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異世界おっぱい『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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【第23話】 『張る者たちの告白──民の声が届くとき』

──王都第七区、下町《ベラルド街》。


 


 そこは、貴族の喧騒とは無縁の、静かな生活者の街だった。

 干された洗濯物と子どもたちの笑い声、午前のパンの香り。

 そして──その一角にある、古い石造りの公民館。


 


 今日、その場所でひとつの小さな会合が開かれていた。


 


『第27回 誠実乳市民友好会(ちち友会)定例おしゃべり茶会』

〜“張る”とは、胸の話だけじゃない〜


 


 そしてそこに、異例のゲストが足を踏み入れた。


 


 黒衣の制服、無表情の眼差し。

 乳に冷徹な視線を向け続けてきた教育庁審査官──クローディア=アレーンその人である。


 


「ど、どなた……?」


「審査官様!? な、なんでこの下町の茶会に……」


 


 どよめく女性たち。だがクローディアは一礼し、毅然と口を開いた。


 


「王国教育庁・審査局より命を受けて来訪しました。

 本日は、乳育塾と誠実乳運動が“地域社会に与えた影響”の実地調査として、貴会に同席させていただきます」


 


「……お、お堅いけど、ようは“塾が役に立ってるか”聞きに来たんでしょ?」


「なら、うちらの話、ちゃんと聞いてもらうわよ!」


 


◆ ◆ ◆


 


 最初は緊張していたちち友会メンバーたち。

 だが一人、また一人と、口を開き始める。


 


「私ね、この歳まで“胸なんて恥ずかしいだけ”だと思って生きてきたの」


「でもこの塾ができて、孫が“ばあちゃん、ちゃんと張って歩いてるね”って言ってくれたの」


「……その言葉だけで、私は初めて“胸を張って生きてる”って思えたの」


 


 クローディアの表情が、わずかに揺れる。


 


「若い頃、“胸がない女は女じゃない”って、あの言葉、今でも刺さってる」


「でもこの塾に出会って、“小さくても揺れなくても、胸は誇っていい”って思えるようになったのよ」


 


 「揺れるから乳なのよ。恥じなくていいんだって教えてくれた」


「私たち、年を取ってから、初めて“誠実に乳と向き合えた”のよ」


 


 その言葉たちは、穏やかで、温かくて、そして──誠実だった。


 


◆ ◆ ◆


 


 帰り道。

 クローディアは一人、舗道の石畳を踏みしめながら歩いていた。


 その胸に、何かが刺さっていた。


 


 ──「張るって、胸の話だけじゃない」


 


 頭では否定できる。

 言葉では論破できる。


 だが、心のどこかが、静かに揺れていた。


 


 「……私は……」


 クローディアは、自室の扉を閉め、鏡の前に立つ。


 


 ゆっくりと、スーツのボタンを外し、シャツをずらす。


 


 ――そこにあるのは、控えめな、だが確かに“生きてきた証”としての胸。


 


 「……私は、“誠実じゃない乳”だったのかもしれない」


 


 手を、そっと当てる。

 冷たかった自分の身体が、少しずつ温かくなっていくのを感じた。


 


 「自信なんてなかった。比べられて、笑われて、いつもボタンを一つ多く留めていた」


 「でもあの人たちは、“自分で乳を誇っていい”って、言ってくれた」


 


 クローディアは、ため息を吐いて、静かに笑った。


 それは、自分の乳に向けた人生で初めての微笑みだった。


 


◆ ◆ ◆


 


 同じころ、乳育塾本部。


 リリアーヌが新聞の速報を読んでいた。


 


「“審査官、下町で“誠実乳”住民と交流──感動の声、相次ぐ”……ふふっ。あの人も、揺れ始めたのね」


「うん。乳魂感応で感じたよ、揺れてた。間違いなく、彼女の心が」


 


 拓真は窓の外を見つめながら、言った。


「……“誠実”ってさ、他人に言われて得るもんじゃないんだよな」


「自分の乳と、初めて正面から向き合えたときに、生まれるんだ」


 


 リリアーヌは、そっと胸に手を当てて、頷いた。


 


「そうね。だからこそ、私たちの“乳で語る教育”は……きっと、意味がある」


 


 夜風が吹き抜ける。

 遠くで、乳神殿の鐘が鳴っていた。

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