表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

第十一話「新しい仲間と共に」


 第十一話「新しい仲間と共に」


 ヒナタを連れて帰った次の日。


 ***魔王城会議室***



 「わざわざ集まってもらってすまないな」


 目の前に立っている三人の仲間に声を掛ける。昨日決まった百人の中から俺がパッと見て使えそうな奴を三人引き抜いて置いたのだ。


 「君等に集まって貰ったのは普通の仕事とは別事を頼みたいからだ」


 三人がキョトンとした顔をしている。心理描写するなら何?どういうこと?みたいな・・・


 「単刀直入に言うと俺の私兵部隊の一員になってもらいたい」


 沈黙。しかも三人共がさっきよりキョトンとした顔をしている。もっと噛み砕いて言えば言いのか?


 「分かり易く言えば、他国の諜報やら戦争時に俺と一緒に戦うとか・・・etcを君達にやって欲しい訳よ」


 俺がそれを言い切った後、一人が質問する。若干声にワクワク感が含まれている。

 少年にとってそういうのって憧れだよね。


 「そんな重要な任に自分達みたいな新米が就いてもいいんですか?それこそリュートさんなんか適役だと思うんですけど」


 そのセリフを切っ掛けに他の二人も口々に不安を漏らす。


 無理もないか・・・


 俺は軽く咳払いをして一度注意をこちらに向ける。


 「君等が不安なのも良く分かる。でも俺だって新米魔王だよ?何も難しい事を今すぐやれって言ってるわけじゃない。少しずつ訓練して前に進めばいいんじゃないか?」


 ゆっくりとした口調で諭すように話し掛ける。不安がるのも無理は無い。でもそこで立ち止まれば先は無い。ここで俺が学んだ事の一つだ。


 俺も彼等も若い。だからこそこの私兵部隊に入って欲しかった。


 やがて一人が口火を切った。


 「分かりました。俺はやります」


 頷く。これでまず一人だな。


 続いてもう一人。こっちは女の子だ。


 「僕もやる。そこまで言われたら断れないし?」


 これで二人目だな。俺は内心でホッとしつつ最後の一人に目をやる。


 「君はどうする?」


 「・・・私は・・・いえ・・・私も参加します」


 俺は鷹揚に頷いた。無事三人確保だ。


 「ありがとう。心から君達の参加に感謝する」


 俺は軽く頭を下げた。あまり王が簡単に頭を下げるなと言われてはいたが、今回は大目に見てもらうことにしよう。


 俺は三人に再び声を掛ける。


 「さてと。それじゃあここで話すのもなんだから部屋を移そうか」


 そのまま王座から立ち上がり、三人に付いてくるよう促した。 


 俺は三人の横を通り抜けて、謁見の間のドアを開ける。


 「遅れないように追いてこないと迷子になるからね」 

  

 それだけ言い残し俺は部屋を出た。すぐさま三人も慌てて俺の後ろに従う。


 なんかひよことかアヒルみたいな列だな。そんなことを思いながら長い王城の廊下を足早に歩く。


 途中でリュートと擦れ違い、企みを見透されたような目で見られたがスルーしておいた。向こうも特に突っ込む気はないらしく何も言わなかった。


 「ここだ」


 謁見の間からだいたい五分くらい歩いた所にある俺の隠し部屋である。防音性に優れ核シェルターより強度のある外壁。正に理想の秘密基地。


 俺は満足気にその扉をあける。重厚な見た目とは裏腹に案外簡単に開く仕様となっている。


 俺はそのまま中に入り、三人を振り返らずに、


 「今後はここが作戦とか会議をする部屋になるから」

 

 という、あっさりとした説明をしてそのまま部屋の奥へと進む。


 部屋のまどりはは1k。とは言っても物凄く広い。テニスコート二面分の面積がある。真ん中には会議用の机と椅子が並んでいる。


 俺は上座に座って三人にも座るよう合図した。


 全員が席に付いたのを確認して、俺は今日の目的を柘る。


 「今日はこの部隊の初回だからな。皆の親交を深める意味でもリラックスしてくれていい。で、最初はお互いの事を知る意味も込めて自己紹介しよう」


 何事にも自己紹介は大切デスヨネ。 


 「まぁまずは俺からするよ。その後は時計周りの順番で自己紹介。

 だいたいは知ってると思うけど、名前は真斗だ。運動とかは出来無い。近接戦闘に関しては無能だと思ってくれ。一応魔導についてはそこそこ出来ると思う。後は・・・特に・・・ないか。以上だ」


 我ながら完璧っ!!!


