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3 淡い彼女の願い

例の事件を解決してから早1週間。焼ききった誓約書のレプリカを千尋に渡した。その後キスをまたまた受け、ふらふらになりながらも家に帰った。リビングには妹たちと見知った女性がいた。


「篝さん・・・」


篝 文恵・・・紅也に炎術士としての基礎と相談屋の仕事を叩き込んだ人物であり、彼女自身も炎術士である。それもトップレベルの・・・。


「やあ紅ちゃん。元気だった??」


飄々と挨拶してくる。紅也もまったくとため息をつきながらも。


「ぼちぼちです。仕事もうまくいってますから」


「そういえばこの前レベルSの仕事を請けたらしいじゃない??またあの愛しのあの子のためかな??」


「何言ってるんですか!!篝さん!!」


けらけら炉笑う篝と顔を真っ赤にして反論する紅也。それを見てまた笑う妹たち。まるで家族のような瞬間だった。


「それでまたあんたに仕事を依頼したいんだけれどもさ・・・」

突然真剣な口調になったため、紅也も目を細める。雰囲気で感じたのか、妹たちは静かになる。


「この写真の女子高生をかくまって欲しいんだ・・・」


すっと手元に出された写真に載せられていた女の子には見覚えがあった。


「この子・・・転校生の子だな」


仕事モードの口調になる。片手に持ってみる紅也を見ながら腕を組んで篝は続ける。


「この子からつい最近電話が着てね・・・。なんでも結婚することになったらしいのよ」


「高校生なのに??」


長女の楓が驚きの声をあげる。


「高校生でも女性は16歳から結婚できるだろ??」


「そうだね」


紅也の答えに納得する楓。


「でもなぜ結婚するのに、相談屋に連絡を??」


怪訝そうな顔の紅也にタバコを口にくわえながら篝が答える。


「彼女の結婚は政略結婚だ。彼女は望まない結婚相手と無理やり結婚させられるんだ。女性としてこれほど悔しいことはないだろう。だから彼女は私のところに電話をしてきた。彼女の身元からあんたが適任だと私は思ったのさ」


すはーっと煙を吐き出しながら言う篝。彼女の目には悲しみが含まれていた。


「彼女には俺のことを言ったのか??」


「ええ、一応は言ったわよ。別に嫌がられることはなかったし。むしろ好意的だったかしらね」


「アニキ!!とうとうアニキにも春が来たんじゃねえか??」


はしゃぐ楓。あまりにうるさいので膝の上に乗せる。嫌がっていたが頭を撫でるとふにゃっとおとなしくなった。次女の梓はうらやましそうに見ていた。


「女の子なら俺はオッケーだぜ!!」


輝がわくわくしながら言う。楓も梓も受け入れ態勢でいる。ここで彼女たちの期待を裏切れば大変なことになりそうだった。そこで・・・。


「仕方ねえ、その用件、お受けいたします」


「それはよかった。お前ならやってくれると信じていたよ」


真剣な表情の紅也とニコニコな表情の篝。


「ところで重要度は??」


「言いにくいんだけれどね・・・レベル・オーバーよ」


「な・・・なんだと・・・」


ご愁傷様という表情の篝と愕然とする紅也。


「お前には本当に悪いと思っている。でもな、彼女を助けられるにはお前しかいないんだ!!」


「レベル・オーバーだなんて・・・かつてこんなことがありましたか??」


「あったよ・・・」


「一体??」


「今は言えない・・・機密事項だからな・・・」


「そうか・・・」


「すまない。それでは明日の朝にでも彼女の荷物がすべて届くだろう。これだけ広い家なんだ。部屋はあるんだろ??」


「いくらでもありますよ。相談屋で稼いだ金は馬鹿にできませんからね」


「この言えはお前の努力の結晶さ」


「ありがとうございます」


「アニキ・・・あり・・・がとな。いつも頑張ってくれて・・・」


顔を真っ赤にしながら普段素直ではない楓が感謝の言葉を言う。


「お兄ちゃん、わたしたちは幸せです。だからおにいちゃんも幸せになってください」


礼儀正しく感謝を言う梓。慣れているな~っと感じられる。


「兄ちゃん、サンキューな。俺も頑張るからよ」


にししと笑いながら言う輝。


「新しい家族が増えるんだ、盛大にもてなすぞ!!」


仕事モードで仕切る紅也についていく妹たち。


「家族か・・・」


篝はそんな彼らをうらやましそうに見ていた。


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