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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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【第9話】 『悪役令嬢、ついに逆襲を決意』

──名誉回復の翌日、王都はまるで別の街のようだった。


 


 貴族街の喫茶店では、こんな会話が飛び交っていた。


「聞いた? リリアーヌ様が無罪だったって」


「それどころか、あの乳眼の少年が“真の誠実乳”を見抜いたらしいわ」


「しかも……あの胸、魔導も整形もなし。天然であの気高さよ。私たち、負けてる……」


 


 そう、昨日の“乳眼裁判”を経て──


 悪役令嬢の乳は、ついに“真実の乳”として王都に認められた。


 


◆ ◆ ◆


 


 王都の一角、拓真の居住区にて。


 リリアーヌ・グランディールは、窓から街を眺めながら、腕を組んでいた。


 その胸元には、“誇り”と“野心”が揺れている。


 


「……決めたわ」


「え?」


 紅茶をすすっていた拓真が顔を上げる。


 


「私は、この乳で──世界を変える」


 


 高らかに宣言した。


「乳は、ただのサイズじゃない。誇りと精神の象徴。ならば、私はそれを教える側になるわ」


 


「つまり……?」


「教育よ。**“誠実に乳を張る心”を、若い娘たちに教えるの」


「そ、それってもしかして……」


 


 ──そしてその夜。


 


 旧グランディール家の屋敷跡地にて、とある“塾”が発足した。


 


 その名も──


 


誠実乳育成塾ちち・リテラシー・アカデミー


 


「……やっぱりこの名前、どう考えてもギャグ枠なんだけど……」


「ちゃんと内容は真面目なんだから、文句を言わない!」


 


 リリアーヌは、堂々と黒板に向かって講義を始めた。


 


「まず、乳というのは生理的器官であると同時に、人格的表現の一部です」


「いい? 張るという行為には“自信”“覚悟”“責任”が伴うの!」


 


 受講生は、王都の平民区や没落貴族の少女たち。


「先生、貧乳でも誇れますか?」


「当然です! 誠実な乳はサイズにあらず! 胸を張るという行為にこそ、意味があるのです!」


 


 ──この熱量。もはや宗教寸前である。


 


「えーと……では、補助講師の拓真先生より、乳眼判定の実技をお願いします」


「出たあああああ!? 俺の乳眼講義回ッ!!」


 


 拓真は汗をかきながら壇上へ。


「み、みんな! 乳眼っていうのは、ただ乳を見る目じゃない!」


「“心を乳に宿した人”を、正しく見るための目なんだ!!」


 


 その言葉に、少女たちは目を輝かせる。


 


「すごい……本当に乳だけで心を読んでる……」


「むしろ私、見てほしい……! 私の“本当の想い”を、乳で理解して……!!」


「先生ー! 判定してくださいっ!!」


 


「やめてください! これは倫理の講義ですッ!」


 


◆ ◆ ◆


 


 その夜。

 講義を終えたリリアーヌと拓真は、屋敷跡地のベンチで肩を並べていた。


 


「やっぱり……君は本気だったんだな」


「当たり前でしょ。私は変わったのよ。もう“誰かの婚約者”なんかじゃなくて、自分の信じた乳で生きていくの」


 


「……そうだね」


「でも、それを決められたのは……」


 


 リリアーヌは、そっと胸に手を当てた。


「あなたが、私の乳を“誠実”って言ってくれたから」


 


「……リリアーヌ」


「……バカ」


 


 その言葉は、もう何度目かわからない。

 けれど、今回は少し違った。


 それは“呆れ”ではなく、“照れ”の混ざった声音だったからだ。


 


 風が吹き抜ける。

 星空の下で、胸と胸のあいだに芽生える信頼──


 それは、かつて悪役と呼ばれた少女の、静かな逆襲の始まりだった。

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