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11 冬となり恋は光り輝く

いよいよ後半。

 戦いは激化する。

紅也は大切な存在を守れるのか??

  ついに冬となり雪が降り積もる毎日になってきた。とは言っても都会のここでは1センチ積もるかどうかのものだった。それでも寒いこの季節。みんなで編んだマフラーを着込んで登校する。


「すっかり寒くなったね」


「ああ、もうすぐ今年も終わりだな」


紅也と茜はそろって登校していた。紅也の懐には自動型拳銃が隠れていた。いつでも茜を守れるようにするためだ。もちろんコートは最初から着込んでいる。


「その格好だと仕事に行くみたいだね」


「まったくだ、でもこれは防寒性が高いからな。普通のよりもあったかいんだ」


「それば聞き捨てならないですな~」


そう言ってくっついてくる茜。周りからの視線を気にしながら学校に登校した。教室に入るとすぐに放送が鳴った。


「2年生の五十嵐紅也くん。今すぐに生徒会室に来なさい」


会長からのじきじきの収集命令だった。こういったときはたいてい仕事だった。それを知っている茜は心配そうな顔をしたが。


「心配するなよ」


そう言い残して紅也は生徒会室に急いだ。

ガラガラとドアを開けるとそこに端と会長の千尋がいた。腕を組んでなんとも深刻な表情をしていた。


「おい、一体何の用だ??」


「仕事よ・・・」


なにやら深刻なものらしい、生徒会長の表情が優れない。


「内容は??」


「この会社の社長が裏金をしているらしいの。それの証拠の資料が隠されているらしいからそれを奪ってきて欲しいの」


「レベルは??」


「レベル・マイナー・・・」


「そんなものを俺にやれというのか??」


「父からの直接の以来なの・・・お願い」


「何やら大きな力が動いてそうだな」


「確かに不穏な動きはあるけれどね。父はあなたなら完璧に任務を遂行できると言ってるは」


「それはやれと言われたらやるしかないが・・・」


「報酬は100万で・・・」


「なんでそんな大金になるんだ??」


「いいからさっさと行って任務を遂行して!!」


「・・・」


会長が何かにおびえているのを紅也は感じ取り、何も言わずに生徒会室を後にする。そこに残された千尋は大粒の涙を流しながら泣いていた。

「ううぅぅぅ、ごめんなさい。紅也くん・・・本当にごめんなさい・・・。頑張ったんだけれど・・・ヤッパリ国家には勝てなかったよ・・・」


それは桐崎重喜代からの国家レベルのあらゆる機関に対する桐崎茜捜索命令、見つけ次第報告するというものだった。いつまでたっても見つからないことに痺れを切らした重喜代は権力を総動員して発見に乗り出したのだ。そして今回千尋が紅也に言い渡した任務先は・・・。


教室に帰ってきたときにはすでに授業が始まっていた。教師に理由を説明して席についた。


「やっぱり仕事だったの??」


茜が聞いてきた。


「ああ、俺以外でもやれる仕事を俺に無理やり押し付けてきやがった。これは何か裏がありそうだ」


「裏って??」


「お前の父親が手を回してるってことだ」


「パパが??」


「まだ各章はないがその確率は高い。これからは一層警戒を強めるから。お前はいつもどうりに過ごせばいい」


「また紅也に無理させちゃう・・・」


「そう落ち込むなよ。これが俺の仕事なんでだ。それに恋人を守るのは当たり前だろ??」


「紅也・・・」


そうしてその日は過ぎて行った。今日はクリスマスだった。


「パーティー前には帰るからみんなで料理していてくれ。下準備は俺がしておいたから。分からないことはアズサに利けばいいから」


紅也はいつもの服装で玄関まで見送りに着ていた茜に言った。


「ちゃんと早く着てね」


心配そうに手を胸に当てて言う。


「アニキの仕事熱心にはあきれるね。こんな日ぐらいは休めばいいのに」


「そう言わないの楓。お兄ちゃんだって本当はみんなと楽しみたいんだから」


「梓の言うとおりだな、兄ちゃん。ちゃんと早く帰ってくるんだぜ」


「ああ、分かってる」


そういって紅也は雪の降る聖夜の闇の中を突き進んでいった。五十嵐家前には警察と桐崎家の特殊護衛部隊が潜んでいた。


現在紅也は依頼どおりの会社の社長室で裏金社長との取引をしていた。骨董品を炎で焼き尽くし脅しをかけている。


「こっちには依頼が着てるんでね。それに早く帰ってやらなきゃいけないんでさっさと渡しな」


「こんなことになるとは思わなかったんだ!!俺はだまされたんだ!!」


「何を言ってるんだ??俺は確かに警察から以来を聞いて・・・」


「お前は知らないだろうが現在のありとあらゆる日本企業やら機関は桐崎重喜代に支配されている。今回もお前をおびき寄せるために裏金をわざと作れといってきたんだ。やっても無実にしてやるといったんだ」


