第83話 転生前の記憶
城之内に首を撃たれた後、嶺橙華の【森凛の花】によって回復中の天野誠は、夢を見た
天野誠には七瀬美亜という幼馴染がいた
天野誠と七瀬美亜は幼稚園の頃からの付き合いで、クラスも小中高一貫での長い付き合いだった
天野誠はある日、七瀬美亜がいつも手首に付けていたアクセサリーが机の上に置かれている事に気付き、机の中身を確認した
『たすけて』と書かれた紙が入れてあった
「七瀬さんが危ない……!?」
天野誠は心当たりのある場所を探した
七瀬美亜と仲の良い友達がいる隣のクラスや、部活動をしている場所、図書室、生徒会室、
心当たりの限り色んな場所を探した
そして、屋上に向かってみた
普段は閉鎖されていたが、今日は鍵が開いていた
屋上の扉を開けると、そこにあったのは、
体育教師の児島が七瀬美亜の首に包丁を突き立てながら胸を触り舌で顔を舐めていた現場だった
「家庭科室から包丁を持ち出して教師を刺そうとするとはなぁ……そんな悪い生徒には徹底的な指導をしてやらないとなぁ…」
「やめて…いや…」
明らかに異常な現場を目撃した天野誠は、目元に涙を浮かべる七瀬美亜を見た瞬間に、反射的に児島に殴りかかった
「七瀬さんを放せええええええええ!」
天野誠の拳は児島の顔面を捕らえ、包丁を地面に落としたが、
すかさず児島も反撃で飛び蹴りを浴びせ、天野誠のみぞおちにダメージを与えた
「お前は天野か、教師に手を挙げるとどうなるか分かっているのか!?」
「七瀬さんは僕が守る!」
天野誠は児島が落とした包丁を構えた
「あ、天野!?よせ!やめろ!」
天野誠は包丁を構えたのは良いものの、その手は震えていた
七瀬美亜は叫んだ
「天野君!お願い!この男を殺して!」
七瀬美亜の叫びを聞いた天野誠は迷いながらも
「うおおおおおおおおおおおおお」
児島に向かって突進したが
児島の腹を刺す直前で手から包丁がすっぽ抜けてしまった
「ダメだ、僕には無理だ…」
すると
「歯を食いしばれ天野ぉぉぉぉ!」
児島は天野を殴り飛ばした