表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャンテル王女は見捨てられない〜虐げられてきた頑張り屋王女は婚約者候補たちに求婚される〜  作者: 大月 津美姫
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/54

22 押し付け

 翌日、シャンテルは早起きして昨日は手を付けられなかった書類に目を通していた。先ずは自分に割り振られた分から順番に処理して、必要なものには署名していく。暫くそうしていると、ノックの後に女性の声がした。


「シャンテル様、バーバラ妃殿下から伝言をお預かりしています」


 どうやらバーバラの侍女が訪ねてきたらしい。


「どうぞ入って」


 カールが執務室に侍女を通すと、彼女はシャンテルが座る執務机の前に立つ。


「本日の朝食後、バーバラ妃殿下のお部屋まで来るようにとのこです」


 バーバラから訪ねるよう指示されるのは珍しい。普段は自身やジョアンヌからシャンテルを遠ざけているからだ。食事ですら特別なことがない限り別々に取っている。


 どういう風の吹き回しかしら? と思いながらも、国王が発表した婚約と婚姻の件で城内は混乱している。呼び出される理由はそれくらいしか思い付かなかった。


 了承の返事をして侍女を退室させると、シャンテルは朝食の時間まで公務に精を出した。その後、言われた通りバーバラの元へ向かうと開口一番にこう言われた。


「シャンテル、貴女からもシャトーノス侯爵令嬢との婚姻を取りやめるよう、国王陛下を説得なさい」


 バーバラの用件はシャンテルの予想通りだった。


「お言葉ですが、国賓の皆さまや国内の有力貴族たちの前で発表した以上、簡単に取り下げは出来ません。それに、国王陛下は私に無関心ですので、私の言葉はお聞き入れ下さらないと思います」


 シャンテルは思っていることを正直に述べた。すると、バーバラが不愉快そうに眉間を歪めて、「使えない子ね!」と一言放つ。


「もういいわ。出て行きなさい」


 期待した働きが出来ないと分かると、バーバラはシャンテルを部屋から追い出した。

 そうして、シャンテルが執務室の前に戻ってくると、書類を抱えた侍女の姿が見える。その後ろにはジョアンヌがいて、シャンテルが戻ったことに気付いてムッとした顔を見せた。


「お姉様! 何処に行ってたの!? わたくし、ずっと待っていましたのよ!!」


 そう言われても、訪ねてくると聞いていなかったのだから仕方ないと思いながら、シャンテルは質問に答える。


「バーバラ妃殿下のところよ」

「お母様の? ……ふぅん? だったらまぁいいわ。そんなことより! これお願いね」


 そう言って、ジョアンヌは連れていた侍女が持つ書類の束を指差す。彼女を一目見た瞬間からシャンテルは嫌な予感がしていた。それでも念のため尋ねる。


「これは?」

「見れば分かるでしょう? わたくしに割り当てられた公務の書類よ」

「……」


 何でも無いことのように告げられたが、これはジョアンヌに任されたものだ。只でさえシャンテルは国王の書類も預かっている。これ以上仕事が増えるのは勘弁して欲しい、と思いながら口を開く。


「ジョアンヌ、私たちの公務はそれぞれの負担を減らすために均等に割り振られているのよ」

「仕方ないじゃない。わたくし、お手紙でセオ国の王子様たちから明後日、お茶会に誘われたんだもの」


 セオ国の王子たちがジョアンヌをお茶に?


 夜会ではシャンテルと仲良くなりたいと言っていたのに、彼らが先に声をかけたのはジョアンヌらしい。一晩冷静に考えて、シャンテルよりジョアンヌと仲良くする方が良いと判断したのかもしれない。


「明後日ならまだもう少し時間があるわよね?」

「全然足りないわ! お茶会に着ていくドレスや髪型を決めたり、お茶菓子を選ぶのに忙しいんだもの! それに、明日は騎士団の入団試験があるでしょう? わたくしの第三騎士団に優秀な騎士を入れるためにも、絶対今日中に終わらせなきゃいけないの!」


 そこまで言うと、ジョアンヌが持っていた扇子で口許を隠す。


「お姉様と違って、わたくしは大切な国賓のお相手を控えているのよ」


 見下すような目でジョアンヌがシャンテルを見た。

 少し粘ってはみたものの、ジョアンヌは引かない。これはもう何を言っても駄目ね。と、シャンテルは諦める。


「分かったわ。今日の分だけよ」


 そう口にすると、ジョアンヌは表情をパァッと明るくさせた。


「流石お姉様! 国賓のお相手の方が大切だとよく分かっていらっしゃいますわね!」


 書類を捌くことも大切なのだけど、とシャンテルは思っていたが、これ以上何か言うと反論されて面倒なので口を噤む。そして、侍女から書類の山を受け取った。


「それと、婚儀当日の警備は全てお姉様にお任せするわ。警備のことは、わたくし全く分かりませんもの。体裁上、当日は第三騎士団をお姉様にお貸しするからよろしくね」


 一任された警備はジョアンヌと相談が必要だと思っていたシャンテルだが、つまりは丸投げだった。だが、これでジョアンヌと意見が分かれる心配がなくなった。


「分かったわ」


 シャンテルが頷くと、ジョアンヌは機嫌が良さそうな笑みを浮かべる。


「それではお姉様、ご機嫌よう」


 優雅にドレスの裾を持ち上げると、足取り軽くジョアンヌは廊下の奥へ消えていった。

次回、2章に入って最初に登場する婚約者候補はアルツールです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このお話を読んでくださり、ありがとうございます!! 少しでも気に入って頂けましたら、 ブックマークや評価、リアクションなどを頂けると励みになります!

◇完結済みの連載作品はコチラ
婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!

悪役令嬢にされてしまった公爵令嬢は未来の旦那様を探す旅に出たい〜それなのに、婚約破棄だと言ってきた王太子殿下が止めてきます〜
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