第96話『王城、燃ゆ──正妃選定式、テロ勃発』
王城の正門前は、祝祭の熱気に包まれていた。
今日は、王子・拓真の正妃を選定するための、歴史的儀式──《揺れの誓い》が執り行われる日だった。
各地より招かれた貴族、宗教関係者、文官、軍人、市民代表……千を超える人々が、金の絨毯の先で開かれる“選定演説”に耳を傾ける準備をしていた。
「では──入廷の儀、開始!」
銅鑼が鳴る。
その音が止む、その瞬間だった。
王宮東棟の中央階段、二階の柱に隠れていた黒衣の男が、叫んだ。
「乳による統治など──感情の暴走だ!!」
そして、腕を大きく振りかざし、投擲された球体が──地を裂いた。
■爆発──選定式、崩壊
轟音。
火花。
王の間の一部が崩れ落ちる。
「伏せて! 爆発ですっ!」
マリアが素早く周囲の民衆を押し倒し、
ソフィアは周囲の魔法防壁を即座に展開。
「避難誘導を開始します! 女子供優先、中央通路へ!」
エミリアが嗄れ声で叫びながら走る。
リリアーヌは、血の気が引いた顔の少女を両腕に抱き、守るようにして出口へと導いていた。
そして──。
■クラリス、盾となる
「くっ……第二波、来る……!!」
黒衣の男の腕が再び動く。
その瞬間──拓真の前に、大きな“影”が飛び込んだ。
「ッッッらあああああああああああああああああああッッ!!!!!」
その怒声とともに、クラリスは自らの身を盾にして、爆風を受け止めた。
全身で、拓真を包み込む。
爆風が吹き荒れ──破片が舞う中。
二人は、崩れた玉座の後ろに転がり込むように倒れ込んだ。
「クラリスっっっっっ!!」
拓真が叫ぶ。
クラリスのビキニ甲冑(式典用礼装)が部分的に焼け落ち、皮膚に傷が走っている。
だが彼女は、血混じりの笑顔で、言った。
「……大丈夫。乳は……柔らかいだけじゃ、ないんだから」
そして、彼女は続けた。
「タク真……守るって、こういうことなんだよ。私は、ずっと……そのために、育ててきたんだよ、この……この、胸を!!」
■そして、謎の予言者の声
騒然とする中、火の中より現れたフードの人物がひとり、宣言する。
「──“真なる乳の王”は、血にまみれて生まれ変わる。
選定式は、まだ終わらない。
真妃を見極めよ、王よ。さもなくば、王都は滅ぶ」
その声を残し、男は瓦礫の隙間へと消えた。
■選定式の中断、そして……
爆発事件によって、式典は強制中止となった。
が──
クラリスは、立ったまま動かず、全身の震えを堪えていた。
「私は、タク真を、絶対に……失わせない」
そして、誰もが目撃した。
爆炎の中、少女たちが恐れずに“王子”を守った姿を。




