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シャンテル王女は見捨てられない〜虐げられてきた頑張り屋王女は婚約者候補たちに求婚される〜  作者: 大月 津美姫
2章

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45 心配してくれる存在

 シャンテルがバーバラの部屋を出ると、エドマンドと目が合った。その瞬間、エドマンドが目を見開く。


「その傷……」

「え? 傷?」


 傷と言われて心当たりがあるシャンテルは、ネックレスを投げつけられた頬に触れる。


 その手を見れば、小さい赤が付着する。


「シャンテル様、お怪我を!?」

「もしかして、ネックレスを投げられた時に!?」


 カールとサリーが心配そうに声を上げる。


「怒鳴る声がしていたが、中で何があった!?」


 尋ねながら、エドマンドは素早く胸ポケットからハンカチを取り出して、傷口に当てる。


「え? エドマンド皇子、ハンカチが汚れてしまいます」

「気にしなくて良い!」


 エドマンドの表情には焦りと怒りの感情が滲んでいた。


「っ」


 どうしてエドマンド皇子がそんな顔を?

 ……もしかして、心配してくださっているの?


 母が亡くなって以降、ここまで必死な顔でシャンテルを心配する人物はサリーとカールぐらいしか見たことがなかった。


 家族はシャンテルが怪我をしても風邪を引いても心配しない。それどころか、風邪を移すなと言わんばかりに遠ざけられる。唯一、公務が滞ることを心配されるぐらいだ。


 家族でもない、ましてや他国の皇子がどうして? と思う反面、うまく言えないが嬉しいようなむず痒さをシャンテルは感じた。


「あ、ありがとうございます……」

「シャンテル王女は顔に傷を作るペースが早すぎる」


 呆れ顔で呟かれた言葉にシャンテルは何も言い返せない。何しろ夜会の何日間前にもバーバラから扇子で叩かれて傷を作っている。エドマンドは暗にその事を言っているのだろう。


「怪我自体は小さくて大したことないが……サリー、部屋に戻ったら消毒を頼む」


 エドマンドが言えば「勿論です」とサリーが頷く。それから、シャンテルたちは一度自室に戻るため廊下を歩き始めた。その時、エドマンドの視線がサリーが持つ書類に向けられる。


「シャンテル王女、サリーが持っているあれ(・・)はなんだ?」

「書類です」

「それは見れば分かる。俺が聞いているのはそういうことではない」


 シャンテルの答えにエドマンドが不機嫌に顔を歪ませる。


「妃殿下の部屋に入るときはなかった書類の束(それ)は何か、と聞いている」

「バーバラ妃殿下からジョアンヌの公務を頼まれました」

「妃殿下が?」


 呟くとエドマンドがチッと舌打ちする。


「俺が執務室前にいて部屋に入り難いから、私室へ呼び出して直接頼んだか」


 エドマンドの言葉に、そう言えばと思い出す。


『これからは俺が執務室の前に立つからな。こうして部屋まで送り迎えすれば、ジョアンヌ王女も公務を押し付け難くなるだろう』


 あの言葉通り、エドマンドがシャンテルの執務室の前に居ることで効果を発揮しているとすると、凄いことだ。だが、他国の皇子を自国の揉め事に巻き込んで良いのかしら? と、シャンテルは複雑な気持ちになる。


「単純に私をお茶会に来させたくないか、遅れて来させるためだと思います」

「“遅れないように参加しろ”と言ったのは妃殿下だろう」


 エドマンドが指摘する。だけどシャンテルは、首を横に振った。


「皆さんの前でダメな王女(わたし)を話題にしたいだけですよ」


 あれは所謂、そのためのフラグなのだ。


「シャンテル王女はダメな王女ではない」

「……それは、ありがとうございます」


 唐突に宣言されて、シャンテルは誉められた気がして照れ臭くなる。


「照れている場合ではないぞ」


 思っていることが、バレバレでシャンテルは「うっ」と言葉を詰まらせる。


「そうやって、周囲からの評価を下げるのは得策ではない」

「仕方ありません。私はジョアンヌを虐げている王女として認識されていますから」

「だとしても、だ。まだ夜会の答えを聞いていないが、もしルベリオ王国の女王を目指すなら、自国の貴族たちを味方に付ける必要がある。でなければ、仮に女王になれたとしても直ぐ足元を救われるぞ」


 言われて、シャンテルは気が付く。自分には後ろ楯どころか、味方になってくれる貴族すらいないのだと。


「……そう、ですよね」


 頷いてシャンテルは目を伏せる。

 ギルシア王国の血を引いた野蛮な王女。それがルベリオ王国で人々が認識しているシャンテルの肩書だ。


「城内の使用人は殆どが王女の価値も努力も知っているが、外の貴族は違う」

「それは違います。城内でも私を王女として接してくれるのはほんの一部ですから」


 シャンテルを認め、敬ってくれているのはシャンテル付きの侍女、そして騎士団のみんなやニックを筆頭とした官僚たちだけだ。

 その証拠に、シャンテルはバーバラやジョアンヌの侍女から舐められているし、専属を持たない侍女たちからは避けられている。


「一部、か」とエドマンドが呟く。


「自分を過小評価するのだな」

「どう言うことですか?」


 過小評価と言われても、シャンテルはピンとこない。


「まぁいい。とにかく、シャンテル王女は茶会に遅れないために、書類仕事をを終わらせることに集中した方が良さそうだ」


 エドマンドが告げたとき、丁度シャンテルの部屋の前に到着した。

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婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!

悪役令嬢にされてしまった公爵令嬢は未来の旦那様を探す旅に出たい〜それなのに、婚約破棄だと言ってきた王太子殿下が止めてきます〜
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