっきママさんが俺には魔力は無いとか言ってたな…俺には関係ないのかね…。

でも、ここはせっかく異世界に飛ばされたんだからご都合展開の一つや二つあってもおかしくない!

いや!そこはあってくれないと困る!

そうだ!きっとあるはず!

隠された力が解放されて古の魔術が!

そうなればこんな母娘なんか無理矢理…ぐへへへ…はっ!俺器ちっちぇ!!

どうせならハーレムハーレム!

あっ!しまった!ただの上位互換じゃないか!しかしいいなぁ…この母娘…とても親子とは思えんな…姉妹でも通じるぞ…。



そんなよからぬことを考えていると良介の側で開けっ放しになっていたトイレの扉にガガガッと固い音をたてて氷の矢が突き刺さっていた。



「今変なこと考えてたでしょ…。急に黙ったと思ったら顔が完全に変質者の顔になってたわよ…。

ちなみに今のは警告だからね…。

知ってると思うけど無魔者に生まれた時点で私達には敵わないんだから無駄な抵抗はしないこと。

わかったら変なこと考えてないでさっさと何をしようとしてたか白状なさい。

大方無魔者じゃどこにも雇って貰えなくてコソ泥にでもなったんでしょ…。」


ん?なんか嫌な発言が聞こえたが無かった事にしたい…。

一応確認の意味を込めて確認しておくことにしよう…。


「え……?あ…あの…。一つ聞いても…?」


「なにかしら?」


「その…、無魔者って言うのが魔力を持たないってのはわかったんですが、その魔力はどう努力してもてに入らないんでしょうか…」


「魔力なんて体質と一緒よ。

生まれたときから魔力の限界値は決まっててあとはその魔力をどう使うかでしょ。いくらあんたが無魔者でもそのくらいは知ってると思ってたんだけどもしかして知らないの…?」


嘘だ…嘘だといってよ!

こんなのって無いよ!

俺の夢のハーレムライフが…。

もしかして俺の異世界、開始10分で詰んだ?

「ふぇぇん…おうちにかえりたいよぉ…。」


泣き崩れる俺、正直この年になってこんな理由で泣くとは思わなかったよ。。まぁ、この年だからこその泣いた理由なのか。。


「あらあら、どうしたの?突然泣き出して。

あなたも大変だったのねぇ。

無魔者だとどうしても苦労する事が多いのよね。

あなたは悪くないんだから泣かなくても良いのよ。」


「うわ…。キツ…。年上の男の人がマジ泣きするのって見てて色々辛い…。」



「その反応はおかしい!

もっとママさんみたいに慰めるとか一言くらいあってもいいだろうが!人の夢を壊しといてあんまりだろ!」


「壊したも何も、質問してきたからそれに答えてやったら勝手に泣き出したのはそっちでしょう!」


「うるせぇ!ゲロ吐いてて扉開けたら突然異世界に来たかわいそうな青年の夢を速攻で打ち砕きやがって!」

「え…?ゲロ…?異世界…?なにそれ怖い。。。引くわ。。。」

俺の方をなにか腐った死体に沸く蛆虫を見るような目で見てくるエリス。


「いやいや、だってしょうがないでしょうよ。俺だって意味分かんないし。トイレから出てきたら突然君が目の前にいて状況が全然飲み込めないんだから。俺の身に起こったありのままのことを説明しただけでそんな目で見られても…。」


「はぁ…あのね。嘘つくにしてももっとましな嘘つきなさいよ…。大体そんな意味不明なこと言ったて誰も信じやしないでしょ。そんなことあんたが一番良くわかってるんじゃないの?」



