第94話 才能在りし者への素敵な贈り物
「お前は確か……ハットトリッカー何とか!」
「ハットトリッカー滝川だよ、人の名前はちゃんと覚えておいてほしいなぁ」
「あなたは何者?誠とどんな関係?」
「僕は天野誠君の初恋の相手さ、君こそなんだい?僕と天野誠君の恋路を邪魔する泥棒猫なのかい?」
「初恋の相手じゃない!あと今の僕が恋してる相手は嶺橙華だ!」
「誠……うれしい!」
「…そうだったのかい、僕という相手がいながらそっちの少女を選ぶのかい……ま、いいけどね」
「嶺橙華、ハットトリッカーと戦ってくれ!」
「…分かった」
「おや?他力本願なのはいけないね」
「悔しいけど僕だとお前に勝つ事は出来ない、それは分かってるんだ、僕は生き残りたいんだ」
「そんな君に良い物をあげるよ」
ハットトリッカー滝川は瞬時に天野誠に近づき、抱きしめた
「なっ!?」
「ちょっと一緒に来てもらうよ」
ハットトリッカー滝川は天野誠を抱き抱えて空を飛んだ
「誠!」
嶺橙華はジャンプしてハットトリッカー滝川に近づき、しがみつこうとしたが、つま先を一瞬掴んだだけだった
「…なんというスピードで、あんな高さまで…」
天野誠は、転生前の屋上からの落下による死因によって高所恐怖症になっていた
「…まさか僕を突き落とす気か!?」
「そんなすぐに死んで終わるつまらない事はしないさ」
「どこに連れて行く気だ?」
「あの少女に邪魔をされたくないだけさ」
「僕がお前に敵うはずがない!……それこそつまらない戦いじゃないのか!?」
「それを面白くする為にこれを渡しに来たんだ、強くなりたければこれを食べると良い」
ハットトリッカー滝川は天野誠に赤と黒の2色の色が混じった闇菓子を見せた
「…それは?」
「才能はあるのにイマイチ一歩踏み出せない、君はそんな感じなんだろう、そんな君に、僕からの素敵な贈り物さ、これを食べれば君はきっと強くなれる」
「まさか毒でも入ってるんじゃ…」
「そんな物は無いさ、でも、少しばかり肉体と精神が神か悪魔の領域に近づくかもしれない」
「そんな怪しい物…」
「ああもうじれったいなぁ」
ハットトリッカー滝川は闇菓子を口に加え、闇菓子を口移しで食べさせた
「!?」
ハットトリッカー滝川は天野誠の後頭部を持ち見下ろしながら口の中に舌を入れて、闇菓子を一気に飲み込ませた
「むぐ…」
ハッとした天野誠はハットトリッカー滝川の頭を掴んで口を離した
「ゲホッゲホッ」
「フフフ……ごちそうさま♪」