005
ヴァレンside
ーーーコンコンコン
「ヴァレン様、式典の準備が整いまち………整いました。」
「………分かった。行こう。」
マントを身につけ剣を腰にさす。
迎えにきたエニアスは俺よりも緊張していた。
終始無言のエニアスは少し前を歩いて行く。
いつも騒がしいエニアスがここぞとばかりにおとなしいから俺まで緊張してきた…
「………エニアス」
俺が声をかけるとプルプル震えながら
「きっと精霊様はヴァレン様に応えてくれます。なのでーーーーーなので僕が代わりに緊張してます!!」
…………。
ーーーフッ
なんだってこいつは
「おまっ………クク、代わりに緊張しとくって、逆に緊張する。普段通りでいてくれ。」
そういうとエニアスは馬鹿みたいに大きな声で「はい!」と言った。
庭を抜け精霊を召喚する大聖堂についた。
扉の前に立ち、目を閉じ息を整えた。
「ヴァレン様……よろしいですか?」
「あぁ、いつでも行ける。」
腰の剣をエニアスに渡す。
そして扉を開け大聖堂に入る。
大勢の人々がヴァレンを見る。エニアスは一歩後ろにつき剣を持つ。
皆の前を通り祝台に近づくーー
祝台の近くには国王である父、セス = ダンクワース=セラフィーニが杖を持ち待っていた。
「ヴァレン、精霊を信じ力を込めよ。」
そう告げた国王は不安そうにヴァレンを見つめ杖を渡した。
国王から杖を渡され、祝台に上る。
胸に手を当て杖を掲げる。
【我、精霊に誓う。ーーーいかなる時も其方を護り、祝福を与え共に生きよう。ーーー闇を解き放ち、光を捧げよう。】
兄達同様に白い光が辺りを照らし祝福の鐘が響いた。
鐘が鳴ったというのは精霊がヴァレンに応えたという証明になる。
【我が名は、ヴァレン=リオ=セラフィーニ。精霊よ、今ここに姿を見せたまえ。】
先ほどよりも激しい光と共に、今までになかった突風が巻き起こり大聖堂が揺れた。
光がおさまると同時に激しかった風も止み、祝台に光が集まり精霊が姿を現す。
ーーーと同時に皆の顔が驚きの一色になった。
祝台にいたのは、見たことのない白い布を身にまとった人間の女と思わせる容姿の精霊だった。
何より驚いたのは召喚したヴァレン本人だった。
「………っ!?」
ヴァレンは驚き言葉を失い立ち尽くしてしまった。
「ヴァレン様!!契約をっ!!」
エニアスの声にヴァレンは精霊に駆け寄った。
召喚された精霊は弱々しく光を放ちながら息をしていた。
ヴァレンは精霊に手をあてた。
すると背中に契約の魔法陣が描かれ、激しい光を放った。
ーーーバサッ
まるで天使のような白い大きな羽が精霊の背中から現れ、精霊はヴァレンに微笑み声を発した。
「ーーーありがとう。」と
そのまま精霊はヴァレンの腕の中で眠りについた。
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