表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/104

【第40話】 『誠実とは、誰かの“揺れ”を否定しないこと』

──王都・中央議事広場。


 


 その朝、広場を埋め尽くしたのは、数千人規模の市民だった。


 老若男女。

 小さな乳、大きな乳。

 過去に揺れを咎められた者、揺れなかったことで笑われた者、

 そして──これから“揺れること”を選ぼうとする者たち。


 


 この日行われるのは、王国史上初となる**“乳に関する国民投票”**。


 


【投票項目】

『誠実乳基本権憲章』採択の是非について

・すべての市民に「自らの乳を誇り、語り、揺らす自由」を保障する。

・他者の乳を否定しない義務を持つ。

・整形・再建・魔導・自然いかなる乳も、その“選択”を尊重する。


 


 これは、単なる権利の明文化ではない。

 王国における“乳という存在”に、初めて国家としての姿勢を示す一票だった。


 


◆ ◆ ◆


 


 広場中央の仮設演壇。


 そこに立ったのは、乳育塾創設者であり、これまで幾度となく誠実の意味を問うてきた一人の少女──

 リリアーヌ・グランディール。


 


 風が吹く。

 旗がはためき、彼女の髪と胸元が揺れる。


 


 「皆さん。今日、私がここに立つのは、正しさを押しつけるためではありません」


 


 「私自身、何度も“誠実”という言葉に迷ってきました」


 「“揺れている”だけで下品と言われた日がある」


 「“張っている”だけで軽蔑された日がある」


 


 「でも、だからこそ私は、こう思います」


 


 「──誠実とは、完璧でも清廉でもなく、“矛盾ごと抱える勇気”です」


 


 「理想の乳になれなかった日も、他人の視線が怖くて下を向いた日も、

 それでももう一度、胸を張ろうとした自分を裏切らないこと──」


 


 「それが、“私にとっての揺れ”でした」


 


 彼女の言葉に、聴衆の目が濡れる。


 


 「今日、私たちは誰かの乳を選ぶのではありません。

 “選ぶ自由を、全ての人に保障する”かどうかを問うのです」


 


◆ ◆ ◆


 


 その頃、控え席にいたユーフィリア・アルセリーナは、手を胸に当てていた。


 


 静かに、深く、目を閉じる。


 


 かつて“揺れないこと”が役割だと思っていた。

 MILIT-BUSTで「感情を排した揺れこそ美しい」と言われ、心が折れかけた。


 


 でも、今の自分には、はっきり言える。


 


 「私は……今日、自分の乳を“初めて選んだ”」


 


 涙が頬を伝う。


 


 「誰かのためじゃない。“私”が、この形、この揺れ、この人生を、生きたいから」


 


 隣で拓真が、ただ黙って頷いた。


 


 (選んだな……自分で、揺れることを)


 


◆ ◆ ◆


 


 そして、王都最上段──王宮のバルコニーに姿を現した男がいた。


 アレクシス王子。

 国家の象徴として、最終発言の権利を持つ立場。


 


 彼は、かつてユーフィリアに「何も感じない」と言った男だった。


 その彼が、今、群衆に向かってこう語る。


 


 「私は、王族という衣に包まれて、長い間“揺れ”を遠ざけてきました」


 


 「でも、リリアーヌや、誠実乳育成塾の若者たち、

 そして市民の皆さんの言葉に、心を動かされました」


 


 「“完璧に整った乳”を否定はしない。だが、未完成の揺れにも、未来がある」


 


 「だから私は、この国が“未完成な揺れ”を守る国であることを、ここに誓います」


 


◆ ◆ ◆


 


 夕刻。投票終了。


 開票所に詰めかける市民たち。

 魔導掲示板に表示されるリアルタイム投票速報。


 


 そして──


【開票結果】

『誠実乳基本権憲章』

■賛成:76.3%

■反対:21.7%

■棄権・無効票:2.0%


 


 圧倒的賛成多数により、採択決定。


 


 リリアーヌの目に、涙が滲む。


 


 「これで……ようやく、誰もが胸を張っていい国になれる」


 


 ユーフィリアが隣で微笑む。


 


 「ありがとう、リリアーヌ。私、ようやく……“揺れていい”って言えたから」


 


 その夜。王国全土に乳神像がライトアップされ、記念演説が放送される。


「今日、我々は“揺れの自由”を選びました」

「それは、美しさではなく、意志の証明です」

「そして何より──誰かの揺れを否定しないこと。それこそが、誠実です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