うぐぐ…この小娘よくもまぁ、こんなにズバズバと正論を…。

正直状況が許すのならさっさとごめんなさいしてこんな意味不明な状況とはさよならしたいのだが、そうは問屋が卸さないと…。

なんとか状況を好転させないとさっきの魔法(?)を見る限り場合によっては命の危機にもなりかねない。

とりあえず、状況を確認しよう。そうしよう。


「あのー。ちょっとお二人ともお伺いしてもよろしいですか?俺はこの世界にきたばかりで何がなんだかわかりません。状況把握をしたいのでとりあえず

お互いの自己紹介と、ここがどこなのかを教えてくれま…ほっほらさっき俺の話を聞いてからどうするか決めるって言ってたし!ここは穏便に話し合いで解決しましょう!」


あくまで訳の分からない嘘を真で通すつもりかとキッとこちらを睨みつけ口を開こうとするエリスを押しとどめるように先程の言質を差し込む。


「はぁ…。わかったわ。まず自己紹介ね。どーもはじめまして。私の名前はエリス=ログハルトです。そこのルーミエって街の酒場で働いてます。以後お見知りおきを。」


なんとなげやりな。。俺に対する不信感がにじみ出ている。。まぁ、コソ泥(仮)にそうたやすく心を開こうという人間もそうは居ないか。。そんなことを考えながらこちらも頷きつつ軽く握手をし次の人物の方に向くと………あ、そうだった。そういえばさっきからこの人さっきから気になってたんだけど警戒心皆無なんだよな。。会話にはあんまり積極的に入って来なかったけどさっきまでのやり取りをずっとニコニコしながら見てたし。。何なんだろう。。色々と大丈夫なのかな、こんなに警戒心薄くて。


「はいこんにちは-。次は私の番ね。私の名前はミリア=ログハルト。好きなモノはログベリーの実です!この子のお母さんをしてます!特技は編み物と料理と薬草探しです。よろしくねー。」


うんうん。実にほんわかしていていい雰囲気の人だ。母親って言うよりお姉さんみたいだ。しかし、この母娘ほんとに対照的だな。

ほんとに親子か?血つながってなかったりして。しかし、女だけで二人暮らしってのも大変そうだ。近くに街はあるみたいだけどさっきから人とか物の音が一切しない。。外に出てないからわからないけどさっきから聞こえてくるのは鳥とかなんだかわからない動物の鳴き声だけでどうやら森の中の一軒家らしい。まぁ、近くに街はあるといっても泥棒とか入ったらどうするんだろう…。う……それが彼女達的に言ったら今回か。我ながら不本意きわまりないな…。……って、状況的に泥棒ってことになってるけど俺が自分を信じないでどうする!俺は泥棒なんかじゃないのだ!そう!断じて。


いかんいかん。また話が脱線した。

ミリアさんにも握手をすると今度は自分の番だ。


「はじめまして、リョウ=ハヤシです。異世界?の日本というところから来ました。ファーストコンタクトは最悪でしたが以後よろしくおねがいします。

こちらにはたった今来たばかりでわからない事ばかりですが、よろしくおねがいします。」


「あのさ…思ったんだけどこの私達の自己紹介全然情報の中身が無い気がするんだけど…あんたの自己紹介に至っては新しく得た情報が名前くらいしかがないわ。。。」


「小娘。貴様なかなか鋭いことを言いおるな。」


「何その口調。って、いやそりゃそうでしょ。私達が知りたいのはあんたの名前とか異世界から来ました!とかじゃなくて素性なの!」


「んー。素性って言われてもなぁ。。異世界から来た以外は普通の学生だしなぁ。。。」


「え?学校に行ってるってことはそれなりの家じゃないの。そういうのを普通とは言わないわよ。ってことは、無魔者だから家に居づらくなって家出したとか?」

 

オーケーオーケーそういう感じか…。この家の感じからしてうすうす感じてはいたけどもしかして時代背景かなり昔か。あれですか、貴族とかそんな感じ?

うわぁ、めんどくさいことになりそうだな。現実問題こうなってくると一般人という立場では何の力もなく放り出されると一番めんどくさい感じですよ。


まぁ、確定したわけじゃないしどのみち地球感覚で言うと時代とか社会がどのくらいの成熟度なのかは追々話していけばわかるか…。


「とりあえず、自己紹介も済んだことですし。色々とお話しましょう。聞きたいこともたくさんありますし。」


「話を聞け!大体さっきからあんたはかたくなに異世界から来たって言い張ってるけど証拠はあるんでしょうね。それを見せてくれるんだったら信じてあげないこともないわよ。さぁ、何かあるんなら出してみなさいよ!」


この小娘め言わせておけば!

良かろう、今こそ私が異世界から来たという証拠を見せるとき!

現代日本の技術力の結晶携帯電話だ!

ふふふ驚くがいい!無知蒙昧たる民草よ!

我が前にひれ伏すの……だ……。


詰んだ、今度こそ詰んだ。

まぁ、わかってたと思うけどそうなるよね。

だってトイレに行くだけじゃ携帯なんか持って行かないよね。

自信満々でポケット探ったけど携帯持ってないわ…。

そっかそっか俺不審者か。

今度こそさよならだ。



-----------完-----------




「そういえばずっと気になってたんだけどさっきから左手に持ってるその黒い筒ってなんなの…?」


筒…?筒なんて持って…あ…醤油…。

エリスちゃんナイス指摘!

