7 夏休みで パートⅠ
夏休み編開始!!3部作で行きます!!どうぞ!!
今日から夏休み。五十嵐家では現在紅也と茜だけがいた。妹たちは現在部活でいないのである。最近は夜の仕事が多いことから寝不足が続いていた紅也だが、仕事がないことが続いていたため、さっさと宿題を終えようと勉強していた。成績が普通の紅也はうんうん悩みながらも何とか解いていくが、成績優秀な茜は次々と問題を解いていく。
「茜ここ分からん」
「そこはね~・・・」
こんな形で勉強をしていた。しばらくたち現在は昼過ぎ。そろそろ妹たちが帰ってきてもいい頃だ。
「飯~」
いつものごとく女の子らしさのかけらもなく帰ってくるのは長女の楓だ。楓は紅也と茜が作っていたサンドイッチの1つをつまみぐいした。
「コラ楓ちゃん!!みんながきたらでしょ??」
怒っているのは茜だった。紅也は今手が放せないので代わりに茜が説教していた。姉というよりは母親代わりの茜に怒られしゅんとなってしまう楓。その後すぐに帰ってきた梓と輝もくわえて昼食をとった。
妹たちが食器洗いをしていると。
PLLLLL
紅也の携帯がなった。着信履歴は。
「生徒会長・・・仕事か!!」
仕事モードになり、すぐに電話に出る。
「どうした」
「仕事よ」
「内容は??」
「隣の県のとある町なんだけれども。何でも町の人を無視したダム建設が進められようとしてるらしいの。そこの人たちからそれを阻止して欲しいと頼まれたの。阻止するには企画書や承認書を奪えばいいわ」
「そのダムの利用価値は調べてるんだろうな」
「当然。コードネーム“影”から聞いているわ。まったく意味のないもので、ただの税金の無駄遣いらしいわ」
「さすがだな、収集が早い。それにあんたもさすがだ。資料がすぐに手に入る。“姫”」
「でもあなたはもう手に入らない」
「それはもう終わったことだろう。今は仕事だ」
「つれないのは相変わらずね。まあいいわ。それよりもこれはレベルCよ。低いからってなめてかからないでね」
「分かってる。奴らが関わってるかもしれねえ」
「そうなったらこの前みたいなやつが出てくるかもしれないわよ」
「そうなったら焼き尽くすしかないだろ。いつも警戒しているからな。鍛錬も怠っていないから日々成長だ」
「あなただって人間よ。無理は禁物」
「そうやって心配してくれるんだな。“姫”」
「時間は夜の10時よ。しくじるんじゃないわよ」
ガチャリと電話が切れた。心配そうな茜が利いてきた。
「また仕事なの??」
「ああ、今度は隣の県らしい。俺はこれから出かける」
「またあんなことにならないよね??」
茜が言っているあんなこととは、七夕のときに戦闘部隊の1人にぼこぼこにされながらも辛くも倒したときのことだった。あの時は傷だらけで帰宅した紅也だったため、みんな心配したのだった。それでも紅也は笑みを作って。
「心配ない。俺はまたここに帰ってくる」
「当然だよアニキ。ここはわたしたち5人がいるべき場所だからね」
妹の楓が上からかぶさってきた。
「楓、そんなことしているとお兄ちゃんに迷惑ですよ」
楓を諭しているのは梓だった。
「気をつけてくださいね。私たちは本当に心配なんですから」
「兄ちゃん、姉ちゃんを泣かせたら駄目なんだからな!!」
腕を組みながらやってきたのは弟の輝。
「しないように頑張るよ」
そう言い残していつもの着替えをケースに入れて家を出た。夏休み初日は荒れそうだった。
そして現在は夜の9時55分。そろそろ例の資料を利用した会議が行われるらしい。そして今日がはんこを押して承認する日でもあるらしい。
「まったく“影”さまさまだぜ」
にやりと笑いながら仲間を褒める。そしてすぐに気を引き締めいつもの服装で中に道場破りのごとく入る。
バコーン
ドアを吹っ飛ばして中に入る。そこには驚いてイス後とこけている大人たちと彼らを守ろうとしている黒尽くめの男たち。
「またお前らが関係しているのか・・・」
「われわれはボスの命令で動いているまでだ」
1人の男がしゃべる。いつ聞いても感情のない声である。
「それはいいとして、お前らの持っている資料をよこせ。『相談屋』が処分する!!」
殺気をわずかに見せるとおびえて資料を差し出す中年の小太りの男がいた。どうやら全て揃っているらしい。しかしそれをさ遮るようにして男たちが割ってはいる。
「何をしやがる・・・」
紅也はどすの聞いた声をあげる。それにもひるまない男たちとすでに失神寸前の役人たち。
「われわれはボスからこの計画を無事に済ませるようにといわれているためにそれを妨害しようとする貴様を消さなければいけない」
「だったらお前らを焼き尽くし、そして資料を貰っていく!!」
「かかれ」
