004
ヴァレンside
ーーー成人の儀、当日
エニアスはソニアと朝から騒がしく準備をしていた。
ソニアは王宮に60年も務めているベテランだ。
ソニアは六十着ほどの服を持ってきて、エニアスは手に取るなり
「ヴァレン様!このナイルブルーなんていかがでしょうか?これほど装飾されてるのなんて滅多に着る機会はありませんよ!」
ーーーエニアスは一番派手なのを手に取り見せてくる。
「エニアス…少し明るすぎないか?それに派手すぎる。」
それを見ていたソニアはそっとヴァレンに
「それでしたらこちらはいかがでしょう?」
ソニアが出した服は一瞬にして他のをも圧倒する出来上がりだった。
「こちらは桜色と言いますが、白に近く太陽の光の入り具合によって色などを楽しめる逸品で御座います。」
着てみると見た目以上に着心地が良く動きやすかった。
「ヴァレン様お似合いです!」
エニアスはそう告げると他の服を持ってせっせと片付けると
「式典は日の始まりに空の鐘とともにありますので一時間ほどゆっくりして下さい。時間が来ましたら御迎えにあがります。」
エニアス達が部屋を出て、静かになった部屋でヴァレンは考えた。
召喚できなかったら王族の恥だよな…
今まで魔術を使うことなどなっかたから良かったものの、今回は国中の人も参加する盛大な式典。
失敗は当たり前だけど許される訳がない。
兄達の成人の儀は凄いものだった。
第一王子のジュリバは雷の精霊カミルを召喚し、国中を驚かせた。
カミルは精霊ではなく妖精で、妖精は人間を嫌っているとされてきたからだ。
妖精は高位精霊とも言われていて、実際妖精を目にしたものはいなく、おとぎ話の存在とまで言われていたからだある。
第二王子のウィークは光の精霊ビリアークバードを召喚した。
5cmほどしかない小さな鳥で絶滅危惧種に指定されている。
見た目とは違うその攻撃力は2mをも越える凶暴な魔物を一瞬に死に至らしめるともいわれていた。
兄弟達と比べられることよりも自分の魔力のなさに嫌気が差すのだ。
召喚される精霊は召喚するものの魔力に匹敵すると言われ実際に魔力のズバ抜けているジュリバは妖精を召喚してしまうし、ウィークは母と同じ精霊を召喚したのだ。
こうなるとヴァレンはという話になる。
幼い頃、王族なのに魔力が弱かったヴァレンは初級魔法すら形に出来なかった。
そんなヴァレンを母は人それぞれ得意不得意があるものよっと励まし、エニアスは魔術が苦手なら得意剣術を極めましょう!っと提案した。
その提案から13年もの歳月がたち今では通称「白騎士のヴァレン」第一騎士団の隊長を務めるほどの実力の持ち主で、貴族達を含め一般市民達からの特に娘達からの人気が高い。
そのヴァレンの成人の儀は娘達にとって一世一代のイベントでもあった。
国を挙げて祝うだけに期待も大きく、その反対に大臣達の失敗するんじゃないかという話もあり複雑な気持ちで成人の儀を迎えるのだった。