多少証拠としては弱いけどなんとかこれを使って信じてもらうしかない!


「これは醤油と言って俺の国の調味料なんだ!

今は残念ながらこのくらいしか証拠っぽい証拠はないけどなんとかこれで信じて!

あ!そうだ!ほらそれに俺の格好をもっと良く観察してみろ君らの国とは違う材質で、できてるだろ。」

エリスは俺の服装をまじまじと観察する。

ホントになんでもない普通の服装だけどジーンズ生地とかはさすがにまだ存在してないだろ。


「確かに言われてみれば似てるようで若干違う素材みたいね。生地の織り方も結構複雑で見たこと無いわ。。んー。完全に信じる事はまだできないけど今のところは保留って形にして信じておいてあげる。さて、じゃあそっちのショウユってやつも見せてもらっていいかしら?」


良かった。とりあえず危機は脱したみたい。

俺は安心して短く息を吐くと、ほっとした表情のままエリスに醤油のボトルを渡す。

するとエリスの顔が驚きに変わった。


「え?何これ。これって何でできてるの?」


「何って、あんまりちゃんとした作り方は知らないけど確か蒸した大豆と炒って砕いた小麦にもろみを加えて、」


「いやいやそうじゃなくて私は中身じゃなくて外のこの入れ物のことを言ってるのよ!ガラスかと思ったらなんか柔らかいし薄いしこんな透明な材質見たことないわよ!」


おー!思わぬところで誤解を解くチャンス!

これは盲点だった。確かにペットボトルが存在している世界でないならこの驚きも頷ける。

しかし、この世界には透明で薄いガラスはないのか…。

これは本格的に文明が進んでない時代に飛ばされたようだな。

そうなってくると若干光が見えてきた、技術が進歩していなければその知識を使ってちょっとしたチートが出来るぞ!

まぁ、逆に言うとそのくらいしか俺が生き残る方法はないわけだが。


「良くぞ気づいてくれた。その容器はペットボトルといってな、劣化が少なく、透明で破れにくくしかも軽い素晴らしい素材で出来てるんだぞ。どうだ!すごいだろ!異世界の技術力!」


胸を張って自慢する俺だが正直エリスちゃんに言われるまで自分でも出て来なかった発想だ。

だって今までいた世界じゃありふれてるんですもの。でも、視点を変えて考えてみれば元の世界じゃ何の変哲のないものでもすごい発見だったりするものがあるかもしれない。これは、良い発見をさせてもらった。


「うう…悔しいけどこれは認めざるをえないわね…。こんなの生きてきた中で一度も見たことないし。これどうやって作るの?」


「う…そ、それはだな。。正直どうやって作るのかわかりません。元いた所ではあまりにも当たり前だったから作り方なんて考えたこともなかった。。」


「ねー、ねー。私にも見せてよー。エリスちゃんばっかりずるーい!そんなことより味見してみようよー。」


横からミリアさんがひょこっと出てきて容器のことなんてどうでも良いとばかりにエリスから醤油をパッと奪い取った。

そして、蓋を開けようとしているのかキャップの部分をうんうん唸りながら目を【><】にして上に引っ張っている。

か、可愛い。。一生懸命醤油の蓋を開けようとしている女の人がこんなに可愛いとは。


「うーん。うーん。開かないよぅ。リョウ君開けてー!」


醤油のボトルを涙目で差し出してくるミリアさん。

これは狙っているのか…?いや、この人なら素でやりかねない。

そんなミリアさんからほっこりした気持ちで醤油を受け取るとキャップを捻ってフタを開け、二人の手に数滴分ずつ垂らした。


「どうぞ。舐めてみてください。」

「んー。美味しいー。でも不思議な味ねー。しょっぱいけどお塩と違っていろんな味がする甘みとか旨みとか色々混ざったみたいな。」



先程から中身がどうにも気になって仕方なかった様子のミリアさんは手に垂らされた醤油ソッコーで舐める。

それとは対象にエリスちゃんはでどうにも疑り深いようでミリアさんが醤油を舐めその反応を確認するとちびちびと舐め始めた。

まぁ、母親があまりにも無警戒だと子供はしっかり者に育つのかね。反面教師?これでは悪い意味になっちゃうけどミリアさんには是非このままでいてほしい。癒しは重要だよ。うん。





