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第63話 異能力者同士の戦い

「ミキも変身したわ!どうなってんの?」

「巫女の服装……ということは、隠し童?!」

「あのブリッ子が隠し童だと!?」

 3人が身を乗り出すように、ミキを凝視した。


 少年の大門は明らかに動揺した様子でワナワナと震えている。

「き、貴様!?まさか生徒に紛れていたのか?卑怯だぞ!」

「あなただって教師に化けていたじゃない。しかも自分では手を汚さず、ユウマや河野を使ってキューブ探しをさせるなんて、よっぽど卑怯よ」

「このオドは渡さない。私の計画を邪魔するな!」

 ミキは大きくため息をつくと「馬鹿ね」と呟いた。

「それはあなたの狙っている物じゃ無いわ。4つ目のキューブは私が持っているんだもの」

「何だと?じゃあ、これは……」

 言いかけた時、ネックレスから何かが飛び出した。わずか4センチの円柱から蜘蛛のように8本の足が伸び、体へ絡みついたのだ。大門は身動きができなくなって倒れ、まるで芋虫のように地面を蠢いた。

「それは、あなたを捕まえるための拘束具よ」

「く、くそっ!よくも」

「あなたが最終的にこれを狙うと分かっていた。だから、私は女子生徒に扮して翔太の近くにいたの」

「私を嵌めたというわけか?」

「長い戦いだった。やっとあなたを始末する事ができるわ」

 振りかぶったミキの右手の爪がサーベルのように伸びる。

 切先が少年の喉元を狙ったその時、大門がハイキック少女へ命令した。

「おい、助けろ!」

 途端、少女が突進し、何発もの蹴りを出した。

 猛攻に翻弄されたミキが、思わずその場から逃げる。

「よし。いいぞ!次はこの縄をほどけ」

 大門の指示を受けた少女がロボットのように拘束具に手を伸ばした。

「ダメよ!やめなさい!」

 慌てたミキが念動力で少女の体を弾き飛ばした。が、8本の脚はすでに引き千切られた後だった。


「うおおおっ!」

 大門が長い鉤爪を構えて襲いかかる。

 それをミキが迎え撃つ。

 ガギン!

 金属がぶつかり合う音が響き、派手な火花が散った。

 大門が駒のように回転しキックを放つ。だが、寸前でミキはジャンプし、彼の顎へ膝蹴りを打ち込んだ。

 地面を踏みしめて堪えた大門が右手を振り下ろす。それを爪でなぎ払うミキ。

 遠目では子供同士の喧嘩に見えるだろう。だが、両者がぶつかり合う度に、火花と小さな稲妻が飛び散り、その衝撃が周囲の木々を揺らす。まさしく、異能力者同士の戦いだった。


「観念なさい。私には勝てないわ」

「オドが手に入れば……フルパワーになりさえすれば、お前など敵ではないのに!」

 大門は悔しそうに歯を食いしばった。


 ふと、彼は本殿の前で成り行きを見守っている3人の姿を見た。

「オドを寄こさぬなら、こいつらを殺してやる」

 不敵に微笑むと、そちらへ向かって走った。

「しまった!」

 彼の魂胆に気がついたミキは瞬間移動を繰り返し、3人を守るように立ちふさがった。

 振り下ろされた大門の鉤爪が、ミキの右肩をかすめて皮膚をえぐり取る。

「うっ!……っぐ」

 鮮血が辺りに飛び散り、苦痛に表情が歪む。間近でそれを間近で見た明美が悲鳴を上げた。

 両手をクロスしたミキが念動力でバリアを作り、大門の身体を弾き飛ばした。

「どこまでも邪魔をするつもりか。じゃあ、こっちも遠慮はしない。学校の生徒全員を殺してやる」

「その前にあなたを殺す!」

 気丈にそう言いつつも、ミキの表情には焦りの色が浮かんでいた。

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