そうして戦いは始まった。
ぽつぽつと雨が降ってきた。茜たちは紅也のいない夜を過ごしていた。リビングでは妹たちが頭を抱えて宿題と格闘していた。茜はすでに終わらせていたため、彼らの質問に律儀に答えていた。
「雨降ってきたね」
楓がぽつりと言った。
「お兄ちゃん・・・傘持って行ってない」
梓がつぶやく。それには心配の色が濃く入っていた。
「兄ちゃんだったらそこらの水を蒸発させて帰ってくるんじゃないか??」
からからと笑いながら冗談を言う輝。
それを3人で笑った。
「紅也・・・」
あかねは紅也のいる方向を見ていた・・・。
「くそったれが!!」
紅也は吐き捨てる。資料は何とか奪取した。男たちの体をかいくぐって役人を殴って奪ったのだ。しかしそこから今までとは違う強さの男たちに苦戦していた。巧みなフットワークとコンビネーションに翻弄されていた。相手は6人。いつもならば全体技を使うが、今日に限って雨のため炎の威力が少ない。一気に叩き込むには時間が必要だった。
「われわれは」
「ボスの護衛を果たすために」
「戦いに特化した人間」
「貴様のようなガキが勝てる相手ではない」
「資料をおいて」
「ここを立ち去るがよい」
それぞれの男たちが面倒なことをしながら言ってきた。
「おあいにくだがこれは仕事なんでね・・・それは飲み込めないな」
「それならば・・・」
『死あるのみ!!』
男たちが一斉に飛び掛ってきた。紅也は懐から自動型拳銃を取り出して己の力を付加して炎の弾丸を放つ。
「[([)Ohashi(炎)](]) of flame(追走)!!」
だん だん だん だん だん
銃弾が2人の男の腹に命中した。穴を開けるだけではなく更に傷を灼熱の炎で焼き尽くすので痛みは半端ではない。悲鳴を上げてのた打ち回る男たち。いくら鍛えているからといって耐えられるレベルではなかった。それでもひるまない男たち。自動型拳銃など仕事を始めた頃まだそれほど術が使えなかったために使っていたものだ。それから長い月日が流れ、さまざまな鍛錬と研究で今の術が完成したのだ。
「それぐらいでわれわれがひるむとでも思ったか??」
「思わないね・・・」
巧みな攻撃を何とか受け流しながらタイミングを図る紅也だが。思いっきり顔面にパンチを食らってしまった。吹き飛ばされる方向には更に二人の男がいて紅也に対して同時に正拳を放つ。
「そうか・・・こいつらが使っていたのは・・・」
拳法だという前に更なる攻撃が紅也を襲う。今までとは違う強さ。紅也がまだあったことのない強さだった。
(このままではあいつらも危険な目にあわせちまう・・・)
男たちは東西南北の形に並んで攻撃している。
「東の青龍!!」
「西の白虎!!」
「北の玄武!!」
「南の朱雀!!」
円を描きながら紅也は宙を舞う。血が男たちの足元を真っ赤に染めていた。まるで魔方陣を(・)描く(・・)よう(・・)に(・)丸く(・・・)・・・。
「The world is created and five elements.(世界を創造し5つの要素)Flame of flame and revolution of flame and creation of destruction(破壊の炎・創造の炎・変革の炎)Before having called the birth angel from the flame here(ここに炎より生まれし堕天使を呼び出したまえ)The name is Garland.(その名はガーランド)It is an angel of destruction.(破壊の堕天使なり)」
男たちのちょうど真ん中が赤い炎で埋め尽くされ、その中から真っ赤に燃えた人型の怪物が現れた。背中には真っ赤に燃えた羽があった。
「天使なのか・・・??」
男たちがとうとうおびえだした。人間ではないものが出現したのだから、仕方がないといえば仕方がない。しかしそれでも彼らにとってはボスの命令が絶対だった。
『うおおおおお』
男たちが突っ込んでくる。
「ガーランド・・・好きにしてくれ」
『コロス』
ガーランドが手を前に突き出した。すると男たちの足元から勢いよく炎が噴き出し骨も残らないくらいの出力で・・・殺した。そうして天使はふっと消えてしまった。どうやら雨が降ってきて、魔方陣が消えてしまったらしい。
「ありがとう・・・ガーランド」
紅也はふらふらと痛む傷を抑えて茜たちの待つ家に向かった。その後、帰ってきた紅也を見て茜が鳴いたこととそれを見た妹たちにきつく説教されたことは言うまでもない。
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