第89話 覚醒
海堂は突進してきた高岡のナイフを氷の盾でいなし、
瞬時に氷のビームで失った右足の義足を生成して立ち上がり、体制を整えた。
海堂は常に銃撃戦で戦って来た為、
接近戦には慣れていない方ではあるが、
全く攻撃が当たらずに襲い掛かってくる相手を想定していなかった訳でもない。
海堂は氷のビームで作った銃剣で高岡のナイフを弾き飛ばした
遠距離戦でも接近戦でも隙の無い海堂相手に、高岡は為す術も無く、それ以上攻撃が出来なくなってしまった
「フッ……ついに終わりか」
「……俺にも力があれば……アンタみたいにユニークスキルを持っていれば……」
「ああ、ユニークスキルを持っていれば有利だが、絶対無敵の不死身でも無ければ、更に強いユニークスキルを持っていたであろうジェーンにこの前は負けたし、今ではこの様に足も失った、生き残れるかは訓練と状況次第、ユニークスキルを生かす技量が無ければ手に入れても意味はないぞ」
「そうだよな、アンタみたいな強い奴がそこまで言ったり、俺が追い詰めてもなお倒しきれなかったんだ、俺如きがユニークスキルなんて持ってても、使いこなして生き残れるか…」
「そうだ、お前はもうすぐ死ぬし、俺も次以降のサバイバルゲームで死ぬかもしれない、回復系のユニークスキルを持っている仲間もいない、最後に生き残るのは俺でもお前でもない、参加者はいつか全員死ぬ、最後の瞬間まで必死にあがくだけだ」
「……そうだな、ユニークスキルさえ持っていればお前を倒せたかもしれないが、ここまで発現する事は無かった……俺も一か八か、最後の瞬間の必死のあがきをやってみるか!食らえ!」
高岡は懐から取り出した覚醒の種を勢い良く銃に装填してから撃った。
「……。」
覚醒の種が銃から射出される事は無かった
「……あー……最後の一発は撃つ事すらダメだったか~…」
高岡は銃から覚醒の種を取り出して食べた。
「うーん、結構美味いなこれ…」
「……気は済んだか?……残念だったな……これで終わりだ!」
海堂は引導を渡すべく、銃を構えて引き金を引こうとした
「うわああああああああああああああああああああああああああああ」
『 ユニークスキル【レインボーショット】に覚醒しました 』
高岡は死の恐怖から叫びながら銃の引き金を何度も引いた
叫ぶのを止め、正気に返った高岡の目の前には、体中が燃えたり凍ったり痺れたり特殊な効果を受けながら風穴だらけになっていた海堂がいた
「……ごふっ…………どうやら……最後の悪あがきを……やって……正解だったようだな……」
氷で作った義足も砕け散り、海堂は倒れた
「まさか……こんなタイミングで……覚醒するなんて……」
海堂【DEADEND】
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