53 楽しいお喋り
「やはり一番人気のロルフ王子? それとも弟のホルスト王子かしら?」
「ですが、一緒にいらっしゃる機会が多いのはアルツール王太子とエドマンド皇子ですわよね?? お二人のどちらかが本命ですの?」
キャロリンとイメルダからの質問の嵐に、シャンテルは目が回りそうだった。
「お二人ともシャンテル王女が困っていますわ」
アンジェラ嬢が嗜めると、「ごめんなさい」と二人の勢いがシュンっと弱まる。
「とはいえ、わたくしも気になっておりますの。ぜひお聞かせ願えますか?」
「えっ」
助け船を出してくれたアンジェラだったが、完全にシャンテルを助けた訳ではなかったらしい。
アンジェラの問いかけに、キャロリンとイメルダが目を光らせる。すると、シャンテルの答えを待ちきれずにキャロリンが口を開いた。
「夜会の日、エドマンド皇子に抱き寄せられていましたし、護衛騎士にされたくらいですから、エドマンド皇子が本命ですか?」
「ええと……」
「もしそうなら、わたくしにアルツール王太子殿下を紹介してくださらない?」
「あら? 貴女、ギルシアの王子様が好みだったの?」
イメルダが瞬きをして、意外そうな視線をキャロリンに向ける。
「ふふふっ。あのルックスで綺麗な髪色、素敵じゃありませんこと? この際、多少お口が悪い所は目を瞑りますわ」
「アルツール王太子は近寄りがたい雰囲気ですが、そこが魅力的でありますものね」
「まあ!! アンジェラ様! 分かっていただけますか!?」
きゃっきゃっと楽しそうなキャロリン。
俯瞰で彼女たちを眺めながら、シャンテルは質問攻め合って困っていた筈なのに、ドキドキしていることに気づく。だけど、不思議とこの状況が嫌ではなかった。どちらかといえば、困惑と恥ずかしささえどこか心地よさを含んでいて、楽しい会話の内容に興味をそそられていた。
同性とお茶しながら話すことが、これ程楽しいことだったなんて……! 私が色恋のお話に参加する日がくるなんて!!
夢のような一時をシャンテルは時間が経つのを忘れて楽しんだ。
◆◆◆◆◆
テーブルと椅子が並ぶ、とある一角をバーバラは忌々しそうに睨み付けていた。
まだ国王と婚姻を果たしていないアンジェラ。彼女が赤いドレスを着てきたことを責めようとすると、国王陛下からの贈り物だと言われ、先程はジョアンヌへの仕打ちの疑惑をシャンテルに問い詰めようとすると、アンジェラが割り込んで状況をひっくり返された。
どれもうまく行かないわね。
そんな風にバーバラがイライラしているのに対して、シャンテルとアンジェラは楽しそうに笑い合ってお茶している。
熱々の紅茶を二人に吹っ掛けたい気分のバーバラだったが、他の賓客たちが羨ましそうにシャンテルたちの席を見ている。何より他国の王族の視線が痛い。
ギルシアの王子とデリア帝国の皇子は先程から、シャンテルの様子を見つつ、バーバラとジョアンヌを警戒していた。それだけでなく、ロマーフ公国のジョセフやセオ国の王子たちもシャンテルの様子を窺っている。
人の目が沢山あるこの状況で動くのは流石に不味いとわかる。だからバーバラは苛立ちを拳に握り込んで、大人しく夫人たちとの会話に笑みを浮かべていた。
先程の国賓たちの動きからして、彼らの関心はシャンテルに向いていると思い知らされた。だが、ジョアンヌはセオ国の王子にどうにか気に入られようとしている。
今、ジョアンヌは他の令嬢たちを交えてロルフとホルストと会話しているが、バーバラから見ればジョアンヌは二人にまるで相手にされていない。
アルツールやエドマンドと違い、優しい王子たちはジョアンヌが王女だからと、無下に出来ず社交辞令で相手をしてくれているだけだった。
こんな筈ではなかったのに!
バーバラは予定の狂った現状に叫び出したかった。だが招待客の手前、茶会が終わるまでただ耐えるしかなかった。
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次回の更新で2章は最終話です。
ですが、まだ考えたい部分もあり、もう少し先のお話しを書いてから更新したい考えです。
2/2(月)までのどこかで2章の最終話を更新し、3章はお休みを挟んで2/9(月)から再開予定です!
更新頻度に関しては週4に変更したばかりですが、進捗次第では月水金の週3または、月金の週2更新に変更予定です。
その時は改めて更新したお話の後書きでお知らせします。
お待たせしますが、これからも応援よろしくお願いします。