「な・・・なんだと!!」


紅也は怒りを抑えながらもいう。


「桐崎茜を見つけるためにやっているらしい。その後のことは聞いてない。本当だ!!助けてくれ!!」


泣きながら懇願する社長を一瞥し。


「そういうことかよ生徒会長・・・。あんたは知っていた俺に押し付けたんだな・・・。あんたのことだ・・・やるだけやってこの結果だったんだろうな・・・」

そして禁断の炎術式を唱える。


「翼を失いし堕天使に再び翼を与えたまえ!!Wing of angel of flame(炎の天使の翼)」


紅也の背中に炎の双翼ができた。そして最上階から拳銃でガラスを割り飛び出す。


「茜!!今行く!!」


今宵堕天使が聖夜の空を飛んだ。これを知るのは神のみかもしれない・・・。


少し時間をさかのぼり五十嵐家。


「ふふふーん」


楓がテーブルに座り出来上がる料理を待っていた。


「楓ちゃん、少し手伝って!!」


大忙しの茜は楓に助けを求める。


「私が料理すると大変なことになるよ」


「そうそう、姉ちゃん。こいつが料理すると爆発するんだぜ」


「輝~!!」


「やっべ!!」


怒った楓が輝を追い掛け回す。ばたばたとにぎやかなリビング。何とか梓の協力で完成した。


「後はお兄ちゃんが来ればいいんですね」


ニコニコ顔で茜に言う梓。


「そうね、紅也ったら何やってるんだか」


「主役は遅れて登場ってか??」


「誰??」


突然外から聞きなれない男の声がした。次の瞬間。


ガッシャーン!!


窓ガラスが破壊された音がした。


「「「きゃー!!」」」


「ぬおぉぉぉ!!」


悲鳴を上げる女性人。そこに立っていたのは修道服を着た女と神父姿の男そして若い男の3人だった。


「誰ですかあなたたちは!!」


茜が叫ぶ。


「お嬢さま。こんなところにいらっしゃったのですか??お父様は大変苦労をなさられてますよ」


若い男が口を開く。


「まったくこんな薄汚い一般人の家にいるなんて・・・しかもあのクソガキの家だなんて」


「アニキを知ってるのか??」


「知ってるも何も私はあいつと戦って相打ちになったんだよ」


「あの時・・・お祭りのときの」


「お前が兄ちゃんを苦しめたんだな!!」


「子供たちよ。君たちはこのことには無関係だ。少し痛いかもしれないけれどもじっとしていてもらうよ」


神父が首から提げた十字架に手を触れた。


「神を殺しし十字架よ、このものたちを捕縛せよ」


「姉ちゃん!!逃げろ!!」


十字架の力が発動する前に輝が走り出していた。神父に向かって殴りかかる。


「うおおぉぉぉぉ」


しかし、女の剣に阻まれる。


ズシャアァァァ!!


右肩から斜めに切られる輝。鮮血が舞う・・・。


「ぎゃぁぁぁぁ!!」


悲鳴を上げながら倒れ、気を失う輝。それを涙を流し見ながら茜は梓に誘導されながら裏口に急ぐ。


「ここは通さないぜ!!」


楓が手を横に広げて通せんぼする。


「お嬢ちゃんを傷つけたくないんだけどね・・・」


眼を伏せた若い男。動かない2人の神父とシスター。


「The angel who the me in front of me now before it had it ..doing [hikanozo].. ..[wo] imagination and ..remainder.. god... Subjugate [ototenshi] [wo] and the angel. Professional mortar(余を想像し神よ、今我の前にその僕である天使を光臨させたまえ。堕天使を討伐し天使を。プロノウス)」


