8 夏休みで パートⅡ
現在は夏休み中盤のとある日。今日は皆で海に来ていた。
茜や妹たちと別れた紅也は輝とともに男子更衣室で着替えた。
「兄ちゃん・・・最近戦いが激しくなってないか??」
輝が不安がるのも無理はない。さまざまな仕事に関わっているが毎回桐崎家が関係しているのだ。生徒会長がわざとそれを選んでいるとは思えないが、不気味だった。
「心配してくれるのか??大丈夫さ」
普通モードでしゃべる紅也。
「姉ちゃんの心臓にも悪いぜ」
「俺の仕事はそういうものなんだ、こればかりは避けることはできない」
「そうか・・・」
「こんなことで暗くなっちゃ来た意味なくなっちまうだろうが。今日は楽しもうぜ。なんならお前はナンパでもして来い」
「あはは、それはいいかも。楓たちもナンパされるかもな」
「そのときは俺が止める」
「へ~兄ちゃんには姉ちゃんがいるのに??」
「ななな何いってるんだ!!確かに俺は茜と付き合っているが、さっきのは兄としてのことだぞ!!」
「はいはい、そんなにあわてなくてもいいじゃないか兄ちゃん」
言い争いをしながら紅也たちは3人の待つ外に出た。
ぎらぎらと照りつける太陽の下紅也たちは海の中ではしゃいでいた。初めての海に大興奮する茜と妹たち。紅也は仕事で何度も海に囲まれた国に言っているために普通に楽しんでいた。動物型の浮き輪に乗ったり、浅瀬でビーチバレーをしたり。楽しいひと時を過ごしていた。そして現在はお昼。海の家で食事を取っていた。
「うまいうまいうまい」
楓は注文した料理を次々に飲み込んでいく。午前中一番はしゃいだのは彼女だ。よほど腹が減っていたのだろう、ほとんどのメニューを注文していた。紅也はそれにあきれながらも自分の飯を食べ、梓はゆっくりと食事をし、輝は楓に対抗するかのように食べているし、茜はそれを見てくすくすと笑いながら食べている。なんともほほえましい風景だった。
そして午後は紅也はパラソルの下で休んでいた。いつ仕事が入るか分からないため、これ以上体を遊びで酷使するわけにはいかなかったのである。ねっころがった頭付近には炭酸ジュースのペットボトルが5・6本からで転がっていた。再び紅也がクーラーボックスから炭酸をとりだし飲み始める。
「疲れた・・・」
ふと視界が暗くなった。誰かが手でさえぎったのだ。
「だ~れだ??」
女の子の声がした。紅也はすぐに。
「茜か」
「正解~。もう紅也ッたらつまらないな~」
「俺はこんな反応しかできないさ」
「仕事大変そうだね。毎回傷だらけで帰ってくるから・・・」
「心配かけてすまないな。でもこれが俺の仕事なんだ」
「私のせいかな・・・」
「そんなことが嫌なら俺は最初からこれを承諾してはいないさ」
「そうなの??」
「誰がこんな下っ端がレベル・オーバーの仕事をすると思う??自殺行為さ」
「それでも・・・」
「お前は今までどおりやりたいことをすればいい」
「紅也・・・」
「立った一度の人生だ。楽しまなきゃ損損」
「そうだね。分かった」
「それに十分リフレッシュできたし。おれ自身」
「それにしても今日は楽しかったな~。初めての海、初めての海の家、そして始めてのデート・・・」
「俺もさ・・・」
日陰でよくわからないが紅也の顔は赤かった。傍に座った茜のビキニはわずかに差し込む太陽に輝いていた。
「似合ってるよ・・・」
「へ??」
「だから・・・その・・・水着」
顔を更に真っ赤にさせた紅也。茜も紅也から背をそむけるようにして。
「ありがとう・・・」
顔は見えなかったが茜もきっと赤くなってるだろうと紅也は思っていた。それを影からニヤニヤと見ている妹とたちがいた事に気づいてなかった。そして妹たちは願っていた。こんな日ぐらいは幸せな1日で終わって欲しいと・・・。もちろんそんな日が続いて欲しいと願ってるのだが・・・。
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