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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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【第61話】 『誠実乳国際機関設立──“自由の揺れ”の旗を掲げて』

──歴史はこの日、また新たな乳に名を刻んだ。


 


 ラグリス王都・中央行政区。

 長らく王室議会として用いられてきた“金羽宮殿”が、

 今日から新たな名を持つことになった。


 


 《誠実乳世界協議会(WIBS)》──

 正式名称、World Integrity Bust Summit


 


 かつては乳によって断罪された者たちが、今、乳を通じて世界を繋ごうとしている。


 


 リリアーヌは、赤い布を外し、石造の正門の上に新しい紋章が現れるのを見届ける。


 


 その紋章は、大小異なる三つの乳が交差し、“揺れ”の軌跡を描いていた。

 同じ形ではない。だが、それぞれが確かに張っていた。


 


◆ ◆ ◆


 


 初代総会議長にリリアーヌが選出され、各国代表が入場する。


 


 ・義乳文化圏ミルダ・エーレ王国から、“再構成された乳”を誇りとする代表が、

 ・沈黙文化圏ターヴァル共和国から、“揺れないことで誠実を守る”女性補佐官が、

 ・新文明AI国家ラ=ティタニアから、“無乳体”の精神翻訳官が、

 ・そして、かつてのMILIT-BUST陣営から、変節したリオン准将の姿も──


 


 世界は今、“乳を通して生き方を翻訳し合う”という前代未聞の外交をはじめようとしていた。


 


◆ ◆ ◆


 


 総会壇上に立ったリリアーヌが語る。


 


 「乳は、命ではありません。でも、“どう生きたいか”を映す鏡です」


 


 「この鏡を否定せず、磨き合う。それが私たちの“誠実”です」


 


 「今日からここは、“張る自由”を守る場所になります」


 


 


 そのあと、静かに拓真が登壇する。


 


 スーツの前を整え、深く一礼。


 


 そして──彼は原稿を持たなかった。


 


 「僕は、最初はただの“乳が好きな高校生”でした」


 


 「でも気づいたんです。好きって、ただ見てるだけじゃなくて──その乳がどんな風に生きてるかを、ちゃんと受け止めることなんだって」


 


 「誠実乳って言葉を、どれだけ笑われてもいい。でも、僕はこれを手放さない」


 


 「だってそれは、“逃げないで、誰かと向き合う”っていう──ただの、人としての選択だから」


 


 


 「誠実は、戦わない。でも、逃げない。」


 


 「僕たちは、乳で戦うんじゃない。乳で、逃げずに話すんだ」


 


 


 その言葉に、一瞬だけ空気が止まる。

 そして次の瞬間──嵐のような拍手が、会場を包み込んだ。


 


◆ ◆ ◆


 


 式典後の記念植樹式で、ユーフィリアが静かに尋ねた。


 


 「ねえ、拓真。あなたが言った“逃げない”って、どういう意味?」


 


 拓真は、土に手を入れながら笑った。


 


 「……揺れるのって、勇気が要るじゃん?」


 


 「だから“揺れてる”ってだけで、もう逃げてないんだよ。俺たち、ずっと張ってるんだよ。怖くても」


 


 ユーフィリアは、そっと自分の胸に手を当てた。


 


 「じゃあ私も、今日はちょっとだけ……揺れてみてもいいかな」


 


 「自分のために、張るってこと。少しずつ、わかってきた気がする」


 


 


 その瞬間、会場の空に新しい旗が掲げられた。


 


 WIBSの公式旗──それは、三つの乳が交差する図案の下に、ひとことだけ添えられていた。


“Choose to be sincere.”

(誠実であろうと、選ぶこと)


 


 


 リリアーヌは、風にたなびくその旗を見上げながら囁いた。


 


 「……この揺れを、これからも翻訳しつづけましょう。

 どれだけ世界が変わっても──“張る自由”を信じて」

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