第104話『クラリス、理想の乳兵団を創設す』
王都ルセンティアの夜明けは、いつもより騒がしかった。
「集まれーっ!この乳筋を持つ女たちよぉお!!」
広場の中心で吠えるのは、クラリスだった。
王妃不在のまま新政が始まった今、「この国を守る乳が必要だ!」と彼女が立ち上がったのだ。
その名も──
《王国直轄 女性精鋭乳兵団》
通称『乳兵団』。
その朝、王都の女性たちはそろいの訓練服に身を包み、胸を張って広場に並んでいた。
「いいかテメーら!!ここは揺れるだけの女の集まりじゃねぇ!!」
「は、はいっ!!」
「国を守るための筋肉!力!根性!そして──」
クラリスは胸元をグッと張り、ぷるん、と揺らす。
「これだァ!!」
「お、おおお……」
「“乳”だ!!この乳で王国を守る!!」
訓練服の中で、大小さまざまな胸が揺れ、しかしその瞳は真剣そのものだった。
「この国を揺らしていいのは風だけだ!貴様らの乳は国を護るために揺らせ!!わかったか!!」
「おおおおおおっ!!」
声が王都の空に響く。
クラリスが乳兵団創設を宣言したとき、周囲は半ば笑った。
「乳で国を守る?アホか」
「女の兵団など、飾りにもならん」
だが、その声を打ち砕いたのはクラリス自身の“揺れる乳”と“揺れぬ覚悟”だった。
「揺れることと、揺らぐことは違う!!」
「私のこの胸は、国を守るために揺れる!!」
力強く叫び、剣を振り、素手で訓練柱を打ち倒すその姿に、人々は気づき始めた。
この女の乳は、遊びでも飾りでもなく、“力”だと。
訓練風景
乳兵団の訓練は過酷だった。
「胸筋強化ダッシュ30周!!」
「乳圧バランス訓練!!」
「揺れ制御剣術100本ノック!!」
戦場で乳が揺れても怯まない心と体を作る。
剣を振るたびに胸が揺れ、汗が滴り、息が白くなる。
「揺れるな!!揺らせ!!」
クラリスの掛け声が響く。
訓練場の空気は熱く、寒空の下でも汗が湯気となって昇る。
女性たちの中には笑う者も泣く者もいたが、誰ひとりとしてその場を離れなかった。
その日の最後、全員が胸を張って立っていた。
「……今日の揺れは、私の誇りだ」
そう呟いた少女の笑顔が、クラリスの胸に深く刻まれた。
夜、訓練場の片隅
クラリスはひとり、剣を振り続けていた。
「……フッ、フッ……」
振るたびに胸が揺れ、その揺れが血の音と混ざって体に響く。
「私は……」
剣を止め、夜空を見上げた。
「私は、王妃になれなかった」
遠くに煌めく王城の光が見える。
「でも……」
その胸に手を置く。
「この乳で……この国を護る」
静かに呟いたその言葉は、夜風に消えた。
翌朝。
全乳兵団員が整列し、訓練前の宣誓式が行われた。
クラリスは前に立ち、ゆっくりと胸元の留め具を外した。
すん、と冷気が走り、胸がふわりと揺れる。
その揺れは威圧ではなく、誇りだった。
「聞け……」
彼女の声が、まだ夜の名残を残す空気を裂いた。
「私は……王の女にはなれなかった。選ばれなかった。でもな……」
ぎゅっと胸元を掴む。
「私は、この胸で生きている!!この胸でこの国を護る!!」
その言葉に、誰かが泣いた。
その涙は、弱さではなく誇りの涙だった。
「そして──」
クラリスは笑う。
「拓真は、乳を裏切る男じゃない!!」
王の名を呼ぶその声に、兵団の女たちは拳を上げた。
「おおおおおおおおお!!」
その声は風になり、王都に響いた。
その朝、乳兵団の訓練場の風は、どこか暖かかった。
揺れる胸は、笑っていた。
この国の未来を護るために揺れていた。
それが、乳兵団の誇りだった。
(第104話 完)




