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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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第84話『エミリア、最後の策──禁じられた“幻の乳術式”』

 夜の《湯乳郷》は、湯気の海に包まれていた。

 湯屋の奥にある、誰も足を踏み入れぬ岩造りの奥座敷。そこに、エミリアはいた。


 彼女の胸は、まるで自らの意志を持つかのように、静かに呼吸していた。


「……ここが、“擬似感応揺”の祭壇」


 彼女の隣に立つのは、湯乳郷の巫女長──神乳師ミズハ。

 かつてこの地に伝わった、伝説の乳術の継承者だ。


「本当にやるのですね。エミリア様。“禁じられた乳術式”……一度使えば、あなたの胸には“幻の揺れ”の痕跡が刻まれ、二度と戻れません」


 その言葉に、エミリアは微笑んだ。


「私が何のために揺れてきたのか、今こそ証明したいの」


 拓真を想った。

 彼が、自分にだけ向けた微笑。

 彼が、リリアーヌに見せた真実のまなざし。


「本物と偽物の違いって、何かしら。……“伝えたい”って気持ちがあるなら、それはもう幻じゃないわ」


 ミズハは、そっと頷いた。

 儀式の準備が始まる。乳湯から湯気が立ち、温泉に封じられた古代の気が舞い上がる。


「擬似感応揺──それは、本来“揺れない者”の想いを、乳を通じて“感じ取らせる”術。

 愛を伝えるのではない。“想いの輪郭”を揺れにのせて、ただ一度だけ、心を重ねる禁断の儀式──」


 エミリアは、自らの胸元に手を当てる。

 ゆるやかに、深く、静かに目を閉じた。


「私は……本当に、揺れてる。

 この胸で、彼に触れたい。幻でもいい──私の“誠実”が、あの人に届くなら」


 儀式が始まった。


 ──乳霊、解放。


 ──想念、投影。


 ──心揺、共鳴開始。


 エミリアの体がふわりと宙へ舞い上がる。衣が舞い、湯気が渦巻き、神乳の光が胸元へ集まる。

 その一瞬、彼女の胸が、確かに“誰かの心”と共鳴した。


 王都にいる拓真。

 その夜、彼は奇妙な夢を見る。


 あの日と同じ夕暮れのバルコニー。

 振り向けば、そこにエミリアが立っていた。

 優しく、何も言わず、ただ彼の前にいる。


 風が吹く。

 その時、彼の胸元に──ふわり、とした“温かく切ない揺れ”が触れた。


「……エミリア……?」


 夢の中で彼は呟く。


 エミリアの心は、たしかに届いていた。


 儀式の後。

 ミズハは倒れかけたエミリアを支えた。


「あなたは、本当に……本物ですね」


 エミリアは、微笑む。


「本物であることより……私は、あの人に“揺れを伝えられた”ことが、嬉しいの」


 彼女の乳は、確かに揺れていた。

 幻ではない。

 この夜だけは、誠実な想いが“形”を持ったのだ。


 そして、遠く離れた王都の丘で、拓真は呟いた。


「……ありがとう、エミリア」


 彼は、まだ誰も選べない。

 だが、この乳が教えてくれた“誰かの誠実”を、決して忘れない。


 その夜、湯乳郷の空に、ふわりと一つの乳雲が舞った。


 それは、愛にもならず、恋にもならず。

 だが、確かに誰かを動かす“想いの揺れ”だった。


 ──この乳は、幻じゃない。

 “想った”という、ただそれだけの証。


 それだけで、充分だった。



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