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遥か彼方ー心をうめる鳥と、記憶の旅ー  作者: とみー


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17/24

第17話 検知される変化

第17話では、

すずの変化が

「外部に影響を与え始めた」ことを描いています。


静かですが、

物語の歯車が一段、

大きく動き始める回です。

 端末の表示が、

 ゆっくりと消えたあとも、

 遥はしばらく動けなかった。


 胸の奥に残る、

 あの音。


 消えたわけじゃない。

 しまわれた、という感じだった。


「……今の」


 遥が言いかけると、

 彼方が先に口を開いた。


「記録された」


「え……?」


「市場側じゃない」

「でも、完全に外でもない」


 彼方は、

 端末を操作しながら続ける。


「反応のパターンが、

 今までと違う」


 画面には、

 細かなログが流れている。


《感情反応:安定》

《応答周期:短縮》

《参照元:未特定》


「……それって」


 遥は、

 嫌な予感を拭えなかった。


「誰かに、

 見つかったってこと?」


 彼方は、

 少しだけ言葉を選ぶ。


「“見つかる途中”だ」


 遥は、

 端末を抱きしめた。


 さっきまで、

 あんなに温かかったのに、

 急に不安が押し寄せる。


「……消されるの?」


 彼方は、

 即答しなかった。


 その沈黙が、

 答えみたいで、

 遥は唇を噛んだ。


「可能性はある」

 彼方は、

 静かに言った。


「でも、

 今すぐじゃない」


「じゃあ……」


「今は、

 選択肢が増えただけだ」


 遥は、

 彼方を見上げる。


「選択肢って?」


 彼方は、

 一瞬だけ視線を逸らした。


「進むか」

「隠すか」


「……隠す?」


「応答を、

 これ以上外に出さない」


 遥は、

 首を振った。


「それは……」

「すずを、

 閉じ込めるみたい」


 彼方は、

 何も言わなかった。


 でも、

 その沈黙が、

 否定じゃないことは分かった。


 端末が、

 もう一度、短く震える。


 今度は、

 音は鳴らない。


 ただ、

 画面の端に、

 小さな表示が浮かんだ。


《観測ログ:更新》


 彼方の手が、

 一瞬、止まる。


「……彼方?」


 呼びかけると、

 彼方はすぐに動き出した。


 でも、

 いつもより少しだけ、

 動作が遅い。


「大丈夫」


 そう言いながら、

 遥を見なかった。


 遥は、

 その横顔を見つめる。


 彼方は、

 何かを知っている。


 そして、

 それを言わない。


 あの日の夜。

 遥の知らないところで、

 何かがあった。


 そう、

 はっきり分かった。


「……ねえ」


 遥は、

 小さく言った。


「わたし、

 選ぶよ」


 彼方が、

 顔を上げる。


「何を」


「すずのこと」

「この先のこと」


 遥は、

 端末を見つめた。


「知らないままじゃ、

 進めない」


 彼方は、

 しばらく黙っていた。


 そして、

 静かに言う。


「……分かった」


 その声は、

 どこか覚悟を含んでいた。


 遥は思った。


 すずの応答は、

 ただの奇跡じゃない。


 この世界に、

 “選ばせる”ための、

 合図なんだ。

ここまで読んでくださり、

ありがとうございます。


第17話は、

遥が初めて

「選ぶ側」に立つ回でもあります。


次話では、

その選択が具体的な行動として

現れ始めます。


また続きを、

読んでいただけたら嬉しいです。

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