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第84話 取り戻した記憶

児島は天野誠を殴り始めた


「おらぁ!天野ぉ!教育しなおしてやるぞぉ!」


「今時体罰なんて…ぐはっ」


「天野だって俺を殴っただけじゃ飽き足らずに包丁で刺そうとしたじゃないか、それを俺からの熱血指導で許してやっているんじゃないか!」


「それは…ぐふっ…お前が…ごふっ…七瀬さんを…ごはっ」


「七瀬はイジメを受けてたんだよ、それを俺が救ってやったから、ささやかなお礼をもらってた最中だったんだよぉ!それなのに恩知らずの七瀬が家庭科室から包丁を持ち出して俺を刺そうとする非行に走ったから俺が徹底的な指導をしてやってた最中だったのに、それをお前が何を勘違いしたのか邪魔しに来やがってよぉ!」


「違う!」


七瀬美亜は包丁を拾い、児島の背中を刺した


児島の殴る動きが止まった


「ぐぉ……七瀬……貴様ァ!」


児島の怒りの矛先は七瀬に向いた


「よくも俺を刺してくれたなァ!」


児島は七瀬の首を掴んで勢いよく引きずって屋上の柵まで追い詰めた


「ぐぅ…」


「七瀬さん!」


「この恩知らずがァ!」


児島は七瀬美亜を突き落とそうと腕を上げようとしたが天野誠は児島の顔面を殴り、

児島は七瀬美亜の首から手を放して倒れた


「七瀬さん!」


天野誠は七瀬美亜に駆け寄ったが、老朽化で屋上の柵は外れてしまい、屋上から転落してしまった


天野誠と七瀬美亜は一瞬頭が真っ白になったが、とっさに空中でキスをした

地面に落ちるその瞬間まで、2人はキスをし続けた

頭から地面に衝突する瞬間、強い衝撃と共に動けなくなり、天野誠はその短い生涯を終えた


児島は恐る恐る屋上から下を覗き込んだ

天野誠の首は折れ、ありえない方向に曲がっていた

七瀬美亜も頭から血を流していた



「チッ……天野が七瀬を刺そうとしたのを俺が庇って刺された後で、天野が七瀬と無理心中したって説明しないといけなくなっちまったな」






天野誠は転生前の記憶を完全に思い出した



ちなみに七瀬美亜は、

天野誠とは別の異世界に転生し、

そこで主人公になっているとかいないとか

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