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第78話 授業

「光虫はこんな使い方もできるの」

 ミキは弘樹の手をむんずと掴んで前へ出すと、ユウマの右手を掴んで上へ置いた。

「さあ。皆も手を重ねて頂戴」

 翔太と明美がおずおずと右手を出す。その上にマリが、そして一番上にミキが自分の手を重ね、皆へ向かって言った。

「これから授業を行うわ。手を離さないように。さあ、いくわよ」

 次の瞬間、部屋が宇宙空間へと変わった。

「うわっ!」

 と、皆が驚く。

 星が散りばめられた真っ暗な中空に、地球のような惑星がぽっかりと浮かんでいる。まるでVR映像を見ているようだった。


『これは2万年前の火星。創造主(マスター)が住んでいた星だ』

 テレビのドキュメンタリー番組のようなミキのナレーションが、壮大な音楽と共に続く。

『栄華を極め、オドによる科学技術も頂点まで達した火星であったが、環境の急激な変化には対処できず、将来的に住めなくなる事が確実になった』

 緑と青の星が徐々に赤茶けてくる。

『マスターは、遠い宇宙の彼方で居住に適したいくつかの星々を見つけた。だが、宇宙船で長い航海へ旅立つには、膨大なエネルギーが必要となる。そこで目をつけたのが月と地球だった。月からはアルミとケイ素を掘り出し———』

 月の裏側にそびえ立つ工場のような建物。

 そして一気に地球へズームアップ。

 まだ原始的な生活をしている人類が地上を動き回っている。


『———地球からは金を掘り出すため、地球人に労働の協力を求めた。対価として、知恵と技術を提供した』

 長いあご髭をたくわえたマスター達が当時の人間達と接触する。その後、石器時代の人類が急速に現代人へと進化していく。

 世界各地に残されている遺跡の数々。また、洞窟や古書などに記された神々との接触を意味する多くの絵が映し出される。

『スターゲートは、その頃に人や物資の輸送用に設置されたものである。当時は世界中に存在したが、今では石野町に残っているものだけ』

 トーラス岩の前でたくさんの人々が平伏し、何かの儀式が行われている。盆に乗せられた4つのキューブを掲げるとトーラス岩が眩く光り、火星と地球の往来ができるようになった。


『地球人の献身的な労働のおかげで必要な資源を得て、無事に火星を離れる事ができた』

 現在知られているような赤茶けた火星の地表と、そこから旅立つ無数の巨大な箱型の宇宙船。

『その一隻が、長い旅の果てにこの星へたどり着いた』

 惑星へ降り立つ宇宙船。

 着陸の衝撃で水が湧き上がり、大きな湖となった。宇宙船は湖底に沈み、火星時代のテクノロジーを保管する場所になった。

 マスター達の手によって人造人間が生まれた。

 彼らは開拓の仕事に従事し、湖畔に町が広がっていった。

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