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12 クリスマス~聖夜はあなたとともに~

ここは相談屋の本部。ソファーに座り紅也はうなだれていた。近くには篝と“影”と呼ばれる少年がいた。


「焔さん・・・元気出してください。必ず助け出せます。妹さんたちも命には別状はないんですし」


心配そうに話しかけるのは影だ。


「いつまでもうじうじしてるんじゃねえよ」


暗闇から女の声がした。現れたのは高校生くらいの女の子。


「“氷河”さん・・・それは言いすぎじゃないですか??焔さんは・・・」


「だから次勝てばいいだろ??いつまでも過去見てるんじゃねえって俺は言いたいの」


「それにしても“姫”をも打ち破る勢力・・・。焔ちゃんを倒すくらいの奴ら・・・。厳しい戦いになりますね~」


小さな女の子がパソコンを打ちながら言う。


「“空”ターゲットの位置は分かったのか??」


氷河が言う。


「影ちゃんから貰った情報からして大体の位置ですね。でも向かってるところは分かりました」


「それはどこだ・・・」


「焔ちゃん!!」


空が声の主の名前を呼ぶ。焔がゆらりと立ち上がる。傷だらけの体には何十の包帯が巻かれていた。


「奴らは茜をどこに連れて行こうとしているんだ??空」


「東京都中心にあります、桐崎豪邸です」


「あのくそ爺のところか・・・」


紅也は奥歯をかみ締める。目の前で連れて行かれる彼女の姿が眼から離れない。初めての敗北だった。


「近いうち、われわれは桐崎豪邸に突入する」


篝が話し始める。


「そのためには焔・・・貴様の枷をはずすときが来たな・・・」


「枷だと・・・??」


「貴様には話していなかった嘗てのレベル・オーバーの任務・・・」


「あれか・・・」


「あれは・・・5年も前のことだ・・・」


篝の表情が沈んだ。紅也たちは何か重大なものだと感じたいた。


「私がお前に炎術師としての基礎を覚えさせてから、7年がたっていた。その頃はまだ満足な術ができていなかったから拳銃使ってたんだよな。ある日お前がなにやら聖書読みながらぶつぶつ言ってたわけよ」


