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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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【第82話『拗ね乳温泉──乙女たちの露天会議、始まりますわ!』】

 そこは、霧の深い山中にひっそりと佇む湯治場。《湯乳ゆにゅう郷》。

 その名の通り、この地を訪れる者の目的はただひとつ──“心と乳を癒すこと”。


 日が落ち、温泉宿の露天風呂には、湯気とともに揺れる乙女たちの姿があった。


「はぁぁ〜〜っ、染み渡りますわね……この浮力……乳に優しい……」


 タオルを胸元に巻いたまま肩まで浸かり、感嘆の吐息を漏らすのは、かの誠実乳戦争において、華麗な一礼とともに敗れ去ったエミリア=ヴェルシュタイン嬢。


「……乳を張って負けた。けれど……だからこそ、語り合うべき時が来たのですわ」


「揺れたい女たちの夜は、終わってなんかない!」


 その隣で湯を蹴立てるように浮かび上がったのは、巫女ソフィア。

 湯気に濡れる白装束がやや危険な角度で張り付いているが、当人はまるで気にしていない。


「そうよ……! 触れられてない乳にも、物語はあるの!」


 勢いよく湯をかけ合い始めたその中心で、タオルを胸にしっかりと抱えながら身を沈めているのは、気高き令嬢・クラリス=フォン=リューネベルグ。


「勝ち負けなんて、最初からなかったのよ……たぶん。そもそも私はまだ、“ちゃんと負けてすらいない”のだわ……!」


 その言葉に、しん……と湯気の中の時間が止まりかけた……が──


「……負け犬じゃないって言い張る人が、一番敗北感出てるのよね」


 ボソリと呟いたのは、無口系魔法士マリア。普段は淡々とした彼女も、今夜は表情にやや緩みがある。温泉の魔力か、乳の魔力か──


 全員が、そろって乳を張って挑んで、しかし拓真に“選ばれなかった”女たち。

 だが彼女たちは、諦めるためではなく、揺れ続けるためにここへ来た。


「誠実乳戦争……なんて名前がついた時点で、もう私たちは“物語”に飲まれていたのかもしれませんわ」


 湯けむりの中、エミリアが語る。


「でも──私は今日ここで、タオル一枚で仁義を通すつもりですの」


「異議なしっ!」

「応っ!」

「……仕方ないわね」


 湯船の中央に、戦場の静けさ。


 そして始まったのは、まさに“乳だけで語る会談”──名付けて《露天拗ね乳円卓会議》。


 テーマ1:『どこまでが“触れられた”のか』


「たしかにあの時、あたくしの乳に目線を落としたのです!」

「それ、汗が垂れてただけじゃないの?」

「私なんて、“布越しに当たった”だけで顔真っ赤にされたのよ!」

「……それ、誠実じゃなくて、ただの事故」


 テーマ2:『揺れない乳に、未来はあるのか』


「私は揺れてなくても、意志はあるの!」

「でも揺れた方が、見つけてもらいやすい……のよ、たぶん……」

「いやいや、揺れとは“心の波動”よ。形状に頼らない勇気、それが……」


 その瞬間、ボチャン、と音を立ててクラリスが湯の中に滑り込み、


「……浮力、ありがたい……」


 と小さく呟いた。


 温泉の浮力。裸にタオル。誠実を語り合うには、いささか過剰な露出と熱量。


 やがて、湯船は小さな笑いに包まれ始めた。


「ふふ、ばかみたい……でも、こんなに素直に語れたの、久しぶりですわ」

「ねぇ、次の“乳会議”は……誰かが選ばれたときじゃなくて、“みんなで揺れた日”にしましょ」


 マリアがぽつりと告げたその一言が、湯の音とともに、静かに広がった。


 そして、誰からともなく、歌うように。


「──乳よ、今日もありがとう……」


「あなたが揺れるから、私たちも、生きていける……」


「選ばれなくたって、物語は続くのよ。私たちの胸で──」


 こうして、《ハーレム・アフターケア同盟》は“乳を揺らしながら前を向く”ことを誓い合い、湯けむりの夜に消えていった。


 次なる舞台は、まだ知らぬ地平。

 だが乙女たちは、確かに“自らの乳”と歩き始めていた──。



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