楓の目の前に現れたのは黄金に輝く天使。


「なんで??」


次の瞬間天使の翼から放たれた刃物のように鋭い羽が楓を貫く・・・。


「きゃああぁぁぁぁ!!」


血しぶきを上げて後方の吹き飛ばされる楓。壁に激突し、気を失う。


「裏に回っても無駄だろうね」


「「ああ・・・ぁぁぁぁ・・・」」


声にならない悲鳴を上げている2人。先ほど神父が発動させた十字架によって捕まっていた。目の前には3人が現れる。


「お嬢さま、あの2人は殺してはいませんよ。今あなたが素直に来てくださればその女の子は助けてあげましょう」


若い男が言う。


「本当ですか??」


茜が恐る恐る聞き返す。


「だから言ってるじゃねえかくそアマが!!」


「口が汚いですよ」


「すまねえ」


神父に諭されるシスター・カルマ。


「ええ、本当ですよ。お嬢さま」


「なら行くわ・・・。これ以上この子達が傷つくのは見ていられない」


「母親みたいですね」


「私はここでは母親役だのよ・・・」


「まって・・・お姉ちゃん・・・」


何とかもがきながら梓が言う。


「まだ反抗しますか・・・。かわいそうですが。四肢に光の杭を」


ぐさ!! ぐさ!! ぐさ!! ぐさ!!


「あがああぁぁぁ!!」


悲鳴を上げる梓。


「やめてー!!もうやめて!!なんで約束破るのよ!!」


「私はしましたが・・・この神父はしてなかったので・・・」


「このうそつきが!!」


殴りにかかる茜だが。


『捕縛』


天使に捕まれ動けない。


「離して!!離しなさい!!離せ!!」


「少し静かにしてくださいよお嬢様」


どが!!


茜は腹を殴られ悶絶する。そしてそこに。


「茜~!!」


空から聞きたかった声がした。空を見るとそこには赤い双翼をはやせた紅也が飛んできた。


「紅也!!」


痛みを我慢しながら大きな声を出す。


「茜を離せ!!」


「ようやく来ましたか堕天使が!!」


若い男は急に顔を変える。怒りに満ちていた。


「ガキが~ようやく登場かい??」


カルマはけたけたと笑いながら言う。


「神にそむきしものよ・・・」


神父もそれらに続く。


「貴様らに炎罰を下す!!」


「神でもない貴様が!!」


「私たち神に使えしものに!!」


「罰など不可能・・・」


「行くぜ!!ガーランド!!アリア!!ガリヴァー!!」


3体の堕天使が召還された。それぞれが3人に攻撃を開始する。


『コロス』


ガーランドが天使に攻撃する。天使も反撃として攻撃する・・・。


『神の怒り』


ピシャーン!!


雷がガーランドの上に落ちたかに見えた。そして紅也は見た・・・。


「何だと・・・」


『グウウゥゥゥ・・・』


ガーランドが崩れていく様子を・・・。


「きゃははは、なんだいこの女堕天使。大した事ないな」


炎を操り攻撃するアリアの攻撃を変形させた剣で斬っていた。


「これでもくらいな!!」


剣が1本の槍に変わった。


「Spear of deicida(神殺しの槍)!!」


グサ!!


アリアの腹に刺さった槍。そのままぐったりと崩れていく。


「そんなバカな・・・」


まさかと別方向を見ると・・・。


「ガリヴァー・・・」


最後のガリヴァーが十字架に押しつぶされるところだった。


「神の偉大さを感じよ・・・」


神父が止めを刺すところだった。


「紅也・・・」


まさかの情景を見ている茜。今まで紅也の勝ったところしか見たことがなかったからだ。信じられなかった。


「そろそろチェックメイトですね」


若い男が言う。すでに紅也は天使の攻撃を受けてぼろぼろだった。更には四肢は十字架に光る杭で固定されていた。そしてとどめは腹に剣が突き刺さっていた。


「「「神による天罰が下らん!!」」」


ピシャーン!!


紅也に向かって雷が落ちた。


「うああががががあぁぁぁぁ!!」


「やめてー!!」


茜は叫んだが、紅也はその場に倒れた。双翼は千切れていて、服はほとんどが燃えてなくなっていた。


「紅也!!紅也!!いやー!!紅也―!!」


何度も名前を呼びながら茜は来たヘリコプターに乗せられ連れて行かれた。


しばらくして紅也は目を覚ました。痛む体に鞭打って立たせる。すぐ紅也の眼に入ったのは血だらけで倒れる妹の梓だった。


「梓!!梓!!大丈夫か??」


声をかけても一向に目を覚まさない。紅也は嫌な予感がした。梓を抱えて中に入る。そこには・・・。


「楓・・・、輝・・・」


血だらけで倒れている妹と弟の無残な姿だった。紅也は外を見た。なぜか五十嵐家にだけ真っ赤に染まった血の雪が降っていた。


「うわああぁぁぁっぁぁぁっぁ!!!」


紅也の・・・堕天使の叫びが響き渡った。クリスマスだった・・・。


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