私の可愛い夫が、何故か夜更けに泣きながらお弁当を作っているのですが!?
リネット・ベアトリクス。華の二十歳。
私は今、大変驚きつつも興奮しておりますわ!
何故なら!私の夫であるロドルフ様が!泣きながら夜更けのキッチンで、明日のピクニックに向けたお弁当を作っているからですわ!
「ふえぇ…ど、どうして、美味しいサンドイッチが出来上がらないんだああぁぁ。せっかく、せっかくリーネの離乳食は出来たのにぃ!ふっ、うっううぅ…ひっぐ…うえぇぇん!」
あらあら。私達の息子であるリーネほど大声を出していないものの、またよく泣く愛しい人ですこと。
たまたま目が覚めて、キッチンに向かった甲斐がありましたわ。
それにしても、美味しいサンドイッチやリーネの離乳食を、ロドルフ様が作る意味あるのでしょうか?
ベアトリクス領は辺境とはいえ、コックもいますし、お弁当は別にあると思うのですが…。
「うわぁぁあん!せっかく、俺の作ったお弁当で、もっとリネットに好きになって欲しかったのにぃ!」
「……」
なるほど、そういうことでしたのね。
毎日ロドルフ様を泣かせては慰めて、愛を囁き続けているというのに、まだ私の愛が欲しいのですわね。
本当に欲張りで泣き虫な、私の可愛い可愛い旦那様ですこと。
私は軽くため息をついたあと、こっそりとキッチンに入り、後ろからそっとロドルフ様を抱きしめました。
「ふえっ!?えっ!?リ、リネット?」
「ふふっ。正解ですわ、ロドルフ様。こんな夜更けに、明日のお弁当を作っているのですか?」
「へ?う、うん。リネットに、美味しいって言ってもらいたいから、作りたくて…。リネットは?」
「私はたまたま目が覚めてしまって。あら?これは?」
「わっ、み、見ないでっ!」
ロドルフ様は私に作った料理を見せないように、キッチンを隠します。
けれど、そんな彼の隙をついて脇を通り抜けると、そこには黒焦げ手前のスクランブルエッグがありました。
あー。確かに夜更けという眠い時間に作ると、寝ぼけてこういう産物を作りあげちゃいますわよね。
ですが、私は何の躊躇いもなく、それを近くにあったスプーンで掬って口に入れました。
「ええっ!?リネット!?」
「モグモグ…。あら、美味しいわ!さすがロドルフ様ね!これならきっと皆も喜びますわ!これからお弁当楽しみにしてますわね」
「リ、リネットおおぉぉ!」
私の率直な感想にまた涙を流すだなんて、本当に愛しい人。
こうして、ロドルフ様は気合を入れてお弁当を作り上げ、ピクニック当日は大成功に終わりました。
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