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第97話 八股ってそれはないでしょう

ハットトリッカー滝川に闇菓子を無理やり食わされた天野誠は、

突如激しい頭痛に襲われて気絶し、この異世界に来る前の過去の記憶の夢を再び見始めた。



ー現世ー



天野誠には七瀬美亜という幼馴染がいた

天野誠と七瀬美亜は幼稚園の頃からの付き合いで、クラスも小中高一貫での長い付き合いだった

天野誠はある日、七瀬美亜を屋上に呼び出して告白した


「幼稚園で出会った頃からずっと好きでした!付き合ってください!」


「ごめんなさい、アナタの気持ちは嬉しいけど、私にはもう彼氏がいるし、妊娠もしてるの」


「そんな……嘘だ……相手は一体誰なんだよ…!」


「実はこのクラスの担任の市川先生と、学級委員の浅田君と、番長の清宮君と、野球部の白鳥君と、生徒会長の木下君と、隣のクラスの親友の中谷さんの彼氏と、近所の大きな豪邸に住んでいる超大金持ちの財豪寺おじさんと、あとその息子の内の1人の小学5年生のリュウ君と、8人の男とこっそり付き合ってるの、その中でも財豪寺おじさんは何でも買ってくれるし、複数の相手との浮気がバレても怒るどころかどんどん浮気を勧めてくるし、リュウ君はものすごーく健気でかわいい子なの!それ以外の人達も皆凄いテクニシャンなの!」


「…は?……彼氏が8人?……財豪寺は金持ちだけど60代だし、その息子の男子小学生とも付き合ってるなんて……そんなただれた関係の中、……誰ともわからない相手の子供を妊娠…?」


「だって皆から告白されちゃったんだからしょうがないじゃん、でもこれ以上は定員オーバー、だからごめんね……アナタとは付き合えない、ずっと良いお友達のままでいましょ」


「嘘だ…嘘だ…嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……そんな事、幼稚園の頃からあんなに一緒だったのに……僕達は……僕達は……」


「大丈夫、君が幼稚園の頃にくれたアクセサリーとか、思い出だけはずっと大事に持っておくから……きっと君にも良い相手が見つかるよ」


「君以上に良い相手なんて見つけられる訳が無い……よくも僕の長年の想いを裏切ったな……絶対に許さない……!」


天野誠は七瀬美亜に襲い掛かり、首を絞めた


「ちょっと誠……やめて……苦しいよ……」


「うるさい!……お前は……永遠に僕だけのモノだ!」


七瀬美亜は天野誠の手首を必死に引っ搔いたが、そのまま力尽きた


「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」


天野誠は七瀬美亜の手首に付けていたアクセサリーを外し、手の中に握りしめた


「やったよ……ついにやった……僕はついに七瀬さんと結ばれたんだ……あはははははははははははは!!」


屋上の扉が開いた

天野誠の発狂を聞いた体育教師の児島が屋上に駆け付けた


「お前……屋上で何をやってるんだ!?」


「児島先生……僕達は永遠に愛し合う運命だったんです……!」


「何を言ってるんだ!?そこに倒れてるのは七瀬さんじゃないか!」


児島が駆け寄ろうとしたが


「来るな!」


天野誠の手にはいつの間にか包丁が握られていた


「おい!馬鹿な真似はよせ!」


「……もう誰にも邪魔はさせない!」


天野誠は七瀬美亜の首に包丁を突き立てながら、屋上の柵に近づいた


「オイ天野!」


天野誠は包丁を投げ捨て、七瀬美亜を抱き抱えながら飛び降りた


空中で天野誠は気絶している七瀬美亜にキスをした

頭から地面に衝突する瞬間、強い衝撃と共に動けなくなり、天野誠はその短い生涯を終えた


児島は恐る恐る屋上から下を覗き込んだ


天野誠の首は折れ、ありえない方向に曲がっていた

七瀬美亜も頭から血を流していた


「天野……なんて身勝手で馬鹿な事を……」



天野誠の正義に生きて死んだ記憶は、ハットトリッカー滝川の闇菓子によって消されてしまい、

悪意の込められた違うデータへと上書きされてしまった。

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