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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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【第29話】 『王都、乳動乱前夜──選ぶべきはどちらか』

──王都・高等貴族議会、第二審議堂。


 石造りの空間に、冷えた空気と熱を帯びた言葉が交錯する。


 


 「整えられた乳こそが、王国の“秩序”であり“様式美”である!」


 「誠実乳などという情動的な概念を教育に混ぜ込めば、国家は混乱に陥る!」


 


 会場中央で発言しているのは、保守貴族派筆頭──オルバン=ラ・ドゥラン侯爵。


 彼の背後には、同調する貴族議員が数十名。


 そして、議場最前列に立つ女性の姿──


 


 ヴァネッサ・トリフェル公爵夫人。


 その艶然たる笑みの奥には、明確な“排除の意志”が光っていた。


 


 「我々はこの国を、“整形乳規範国家”として法文化しようと提案しますわ」


 


 その内容は──


■国家法案 第72号《乳整美育法》案

・教育・政務・軍務・儀礼のすべてにおいて、乳は“整形指標値”を標準とする

・誠実乳運動は“信条の自由”として私的表現に限定する

・公共機関における揺れ・不均等な露出・誇示は禁止


 


 つまり、誠実乳運動の実質排除である。


 


◆ ◆ ◆


 


 一方、王都広場。


 民衆たちは別の法案の可決を求めて、かつてない結束を見せていた。


 


『誠実乳自由憲章案』

■すべての胸は自由であり、誇りを持って揺れてよい

■教育・政において身体的揺れを制限することを禁ず

■誠実とは、“自分の胸を否定しないこと”とする


 


 「私たちの“張ってきた日々”を、国に否定させない!」


 「胸の大きさも、張り方も、生き様も、私の誇り!」


 


 ちち友会を筆頭に、乳育塾の卒業生たち、乳魂感応者、

 そして何より──リリアーヌ・グランディールの姿がその最前線にあった。


 


 「これはもう、運動じゃない。国家の“魂”の争いよ」


 


◆ ◆ ◆


 


 同時刻、王宮。


 アレクシス王子は、ひとり決断の部屋に籠もっていた。


 目の前には、二つの文書。


 


 一つは、オルバン侯爵らの整形乳規範案。

 もう一つは、民衆が血を通わせて書き上げた“誠実乳自由憲章”。


 


 「これを選ぶということは──もう戻れない」


 


 王太子としてではなく、“この国の象徴”として。

 彼は、どちらの胸に未来を託すかを、決めなければならない。


 


◆ ◆ ◆


 


 その夜。王宮で非公開の審問会が行われた。


 そこに招かれたのは、如月拓真。


 


 護衛をかいくぐったわけではない。

 王子が、自ら招いたのだ。


 


 「君に、訊いてほしい。俺の最後の“揺れ”を──」


 


 アレクシスは、王冠を前に座り、拓真と向かい合った。


 


 「国は、“形”を望んでいる。秩序を、規範を、揺れのない乳を」


 「だが、民は、“張ること”を求めている。形よりも、意味を。重さよりも、心を」


 


 拓真は静かに答える。


 


 「殿下……どちらを選んでも、“揺れる”ことにはなると思います」


 「だったら、“誠実に揺れ続ける方”を選んでください」


 


 「この国が、“誰かの乳が揺れるたびに心が揺れる国”になれるなら──

 俺は、誇って“その旗の下で生きていける”」


 


 アレクシスは、目を閉じた。


 


 そして、静かに呟いた。


 


 「……選ぼう。俺の乳魂のままに」


 


◆ ◆ ◆


 


 翌朝。王都全域に、速報が流れた。


 


【速報】

王太子、特別演説を本日正午、王宮バルコニーより実施予定。


 


 街は騒然となった。

 王が、いよいよ“どちらの乳を国の象徴とするか”を口にするのだ。


 


 誠実乳派は祈るように広場を埋め、貴族派は緊張の面持ちで議場を待った。


 


 ──王都は、文字通り、“乳の動乱”の前夜に立っていた。

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