【第20話】 『正義の乳が、王都を揺らす』
──ラグリス王国歴第1127年、神暦の春。
王都は、揺れた。
◆ ◆ ◆
その日の朝、王都中央広場には、異様な熱気が立ち込めていた。
広場を埋め尽くす市民たち。
通りには、色とりどりのバナー、スローガン、胸を誇らしげに張る人々。
「すべての胸に、尊厳を!」
「誠実に乳を張れ!」
「乳は心! 偽乳NO! 心の乳YES!」
──これは、ただのデモではない。
誠実乳義勇軍主催による、市民参加型の平和行進。
その名も──
《第1回 誠実乳パレード》
〜揺れよ、誇りの鼓動とともに〜
元は“騎士団の許可が下りない”として危ぶまれたイベントだったが、
巫女長ソフィアの療養報告に揺れた民意と、育成塾の地道な活動が重なり、
ついに“正式許可”が降りたのである。
その瞬間、王都は揺れた。
文字通り、誠実な乳が、都市の心を震わせたのだ。
◆ ◆ ◆
先頭を歩くのは、白と紫の旗を高く掲げたリリアーヌ・グランディール。
副代表として、彼女は最前列で乳神の紋章を背に進んでいた。
その後ろには──
・塾生代表・エミリア=ハーツ(「今日はエミリーちゃんも参加中です」)
・ちち友会のお母さまたち(「サイズより誠実!年齢より尊厳!」)
・胸筋誇る騎士団の乳支持隊(「誠実は筋肉に宿る、乳も同じ」)
・そして、魔導生乳ユニット“ぷるモア”の元アイドルたち(現在は乳育賛同派)
あらゆる揺れが、一つの行進に合流していた。
「リリアーヌ様、演説のお時間です!」
拡声台が準備される。
彼女は、一歩、壇上に上がった。
◆ ◆ ◆
「私は──かつて、乳で裁かれました。」
その声に、広場が静まる。
「“胸があるから”と妬まれ、
“揺れるから”と下品と言われ、
そして“誇ったから”と断罪されたのです」
リリアーヌは、静かに胸元に手を置いた。
「でも、私は今日、ここで胸を張っています」
「誰に媚びることもなく、
誰の理想に迎合することもなく──」
「この“自分の体と、想いと、生き方”に、誇りを持って!」
会場から拍手が上がる。
いや、それは拍手ではない。
**“心が揺れた音”**だ。
リリアーヌはさらに続けた。
「誠実に生きるとは、サイズでも、形でもありません」
「**自分を信じ、他人の乳も尊重すること──**それが“誠実乳”です!」
彼女の姿が、王都の魔導中継鏡に映し出される。
王宮の中で、
アレクシス王太子も、その姿を見つめていた。
──“あのとき、俺が捨てた誇りが、今ここに在る。”
ふと、彼はユーフィリアの視線に気づく。
だが、もう何も言えなかった。
◆ ◆ ◆
一方、パレードの終点。
広場の奥にある《乳の像》前で、拓真がゆっくりと口を開く。
「君たちが、今日張ったその胸は──嘘じゃない」
「大きくても、小さくても、垂れていても──そこに誠実がある限り、誰にも否定できない!」
「俺は、乳の未来を信じてる。だから──」
「“揺れろ!”王都よ!! 誠実な乳とともに!!」
その瞬間、義勇軍バンドのファンファーレ。
塾生たちの揺れ揃い。
そして、王都全域の人々が、一斉に拳を掲げて──
「「「すべての乳に、尊厳を──!!」」」
◆ ◆ ◆
その日の夜。王都報道官が公式声明を出す。
【速報】
《誠実乳パレード》、王都広報史上最多視聴数を記録。
世論調査:「“誠実乳”という言葉に肯定感を持つ」→前年比+42%上昇。
翌日、教育庁は審査通知を発行する。
『誠実乳育成塾、特例認可試験へ進出決定』
◆ ◆ ◆
その夜。
神殿の外、拓真とリリアーヌは肩を並べて歩いていた。
「……聞こえた? 王都の“心の揺れ”」
「ええ。……ちゃんと、伝わってたわね」
「胸を張るって……こういうことなんだね」
「そうよ。これが、私たちの“乳の革命”の始まり」
二人の足取りは、静かで、そして誇らしかった。




