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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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【第65話】 『“宇宙乳誠実原則”採択──星の彼方で、胸を張る』

──交渉の場に、乳は持ち込まれる。だがそれは、決して武器ではなかった。


 


 今、乳はひとつの“外交言語”となった。


 


 誠実乳世界協議会(WIBS)はこの日、ついに惑星間倫理に関する第一条項を発表した。


【宇宙乳誠実原則】

「交渉において、“我が乳を張る”とは、自己の存在と意思決定に責任を持つことを意味する」


 


 もはやそれは、生物的なふくらみではない。

 “揺れることを選んだ証”、それだけが外交のテーブルに座る資格となるのだった。


 


◆ ◆ ◆


 


 WIBS本部・惑星外交議場。

 正面の銀鏡スクリーンには、各星系代表が並ぶ。


 


 ・浮遊型光子知性体《ネビュラ=コル》──胸どころか形を持たないが、共鳴波で意志を伝える種族。

 ・粘性対話文明《グルグ=スィル》──乳の概念を「圧縮による表明」として翻訳。

 ・重力知覚種族《カルタ=ヴァ》──“揺れる”という動作自体が神聖儀式。


 


 いずれも、“乳という器官が存在しない”が、誠実という概念は模索していた存在たちだ。


 


 


 その中で、ラ=ティタニア代表セイが発言する。


 


 「この場において、我々は“非物質乳”の意志を携えて在る」


 


 「それは、乳を持たずとも、“自らの揺れを選ぶ”行為である」


 


 「“この乳で交渉する”という宣言は、我が存在で対話を担う覚悟を意味する」


 


◆ ◆ ◆


 


 この定義を下敷きに、WIBSが提出した草案が読み上げられる。


『宇宙乳誠実原則・基準文言(初稿)』


・いかなる生物・構造体・人工存在も、“揺れる”ことを選んだ瞬間、その誠実を認められる。

・誠実とは、物質的形状ではなく、意志のあり方に宿るとする。

・交渉において“この乳で語る”と宣言する行為は、その後の対話に責任を負うことを意味する。

・翻訳可能・不可能にかかわらず、揺れの意志を示した存在の尊重を各文明に求める。


 


 そして、これに対して惑星連合議会が満場一致で**「承認」**を宣言。


 


 


 瞬間、会場の大モニターに、“未知惑星コードY7-BL”から転送映像が届く。


 


 その映像は、言葉を持たなかった。


 ただ──振動していた。


 空間そのものが、微かに、揺れていた。


 


 翻訳AIが沈黙し、MIRAI装置が稼働する。


「“これは、我が乳ではないが──これで、語りたい”」

「“この存在で、交渉に臨む”」


 


 言葉にならない“乳の意思”が、銀河の果てから届いていた。


 


◆ ◆ ◆


 


 リリアーヌは、そっと拓真の手を取った。


 


 「世界が、ついにここまで来たわね」


 


 「乳があっても、なくても──“揺れたい”ってだけで、言葉になる時代が」


 


 


 拓真もまた、肩を張る。


 


 「俺たちがずっと翻訳してきた“乳の気持ち”が、今、星を越えてる」


 


 「それって、もう……言葉以上の、“責任の宣言”だと思うんだ」


 


 


 そして、ユーフィリアが静かに語る。


 


 「乳で話すって、恥ずかしいことじゃなかったんだね」


 


 「“自分を持って、誰かにぶつかる”って、そういうことだったんだ……」


 


 


 その言葉に、リリアーヌが力強く頷いた。


 


 「そう。だからこそ──これからの外交では、“張ってない者”は交渉に立てない」


 


 「それは、力の象徴じゃなくて、“覚悟”の証明としての乳なのよ」


 


◆ ◆ ◆


 


 そして、誠実乳世界協議会(WIBS)の記念ホログラフには、以下の文言が刻まれる。


【交渉文冒頭標準句】

「この乳で、語ります。責任は、この存在が負います。」


 


 それは、世界が乳を“飾り”ではなく、“旗印”でもなく、

 生き方そのものの翻訳手段として受け入れたことの証だった。

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