「たしかに不思議な味。でも嫌いじゃないわ。むしろ好きかも。こんなものがあったなんて…。うーん。これは本格的に信じるしかなさそうね。わかったわ。あなたのことは異世界から来たってことで納得してあげる。」


「やった!ありがとう!誤解が解けたようで何よりだ。お互い誤解があったままじゃ、話もろくにできないしね!」

誤解が解けたところでそろそろ本題に入りたい。今の現状において状況把握は何よりも大事なわけだがいろいろあったおかげで大幅に時間を食ってしまった。

色々把握しておかないと何もできないしな。。


「ところで。本題に入るけどここは一体どこなの?それと異世界に来てしまったことが確定してしまった以上、色々と他にも知りたいことがあるから他にも幾つか質問することがあるかもしれないけどそれも答えてもらえるとありがたい。」


「わかったわ。じゃあ説明するわよ。」



長くなるので割愛(決して甘えではない!!いや、甘えか。。)


エリスやミリアさんたちの話を聞いてわかったことはこうだ。


思った通り話を聞く限りでは貴族制とかあって多少の際はあるが概ね、昔のヨーロッパっぽい社会構造だった。

産業とか技術は発展してないっぽいけどそのかわり魔法があるからこの世界の人は生活自体にはあんまり苦労してないみたい。

ちなみに大なり小なり魔法が使える人間の割合は全体の60%位。先ほどのエリスの口ぶりからすると思ったより少ない。

それでも無魔者は基本家を継いで農家になるか、働きに出るしか無い。ただし、基本家を継げるのは庶民の家でも長男だけと決まっており次男以降は家を追い出されて自力で働き口を探すしか無い。

力仕事は魔法でどうにでもなるし手に職系でも夢魔者の人間への風当たりはなかなか厳しいみたい。

働き口が見つかればいいけど、うまいこと見つけられなかった場合最悪食い詰めて無法者に堕ちるか路上生活者って人も少なくないらしい。


この世界の構造はこのくらいにしておいて次は身近なところでここがどこなのかと言うところの説明に移ろう。


ここは中流貴族(基本的に貴族は世襲制)であるドルネット伯が治める領地で、この伯爵が主に納めてるルーミエって街の外れから2キロほど離れた森の中らしい。

主な産業は2つ農業とあとで記述するけど精霊からの恩恵。この精霊からの恩恵ってのは一定の周期があるわけではないので収入としても安定しない、さらに王国に対しても秘匿事項なのでバレたら争いの火種や最悪ドルネット伯の家名取り潰し+首が飛ぶことになる。物理的にね。だからあまり大それたお願いはできないそうだ。よって実質この領内の産業は農業ってことになるな。


んで、先ほど言った精霊の恩恵ってのを説明するためにはこの母娘がなんでこんな辺鄙な森の中に住んでるかって言うのもあわせて説明しなければならない。

この森には昔から精霊が住んでいて時々人間に対してお願いごとをしてくることがある。まぁ、時々って言っても精霊の時間間隔だと100年に一回あるかないか。で、そのお願いを聞く役目ってのがこの二人のっていうよりもログハルト家の仕事であるんだと。

精霊は願い事を叶えてもらうと一つだけ望むものをくれるらしい。で、そのお願いを叶えて貰う権利ってうのは領主であるドルネット伯の方に帰属するからそこでドルネット伯が国益に有利になるようなお願いごとを考えてそれを二人が代行する形になっている。

伯爵が直接お願いすればいいじゃんとも思ったが精霊はログハルト家のお願いしか聞いてくれないらしい。なんでも精霊はログハルト家の先祖には恩があるんだと。

詳しく聞いてみたかったが精霊からそれを言うのは厳しく止められてるとの事。精霊の威信に関わるんだそうだ。

精霊名にやらかしちゃったんだろう。。ちょっと俗っぽくて精霊を身近に感じた。


んー。だいぶ具体的なことがわかったけど…。あらためて…どうしよう。。

俺がこの世界で生きていくための道を模索するわけだが、あわよくば帰りたい。

だが、この世界に来た原因もきっかけも何もわかんないしな。

飛ばされた瞬間の事についてもヒントがなさすぎる。。というより皆無だ。

まぁ、うだうだ考えていても仕方ない。とりあえずなんとかなるベ。

俺には中途半端な現代知識というチートがある!

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