 「「「短い!?」」」


 三人が同時にツッコミを入れる。


 「息ピッタリだな、おい」

 

 俺は嘆息しながら、


 「後で質問受け付けるから今はこれで。じゃあ次~」


 自分を後回しにして続きを促す。


 「次は僕だねっ!!」


 少し日焼けした肌にショートボブの髪型の女の子が立ち上がる。頭に短めの角があって、背中に羽がある。鳥竜族と言われる種族である。僕っ子だ!!


 「僕の名前はリリア。見ての通り鳥竜族で、真斗と違って近接戦闘派だね。魔導も補助的にだけど使えるよ。これで終わりかなっ」  

 

 「短いじゃないか」

 

 ボソっと突っ込む。


 「真斗~何か言った~?」


 「いや?さっきから俺は沈黙を貫いてるぜ」


 分が悪そうなのでリリアをスルーして、続きを促す。


 「はい次々~」


 大柄の男が立ち上がる。強面。どっちかと言うと、リュート寄りな子ですね。種族はヒトだな。不死鬼族では無さ気だ。


 「次は俺だな。名前はヘイズル。俺も真斗と違って近接戦闘派だ。だがリリアとは違って魔導は全く使えん。以上だ」 


 「お前も短いじゃないか・・・」


 「あん?」


 突っ込んだら睨まれました。しかしこれまたスルーで。


 「最後~」


 「私ですね」


 一言で言うと、優男。金髪碧眼。イケメンは犯罪だ。


 「私の名前はオム。真斗様と同じ後衛タイプ。魔導が専門です」


 「短かっ。お前が一番短いじゃないか」


 「真斗様?何かおっしゃりましたか?」 


 「よっし。今から質問タイムだ。お互い好きに質問してくれ」


 これまた華麗にスルーする。こっちに来てスルースキルばっか熟練して行くな~。


 「はいはーい、僕、真斗に質問っ」


 予想通りリリアから質問が来る。なんかこいつは次の行動が予測しやすいな。


 「どうぞ~」


 「真斗の後ろにいる子は誰~?」


 ・・・はい?俺の後ろに人がいるはずないだろう。


 そんな事を思いながら後ろを振り向く。


 「・・・・・・ヒナタ?・・・何故そこに?」


 後ろにヒナタがいました。全然気配感じなかったぞおい。暗殺者でさえここまで気配消せないよ?


 「・・・ヒナタ・・・近接攻撃も魔導も使える。オールラウンダー」


 「俺の質問は無視してさも当然のように自己紹介するな」


 「・・・なんで呼んでくれないの?」


 the・ウ・ワ・メ・ヅ・カ・イ


 真斗に会心の一撃。これで落ちない男はいないっ。


 俺は顔を逸らしてまた質問を繰り返す。


 「いやいや呼ばないだろ。というか何故ここが分かった?」


 若干得意気にヒナタが切り返してくる。


 「・・・ジャンヌが教えてくれた・・・真斗が面白い事をしてるって」


 ジャンヌさんっ!?何故そんなことを・・・


 「「「真斗(様)ロリコン?」」」


 三人声を揃えてロリコンの合唱。


 「違うわっ」


 くそっ。ここでもロリコン扱いか・・・最悪なレッテルが付きつつあるな。どこかで打開せねば。


 「真斗・・・ロリコン?」


 「そのネタはこの前もやった」


 「ヒナタは俺がこの前裏路地で助けた女の子だ。今は城で暮らしている」


 「・・・拾われた」


 「なるほどっ!!!よろしくねヒナタ」


 リリアがヒナタに近付いて手を取って握手している。ヒナタも無表情ながら手を握りかえして、握手しかえしている。


 オムとヘイズルはそれをぼんやり眺めている。


 俺は溜息を付いて未だに握手を続けているリリアとヒナタに声を掛ける。


 「ヒナタもリリアも席についてくれるか?」  


 二人共素直に従って、座ってくれる。手は繋いだままだけどね。


 「ヒナタはもうここに入るで決定?」


 俺は周りを見渡しながら全員に問う。


 俺の期待も虚しく、満場一致で頷かれました。溜息しか出ねぇよ・・・


 俺は仕方無く場を締める。


 「じゃあ自己紹介も済んだ所で、今日は一旦終ろう」


 「え~もう終わり?」


 リリアが不満を延べる。これまた予想通りの行動。


 「終わった後は自由にしていいから一旦終わるんだ」


 「ん~分かった」


 「皆もそれでいいな?」


 満場一致。俺は頷いて終わりを宣言した。


 「今日はこれで解散。また次集った時に詳しく今後の事を説明しよう」




 こうして真斗が指揮する私兵部隊の初日が終わった。




  



 少し遅くなりました。


 今回も最後までお付き合い下さりありがとうございました。


 次回は登場人物、世界観のまとめを投稿したいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