「そこまでなら覚えている。なんとなくあったから読んでみただけだからな」


「その時だったよ・・・いきなりお前の周りが炎に包まれたのは」


ゴクリと全員がつばを飲み込む。


「私はすぐに仲間を呼んだ。あまりにも大きな力を感じたんでね。その時だったよ、4対の怪物が現れたのは・・・」


「怪物だと・・・??俺は3体の堕天使しか召還できないが・・・」

「焔・・・そこまでできればすごいと思うぞ・・・。俺なんてまだ1体だからな」


「僕なんてまだ何も出せませんよ」


氷河と影が順番に言う。


「それらは一体なんだったんですか~??」


空が質問する。篝が少し溜めてから言う。


「あの4体は・・・神だった」


『!!』


全員の呼吸が止まった瞬間だった。


「神だって・・・??」


紅也がよろよろとソファーに倒れる。まさかの答えに茫然自失状態だ。


「あの時は100人の炎術師を総動員させて封印した。焔の中にな・・・」


「俺の中にだと??」


「それ以外に何か方法はなかったのか??」


「氷河の言うとおりまだ何かあったかもしれませんが、神の力はわれわれを滅ぼすのに十分な力を持っていました」


「まさか・・・」


影が驚く。


「それにその頃の焔はまだ力をコントロールできていなかった。1つの町が焼け野原になったよ。まあ、私たちが住人をすばやく避難させたから犠牲者はいなかったよ」


「そうか・・・」

安どの表情を浮かべる紅也。殺しはしてきたが、罪のない人を殺すことはしたくなかったのだ。


「今回の敵には天使を操るものがいる。そいつらを上回るには神を使うしかない」


「だから焔ちゃんの枷をはずすんですね」


空が言う。


「しかし焔はちゃんとコントロールできるのか??」


氷河が心配そうに言ってくる。


「これまで幾度もの戦いを経験してきた焔です。今では相談屋の中で最強と言ってもいいでしょうね」


「俺が??」


「まあ、私には勝てないけれどね」


篝が勝ち誇って様に言う。


「どうやって、枷をはずすんですか??」


影が聞く。


「これからするさ、焔・・・お前には覚悟があるか??」


真剣な表情で聞いてくる篝。


「当然だ」


即答だった。


「よし!!魔方陣を描くぞ!!」


そう言って篝は懐から筆と墨を出すと円の中に5望星を描く。中に上半身裸に焔が座る。背中にはなにやら術式が浮かんできた。

「あれが枷か・・・」


氷河がつぶやく。


「神を貼り付けし十字架よ今こそ神を解き放て!!神の四肢を貫く杭よ今こそ神を解き放て!!神の自由を奪う鎖よ今こそ神を解き放て!!世界を創造し神々よ今こそ少年に力を!!プロメテウス!!フェニックス!!パニシャー!!マグマハート!!」


ものすごい熱風が吹き上がる。そして基地の天井が破壊された。


「何が起きてるんだ!!」


氷河が炎でドーム上の結界を張る。その中に影や空もいた。


「あれは!!」


目の前に現れたのは4つの影。人間の形をしたプロメテウス・・・愛と幸福をつかさどる神。蛇と人間が混ざった形のパニシャー・・・殺戮をつかさどる神。鳥の形をしたフェニックス・・・生と死をつかさどる神。ドラゴンの形をしたマグマハート・・・恐怖と絶望をつかさどる神。これらの前に立つのは紅也・・・コードネーム“焔”だった。


「今行くぞ・・・茜!!」


戦闘準備は整った・・・。


ここは桐崎豪邸。つれてこられた茜はすぐに服を着替えさせられ、ドレスに着替えさせられた。そしてとある1室につれてこられた。そこにいたのは父親と知らない男2人だった。


「パパ・・・これはどういうことなの??」


茜は不安そうに聞いてみる。


「何を言ってるんだ。この方はお前の婚約者だぞ。九条棟(くじょうむな)(たか)くんだよ」


娘が帰ってきた嬉しさと、ますます自分の力が婚約によって強くなることへの喜びが顔に表れていた。


「棟高と申します。聞いていた以上の美しさだ。こんな美しい人と結婚できるなんて僕はなんて幸せものなんだ」

大きく手を広げて茜を抱きしめた。嫌な感じしかしなかった。それでも嫌な顔をすれば悪いと思い作り笑いをした。


「私もあなたのようなすばらしい人と結婚できるなんて幸せです」


口合わせで言う。すると。


「!!」


無理やりキスしてきたのだった。軽いものだったがいきなりだった。


「うれしいな・・・こんなきれいなこと結婚だなんて」


まだ浮かれている男。向こうでは結婚の手はずが勝手に勧められている。茜にはどうすることもできなかった。ただ助けを待つばかりだった。


(紅也・・・来てくれるよね・・・)


雪が降るクリスマスの夜の空をサンタクロースが来るかどうか見るように見ていた。


「!!」


突然空が赤くなった。よく見ると何かが飛んでいた。


「あれは??」


「どうしたんだい??ってなんなんだあれは!!」


茜の言葉に棟高が反応してみてみるとそこには真っ赤に燃えた鳥が空を飛んでいた。驚いて思わずはやの隅に隠れてしまった。


「どうしたのだ??」


棟高の父親清朗が見てみるとそこにはここに近づいてきた鳥がいた。


「ぎゃああぁぁぁぁ!!」


ドガーアアアァァァァァン!!


窓や壁が破壊された。茜はふわりと宙を舞う感じがした。そして誰かに抱っこされている感じを感じ取り目を開けてみると。


「あ・・・」


そこにいたのは。


「炎を操りし相談屋、ここに約束を守りにきたぞ」


「紅也~!!」


目の前には彼女が一番会いたかった人・・・五十嵐紅也・・・“焔”がいたのだ。


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